「審判!!」
−健全と不健全の波間に立って−
(青少年健全育成推進協議会、講演レジメ・2003/7/15)
大阪弁護士会
弁護士 服 部 廣 志
http://www2.ocn.ne.jp/~zunou
前注
1 自己紹介
2 おことわり
第一 歪み、軋む社会と個人
衝撃的な**事件、**事件・・・関心と反応
1 刑事責任能力引き下げについての少年法改正の意見
イ 刑事責任能力−世界各国の例
ロ 刑事処分年齢−世界各国の例
2 某政治家の「少年の親を市中引き回しせよ」発言
3 その他の発言など
4 問題の所在
イ 少年法の刑事責任年齢の問題や単なる加害少年の親だけ−の問題ではない。
ロ 社会全体のひずみと軋み−原因と対策−自分たち成人の問題
ハ
@ 「人権侵害の例」としてインターネットにでていた「少年の写真」とされる写真 を授業中に、回覧
A 教育的報道をするマスコミがヤラセ実行−矛盾、歪み−歪んだ大人
ニ
@ 核家族化−地域共同社会の崩壊
A 家庭における指導、教育が−地域共同体から−親へ−狭小化
B 親の−不足を補ってきた−指導、教育機関の喪失
C 不完全な家庭教育、指導のみ−−生育環境の劣化
ホ
@ 地域共同社会の喪失−−犯罪体験の経験−−不能
A 善悪の体験、練習環境が欠如
B 身体、こころの痛みと他への思いやりの心の育成の機会−不存在
ヘ
@ IT社会への加速
A 社会との関与や交わりなき−生育を可能にし−バランス感覚の育成も欠如
B バーチャルな仮想空間、仮想社会での−内面的欲求不満の解消−と社会からの逃 避を可能化
C 危険のない−安全地帯−仮想空間での−競争と闘争−を可能化
D 仮想空間と現実社会との峻別不能のおそれ
このような社会の構造の変化が、生育、健全育成環境をそこない−悪循環
未成熟な親が、どう対処していいのかわからず、悩み苦しんでいる!!
基本的には、大人、社会の問題
5 検討事項探求
イ 何故なのか
ロ 少年の心に、なにがあったのか
ハ 少年を、なぜ、そのような行為に導いたのか
ニ 少年の家庭環境はどうであったのか
ホ 少年の日常生活は、どうであったのか
・親の養育態度に問題はなかったのか
・親と少年の家庭環境の問題は何か
−−−考える必要がある。
ヘ 成績はトップクラス、性格はおとなしい、真面目−−問題の所在
しかし、パニック状態になることがある
@ 性格おとなしい、真面目・・欲求、抑圧の可能性
A パニック状況・・抑制能力の欠如
B 人間関係の力のバランス
ト 身体と心の発達のアンバランス
@ 年少者の性と欲求不満行動の特異性
A 性は、禁止や抑圧が強ければ強いほど歪められた形で、その不満を発散させようとする傾向
B 年少者の場合には、身体の発達が、心の成熟度より先行して、心と身体のアンバランスのなかで性的欲求処理の不器用行動、代償欲求充足行動又は幼児的原始的な表現行動があるかも。
チ 被虐待体験と虐待、残忍行為
6 他方
イ 事実関係の解明に・・慎重に
ロ 少年・・12歳・・なんとでもなる・・警察の意のまま
例・・・・23日の攻防・密室の拘禁
例・・・・警察官と中学生−−誘導尋問の危険性
第二 少年法の手続き
1 刑法上の刑事責任年齢=(改正により)刑罰処分年齢・・14歳以上
・・・犯罪者として、取り扱える年齢
・・・事の善悪の判断力とそれにより行動を抑制する能力の欠如・・刑罰より、教育、保護を選択
・・・逮捕−−勾留、観護措置−−起訴−−刑罰
・・・観護措置=少年鑑別所へ入所(少年の知能、学力、心理、行動等の各種の資質調査、集団生活内調査−−名称が悪い)
・・・少年法の建前である収容期間は、原則2週間、延長6週間
・・・実態は・・原則4週間
・・・鑑別結果報告書
・・・家裁少年調査官の報告書とともに審判の資料−−処遇決定
2 14歳未満
・・・犯罪者としての取り扱い−−不可
・・・児童相談所扱い
・・・児童相談所から−−家裁に送致された場合のみ、家裁が取り扱える。
・・・ぐ犯少年(将来、犯罪を犯すおそれのある少年)、触法少年として−−取り扱う
・・・保護観察処分や児童自立支援施設(昔の教護院)−−送致−−開放処遇・小学校、中学校卒業認定あり
3 少年法3条 次に掲げる少年は、これを家庭裁判所の審判に付する。
イ 罪を犯した少年 =犯罪少年
ロ 14歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年 =触法少年
ハ 次に掲げる事由があつて、その性格又は環境に照して、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をする虞のある少年=ぐ犯少年
@ 保護者の正当な監督に服しない性癖のあること。
A 正当の理由がなく家庭に寄り附かないこと。
B 犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入すること。
C 自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること。
4 家庭裁判所は、前項第二号に掲げる少年及び同項第三号に掲げる少年で14歳に満 たない者については、都道府県知事又は児童相談所長から送致を受けたときに限り、こ れを審判に付することができる。
5 手続きの流れ
犯罪少年・ぐ犯少年 触法少年
↓ ↓→→→→→→ 児童相談所に通告→→→
警察による捜査・補導 →→→→→→ ↓ ↓
↓ (罰金以下の刑に ↓
検察庁へ事件を送致(事件を回す) あたる罪の場合) ↓
↓ ↓ ↓ ↓
(全事件を) (逆送→地裁へ起訴) ↓ ↓
↓ ↓ ↓
家庭裁判所に送致(事件を回す) ← ← ← ↓
1 家庭裁判所調査官による調査−−裁判官に調査報告書を提出
−−道路交通法違反事件は、インテーク基準適用
2 裁判官による検討
イ 審判不開始==審判せず、処分もしない。
ロ 審判
@ 処分しない=不処分決定
A (暫定中間処分)=試験観察処分=様子をみる。
B (暫定中間処分)=試験観察処分+補導委託=委託先での生活をみる。
C 保護観察処分(短期処遇勧告付き と 勧告のないもの)
D 児童自立支援施設等送致=児童自立支援施設に入所させる。
E 少年院送致=少年院に入所させる(14歳未満の少年を除く)
F 児童相談所送致=児童相談所の措置に任す。
G 検察官に送致=検察官に事件を戻す(逆送致=逆送=検送)
6 審判と少年
イ 非行事実と要保護性
ロ 食欲、性欲 そして所属欲求と承認欲求
ハ 収容処分の判断
例−覚醒剤とセックスと女の子
・ 処分告知と審判廷−−三角机
ニ 少年達への接し方
・ 少年の洞察力と大人の嘘と審判
例−−不純異性交遊
・・・好きな人との自由なセックス
例−−一時停止違反
・・・停止と同視できる程度の安全確認主張
7 処遇後と生活環境−−重要
イ 家庭環境
ロ 劣悪な居住環境
ハ 社会の冷たい目
第三 少年審判手続きと民事、刑事訴訟手続きとの基本的な違い
1 弁論主義、当事者主義−−−職権主義的審問構造
2 紛争解決・刑罰−−−教育、保護、健全育成
3 審判手続きの限界と問題点など
イ その限界
ロ 改正少年法の具体的内容
・ 重大事件等に当事者主義化
・ 不服申し立て手続き
・ 保護者に対する措置
少年法25条の2
家庭裁判所は、必要があると認めるときは、保護者に対し、少年の監護に関する責任を自覚させ、その非行を防止するため、調査又は審判において、自ら訓戒、指導その他の適当な措置をとり、又は家庭裁判所調査官に命じてこれらの措置をとらせることができる。
(参考−非行と保護者の民事責任)
民法820条=子に対する監護、教育の権利と義務
民法712条=子の民事責任無能力
民法714条=監督義務履行を立証できない場合、損害賠償責任負う。
民法709条=子が民事責任能力あっても、不法行為による結果との間に相当因果関係があれば、損害賠償責任を負う。
・ その他
4 改正の限界−−国際条約など
イ 犯行時18歳未満−−無期刑の選択可能化
改正前・無期刑の場合→10年以上15年以下の有期定期刑選択が義務
ロ 有期刑選択の場合には→10年以上15年以下の有期定期刑選択
ハ 犯行時18歳未満の少年への死刑
@ 児童の権利に関する条約37条(a)−批准ずみ
締約国は、次のことを確保する。
いかなる児童も、拷問又は他の残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を受けないこと。死刑又は釈放の可能性がない終身刑は、十八歳未満の者が行った犯罪について科さないこと。
A 憲法98条(憲法の最高法規性、条約・国際法規の遵守)
1 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
2 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。
こころのバランス