情報教育研修−ネットに潜む危険性
                  於いて・市教育センター
   ITと犯罪
 
                大阪弁護士会所属
                   弁護士 服 部 廣 志
                  
一 IT世界と犯罪とのかかわり
 
1 一般犯罪、回避と危険学習
イ 犯罪発生の場−通常、契約取引の場等欲望と誘惑
・ 経済的利益の追求や欲望充足させてくれる社会、場が通常の犯罪の場所−経済犯罪の場
・ 利益や欲望追求する心の中に、隙がある−甘い話には落とし穴がある
ロ 犯罪関与者との接触−犯罪予備軍ないし犯罪者との接触
・ 多くの犯罪者は、犯罪を起こす、誘発する人との接触がある
・ 犯罪をするにも、知恵と知識が必要−なければ犯罪も行えない
・ 朱に交われば、赤くなる−ということばどおり
ハ 詐欺等犯罪被害の誘惑−利益追求等
・ 利益や欲望充足を求めるこころと誘惑
二 回避と危険学習
・ 実社会では、誘発要因は、選択可能、避けること可能
・ 甘い話に乗らない−実社会ではある程度、可能−経験ずみの社会
 
2 ネット犯罪の温床、誘発要因
イ 匿名性の魔力−大胆行動誘発、自制していた悪魔の欲求の解放
・ 匿名が可能ということで良識により抑制されていた悪魔の欲求が解き放たれる危険性
・ 実社会で、おとなしい−自己主張を抑制している人ほど−解放感は強い−強烈な自己表現−対面すれば想像できない文面、表現、行動を見る
ロ 犯罪の容易性−実社会における抑制力喪失
・ 例えば、偽造、模造紙幣の制作などPCで可能
・ 他人の名誉侵害、侮辱など2ちゃんねるというような匿名掲示板を利用すれば簡単
・ 簡単、容易 → 抑制力の欠如、欠落を招く
ハ 閉鎖空間と実社会との隔絶と錯覚
・ 閉鎖空間は、自己の世界を狭小化させる→錯覚空間→誇大妄想、被害妄想招く危険
・ 最初のメールと自己反応など
 
3 ネットという場の特性−閉鎖空間への侵入
イ 個人、ひとりでの対処誘発
・ 知人、友人への相談機会欠落
・ ゆとりのある、対処欠落 
ロ 時間の間隙なきインタラクティブ(双方性)の悪用
・ 即決、その場の対処や判断、求められる
・ 錯誤や錯覚、誤信の誘発原因
 
4 子供たちと犯罪との関わりと保護
イ 犯罪発生の場への−不−立ち入り
・ 深夜徘徊等禁止など
ロ 犯罪予備軍ないし犯罪者との−不−接触
・ 不良交友の阻止など
ハ 利益追求と−無−関係の世界
・ 利益追求と無縁の学習、運動生活
二 これらの、いわば健全な世界において生育し
  危険なき世界で、知識吸収し、犯罪被害から身を守る術−獲得
 
5 IT社会と子供たち
イ 時と空間と世代を越え
ロ 健全と不健全、健全者と犯罪者集団が混在する、犯罪者が待ち受ける世界への突入
ハ 身守る知識もなく−無防備で−接触、入っていく
二 犯罪被害者となり、犯罪に巻き込まれる−−当然
ホ 監督、保護つきの使用に制限−不可能
ヘ 危険性のないIT利用への制限−フィルタリングソフト−不可能ないし困難
 
6 IT犯罪からの防御とその方法
・ IT犯罪から防御する特別な方法はない−時空と世代を越えた世界−自己防衛のみ
イ 一般犯罪からの防御と基本的に異なることはない。
  例−交通事故−交通事故の類型、パターンを多く知ること
  事故の類型とパターンを知る、理解−防御姿勢、防御措置が可能
ロ ITの基本構造の理解
・ HP閲覧の構造と意味
・ メール送受信の構造と意味
・ ダウンロード・アップロードの構造と意味−ウィルス、プログラム、拡張子など
・ 基本的なセキュリティの知識
−ウインドウズ等にセットされているセキュリティ操作の意味と方法
−−セキュリテイゾーンの設定と設定の変更方法
−−マクロセキュリティの設定と設定の変更方法 
−ジャバスクリプト及びアクティブXの設定と無効設定の意味
−ネットサーフィンする際の予防的措置
ハ ネット犯罪の類型の理解−−後記のとおり
二 電源切断による防御とその方法切
  
・ わからないことはしない−好奇心の抑制
・ 自信や確信なければ、反応しない−危険から逃げる知恵
・ 迷えば、反応しない−安全行動選択の知恵
・ exe、dllなどの拡張子(ファイルの名称の後ろに、つけられている)は、プログラムであることを知る−ダウンロードしない
・ 迷えば、困れば、電源を切る−CtrlとAltと Deleteを一緒に押して、緊急脱出、電源を切る−ダメなら電源スッチを数秒押し続けて電源を切る。
 
ホ 閉鎖空間、狂気と錯覚の世界と外部空気の必要性
 
 
二 IT世界における犯罪の特殊性
1 直接的な詐欺−時空を越えた犯罪
イ オークション詐欺など−対面しないバーチャル世界を利用
ロ 国際電話利用詐欺−IT操作を悪用
ハ IT利用した(宣伝、広告の代用)従来型の詐欺−内職商法、
 
2 間接的な詐欺的行為
イ フィッシング−詐欺
 
3 閉鎖、虚空の世界における狂気
イ 発生のメカニズムの把握
ロ 狂気を避ける手法の把握と指導
ハ 子供も大人も、共通するIT独特の狂気と犯罪の世界
 
三 IT世界の狂気と犯罪の動向の把握が必要
1 犯罪の手法の把握
 
−名誉毀損、侮辱罪(刑法230条・231条)
−不正アクセス禁止法違反−預金の詐取(不正アクセス禁止法違反、刑法詐欺)
−電子計算機使用詐欺罪(刑法246条の2)−預金の詐取(刑法詐欺)
−背任・業務上横領罪(刑法253条)−FDによる情報持ち出しなど
−詐欺的行為による国際電話−アダルトサイトでのダウンロードにPG混入
−オンライン販売詐欺−(クーリングオフ制度なし)−無差別、従来型犯罪
−内職商法詐欺−内職斡旋をエサにPC等購入させる−無差別、従来型犯罪
−懸賞あたり連絡詐欺−無差別、従来型犯罪
−クレジット番号の悪用詐欺
−高額懸賞金等欺罔による個人情報の漏洩−それ自体は、犯罪不成立
−恋人写真公開教唆・実名女性乱暴教唆投稿、掲示−場合により、刑法わいせつ図画陳列罪・脅迫罪
−ID窃取してデーター削除等(刑法234条の2 電子計算機損壊等業務妨害罪、不正アクセス禁止法違反)
−他人HPのわいせつ画像への書き換え(刑法わいせつ物陳列罪、不正アクセス禁止法違反)
−ネットナンパ−淫行勧誘−淫行犯罪−強姦罪(児童買春、児童ポルノ処罰法違反、刑法強制わいせつ、強姦罪)
−ネットストーカー(ストーカー禁止法違反)
−個人情報暴露−刑法名誉毀損、脅迫
−性倒錯者、小児性愛好者による虐待(児童買春、児童ポルノ処罰法違反、刑法強制わいせつ、強姦罪)
−児童ポルノ撮影(児童買春、ポルノ処罰法違反)
−連鎖販売取引−マルチ商法(無限連鎖講の防止に関する法律違反)
−著作権侵害(著作権法違反)
−薬物・毒物販売(薬事法違反、毒物・劇物取締法違反)
−爆弾製造法、毒物製造法開示のHP
−掲示板への違法書き込み(刑法違反 )
−−殺害予告
−−脅迫
−−その他
 
2 不良メールなど
−チェーンメール
−アダルトサイト案内メール
−援助交際勧誘メール−男女両方へ
−メール爆弾
−誹謗中傷メール
−偽造メール
−なりすましメール
 
3 ウィルスなど
−FD、電子メール、ソフトウェア、ダウンロードファイルに混入
−ウィルス対策プログラムは−必需品−単に自分自身のみの問題ではない
−PC内のアドレス帳搭載者に次から次へと、ウィルスを送信
ウィルス防御ソフトなど−トレンドマイクロ社−ウィルスバスターなどアンチウィルスソフトによる防御
 
 
四 小中校生へのIT教育の課題
1 多くの教育現場での手法−IT接触で満足
2 IT世界の健全なのぞき方の指導欠落−先生の能力がついていっていない
3 IT接触指導には−健全接触の手法の指導が−不可欠、前提であることの理解必要
4 IT教育の手法の研究必要
イ 可能なところから、指導、教育
ロ 的をはずさず−実践、指導
ハ IT世界について−ネット使用の双方向性−見ることは見られること−の理解
・ 教師と生徒との会話
・ 子供と親との会話
・ 子供たち友人間の会話
・ 結局は、対面会話による接触の保持と信頼関係の維持−指導と保護
5 使用監督の手法
・ フィルタリングソフトのインストール
・ 使用履歴の参照、Intennettemporaryファイルの参照、ブラウザのオートコンプリート参照、ウィンドウズメディアプレーヤーの使用履歴参照など
 
 
五 ネット犯罪統計
1 詐欺
2 児童買春
3 著作権法違反
4 青少年保護条例違反
5 わいせつ物頒布など
6 児童ボルノ
 
六 ネット相談統計
1 インターネットオークションに関する相談
2 違法、有害情報に関する相談
3 迷惑メールに関する相談
4 名誉毀損、誹謗中傷に関する相談
5 不正アクセス、ウィルスに関する相談