2011年7月23日〜24日
おがわ作小屋村にて

梅雨明けの強い日差しがまぶしい7月23日と24日の二日間、西米良村小川の「おがわ作小屋村」
で「夏の草木染めワークショップ」が開催されました。今年の4月から活動を開始している「おがわエコミュージアムプロジェクト」の一環です。まずは小川地区の自然に親しみ、地域のことを知り、
そこに眠る「宝物=地域資源」を掘り起こすことを目的としたものです。
今回は、石井記念友愛社/茶臼原自然芸術館から指導員の横田康子氏と三牧恵氏を講師として招き、
行なわれました。「おがわ作小屋村」は中世から江戸時代へかけて、この地を治めた
米良・菊池氏の居城跡を整備した、小川城址公園の一角に昔の山仕事の小屋を復元し
、食事処と交流の拠点とした施設で、多くのお客さんが訪れています。この日は、復元された茅葺きの
古民家に自然布や裂き織り、草木染めの作品などを展示し、民家の軒先で染色を行いました。

集まったのは、県内各地から8人の参加者と三牧さんの子供たち3人。作小屋村のコテージに
泊まり込んで本格的な染色です。まずは、山に入り、染料になる植物を採集します。
上右の写真は小川川沿いの風景ですが、左手にネムノキ、その手前に葛、右手にアカメガシワが
映っています。川にはヤマメがひそむ、遊びと染色素材採集の現場です。
子供たちと男どもは早速川で釣り。この日のコーディネーターで遊びの達人がんじいが、たちまち
ヤマメを釣りあげて名人の腕前を披露。ブログネームがんじいこと高見乾司は、「九州民俗仮面
美術館」を運営しながら神楽の現場に通っていますが、茶臼原自然芸術館の企画や方向性を考
える指導員、「おがわエコミュージアム」のアートディレクターなどとしても活動しています
。がんじいの提案するエコミュージアムとは、遊びや豊かな自然、風景、
村の伝承文化、史跡など、地域全体が「美術館」の構成要素なのです。

参加者の皆さんは採集。1日目は、ネムの葉、藤の葉、葛の葉、
ヤブマオ、アカソの五種類が得られました。
2日目の染色は、白のシルクマフラーを準備しました。「草木染め」には、染色と媒染という
二つの工程があります。まず、素材である草木を煮出して染液を作り、布を浸す「染色」と、
発色と色素の定着効果を持つ媒染剤を溶かした液に布を浸す「媒染」です。
媒染剤には、金属、酸、木灰、アルカリ薬品などがあります。
この媒染剤によって発色が変わります。
染色と媒染の工程には、
・布(今回はシルクマフラー)をぬるま湯に浸け、糊や汚れを落としておく。
・採集してきた草木の葉や茎を適当な大きさに切り、鍋に入れ、煮沸する。
・煮出した染液を布で濾し、液を抽出する。
・この工程をもう一度行い、2番液を取る。
・水に入れた別の容器に媒染剤を入れる。
・染料液を鍋に入れて火にかけ、湯通ししておいた布を絞らずに広げるようにしながら染液に入れ、
時々かき混ぜながら煮染する。
・染めた布を水洗いし、媒染液に入れて媒染する。
・媒染が終わった布を水洗いし、干す。
等の工程があります。干した布が乾いたら完成です。



今回は、
・ネムの葉のミョウバン媒染
・藤の葉のミョウバン媒染
・葛の葉のミョウバン媒染で
・ヤブマオのミョウバン媒染
・アカソの鉄媒染
の五種の染色を行いました。
最初に染めたのは、川辺で一番先に採集したネムの葉です。あの、梅雨時に淡いピンクの花を咲
かせ、夜になったら葉を閉じて眠ってしまう昔話の中の植物のようなネムの葉からは、あざやかな
黄色が染まりました。林の縁や畑の脇などにはびこり、邪魔者扱いされる葛の葉からは淡い黄色が
発色しました。麻の仲間のヤブマオ(藪麻苧)は道端などによくみられる草で、糸は得られませんが、
渋い灰色がかった茶色に染まり、絞りの文様とよくマッチしました。アカソ(赤麻)も麻の仲間ですが、
この草は平地には少なく、この小川谷のような渓流沿いの崖などに映えています。
濃い赤紫褐色が染まる得がたい染料です。古民家から庭内の桜の幹に張り渡された綱に
染めあがった布が干されると、山からの涼しい風を受けて軽やかに舞い上がり、
青みを帯びた米良の山々を背景に美しい景色が描き出されて、
参加者からも、村を訪れた人たちからも歓声が上がりました。
