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大分県湯布院町に誕生し、まぼろしのように消えた「由布院空想の森美術館(1986〜2001)」。その誕生から閉館までのドラマティックな15年間を回想しながら、湯布院町・町づくり運動とアートの関連、著者の少年期のこと、「九州の民俗仮面」との出会い」などを記録したエッセイ集。湯布院から宮崎へと移り住み、福祉の先駆者・石井十次が拓いた「友愛社」との出会いや、そこで獲得した穏やかな日常、九州の民俗仮面の起源を求め、九州山地の祭りや中国少数民族の村などを訪ねる旅なども描かれる。

<鉱脈社・平成17年3月刊・1890円>

「九州の民俗仮面」とは、南九州を中心に濃密な分布をみせる神楽や民間祭祀などに使用された仮面のことである。1980年代前半頃、著者は横を向いた一個の「鬼面」に出会う。ぽっかりと空いた片方の目の空洞の奥に広がる「異界」を見た時―それが、仮面を巡る著者の旅の始まりであった。それは、九州の古代史・アジアの仮面史・日本の芸能史などが縦横に交差する「仮面文化の十字路」に立った瞬間でもあった。
*写真資料を豊富に掲載。新資料による詳細な解説も加えた。
<鉱脈社 2800円>

英彦山峰入り修行同行記―「天上駈け」とは、かつて行われた英彦山峰入り修行の別名でもあった。古記録をもとに、復活された古式の峰入り修行に同行した著者は、山伏とともに修験の道を歩き山中に泊り、峰を駈ける。そこは、著者が少年期を過ごした山の村に隣接する山脈であり、英彦山の開山にまつわる伝承を秘め、古代精銅・製鉄の拠点でもあり、仏教伝来の道でもあった。
*著者の弟・写真家の高見剛は、峰入りに同行すること10年。これまで秘密とされてきた修験道の根本修行である峰入りの全貌を克明に記録、後世に手渡すべき貴重な資料ともなっている。<鉱脈社 2800円>
南九州(古代隼人文化圏)に分布する「王」の仮面。古代隼人文化圏とは、日向隼人、阿多隼人、大隈隼人、薩摩隼人、熊襲などと呼ばれた人々が居住した地域で、現在の宮崎県・鹿児島県・熊本県南部と奄美・琉球諸島を含む。ハヤヒト=ハヤトとは、黒潮=南風(ハヤ)に乗って移動した人々の意である。火の神、山の神、海の神など多様な相貌をもつ「南の王」の仮面は、はたして仮面文化の謎を解く鍵となるであろうか。
*エッセイ風に綴った仮面史探訪紀行。<海鳥社 品切れ>
謎の神・猿田彦を追う旅。北部九州・英彦山山系の山で行われた田植え祭り。四月の雪が、桜の花と一緒に散り、夢幻の境地へと著者を誘った。豊穣の神・田の神は、祖先神であり、芸能の初発の形態を示すものであった。北部九州から南九州・沖縄へと巡る旅には、境の神・道開きの神猿田彦との出会いが準備されていた。<海鳥社 品切れ>。

  
豊かな自然環境と町づくり運動で知られる湯布院町で、独自の構想のもとに「由布院              空想の森美術館」を設立した著者の、「町と自然とアート」を巡る10年間の思索と発               言。1996年度「地方出版文化賞」(次席)受賞。<1995年/海鳥社刊 2600円>

  
1986年に設立された「由布院空想の森美術館」。その森に包まれたおだやかな日               常の中にふと見い出す生の安らぎやぬくもり。自然との交感、大地との対話を草木染
めのようなしっとりとした筆致で紡ぎ出す随筆集。
<1990年/青弓社 1(絶版)>


さわさわと吹き渡る風に誘われて、今日も森へ行く。折々の草花に彩られ、小さな生き
物たちの棲むそこは、歓喜と癒しのひとときを与えてくれる。「空想の森」から届けられた
フォトメッセージ。写真は弟の高見剛 <1997年/海鳥社 2600円>



西米良神楽
西米良村教育委員会編
文・高見乾司/写真小河孝浩
鉱脈社刊・2009



*この一冊で西米良神楽がわかる*
九州脊梁山地の中央部に位置する宮崎県西米良村に伝わる
「村所神楽」「小川神楽」「越野尾神楽」
の三座の神楽の三十三番の神楽を詳細に解説。
さらに村所神楽の社人が勤める
「狭上神楽」「横野神楽」「上米良神楽」の資料も付記し
、広大な米良山系に分布する
旧・東米良の神楽の特徴と共通点なども俯瞰する。

西米良神楽探訪必携の書。




*以上の他に、「詩集石切り場」(葦書房)、「ゆふを織る」(不知火書房・共著)、「謎の猿田彦」(創元社・鎌田東二編・共著)などがあります。いずれ紹介します。本の整理をするのは好きだけれど、自分の本の整理はなかなかしないもの。振り返るのが恐いような、湯布院時代のことを振り返らずに生きてゆこう、とする心理が働いているような。それでも、通りがかりの町の古本屋の棚に自分の本が並んでいると、嬉しくて、つい自分で買ってしまうし、山深い里の神楽の焚き火に手をかざしながら、「貴方の本を読みましたよ」などと初対面の人から声をかけられた時などは、生きていてよかった、とさえ思うのです。次の書を著すエネルギーはこんなところから湧いてきます。「火の神・山の神」「豊穣の神・境の神」「空想の森から」の三冊は、在庫がありません。増刷になるほどの実力もないようですが、インターネット古書などに時々出ていることがあります。これも妙に嬉しい。自分の本がこうして生きつづけてくれている、と思うのです。本の照会文は、少し照れくさいけれど主に「帯」の文章からいただきました。
(高見乾司)

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(SINCE.1999.5.20)