こころとからだ

  
「野口整体にいってみた」番外編
 
   
野口整体ってなにさ?


 
《健康について》

 野口整体を知ってからというもの、
 それまでわたしが持っていた「整体」の概念が大きく変わりました。
 以前は、人の身体には理想的なかたちがあって、
 それに近づくように外から力を加えて整えるのが整体だと思っていました。
 ところが野口整体は、人間の持つ無意識に自分を健康に保とうとする
 内側の力を発揮させて整えてゆくものでした。

 例えば、ちょっと悪いものを食べると吐いたり、
 気温差の激しい部屋へ入るとくしゃみをしたり、
 熱いものに触れたらサッと手を引っ込めるような、
 頭で考えてするのではない身体の動きが誰にでもあります。
 同じように、身体の中に菌が入るとそれを殺そうとして熱が出ます。
 そういう自然な身体の反応によって、わたしたちは自らを守っています。

 風邪をひいて薬を飲むと、一時的に症状は楽になるものの
 いつまでもなかなかすっきり治らない事があります。
 「病気をしないのが健康である」という考え方で、
 ともするとわたしたちはさまざまな予防接種を受けたり
 薬を飲んだりしてしまいますが、
 ひょっとしたらそれは、わたしたちの持っている
 病気になったら治そうとする自然の働きを発揮できないように
 してしまっているのかもしれません。

 身体は常に変化し、新陳代謝を繰り返しています。
 細胞レベルでも壊れていくものと新しく作り出されるものがあります。
 そう考えると、常に固定した健康な状態があるというのは
 むしろ不自然に思えてきます。
 絶え間なく変化していく中で何かに反応して病気になり、
 またそれを治していくという流れを保つ力があるということ。
 野口整体では「健康」をそんな風に捉えているようです。

 
《ひとりひとりの違い》

 野口整体で出てくる動き(活元運動)は、
 自分でも意識しない身体の反射的な運動です。
 それは、こうしようと思って考えて動くのではなく、
 頭を「からっぽ」にして初めて自然に出てくるものと言われています。
 ですから、その動きが出てくるまでかかる期間は
 人によってさまざまです。
 また、最初の動きが出てきてからも、
 回を重ねるたびにいろいろな動きに変化していったりもします。
 その時の自分の状態によって、
 必要な動きを身体が選び取っているかのようです。

 そんな所から考えると、その人に必要な動きはその人の中からしか
 出てこないのだという気がします。
 どこかに理想的な「正しい」動き方がある訳ではなく、
 わたしたち一人一人の姿形が違うように
 その動きも違って当然だと思えるのです。
 そしてその動きによって身体が敏感になればなるほど、
 その人なりの健康体に近づくということなのかもしれません。

 ともするとわたしたちは、
 子どもの頃から受けてきた教育などによって
 どこかにひとつの正解があるという考えにとらわれてしまいます。
 そして、間違えることを恐れ、
 何かを選択するときもこころから自由になりきれず
 どこか臆病であったりします。
 生まれながらの違いも成長の段階においても、
 平均値や到達点を決めて一喜一憂してしまいがちです。

 ところが、野口整体に出会ってから、
 単に身体を整えるということだけでない部分に気づかされて来ました。
 わたしたちは違っていて当たり前なのだということ。
 外側を一定の形に整えるのがそもそも不自然なように、
 その人の整い方はその人だけのものです。
 頭をからっぽにする方法は教えられたからと言って
 「これがその状態です」とは誰にも判りません。
 もちろん熟練した整体師であれば観察する事はできるかもしれませんが、
 そのからっぽの感覚は自分で手探りして得てゆくしかないのです。

 
《こころとからだ》

 唯一の正しさというところから離れて行く整体の過程は、
 わたしがわたしである事を受け入れるための道のようでもあります。
 みんなが同じような動き、同じ整い方の身体である必要はないのです。
 他の誰でもないわたし自身にしか判らない感覚。
 そしてそこから出てくる自らの動きを信頼する・・・。
 身体を整えるためのものだったはずの整体が、
 いつしか内側から自分という存在全てを認めるように、
 こころの中まで整えてくれているようです。

 「頭をからっぽにして感じたことは、そのまま行動になる」と、
 野口整体の創始者である故野口晴哉先生はおっしゃっていたそうです。
 頭であれこれ考えるのでなく、
 先入観で「感じた」と思い込むのではないときに、
 初めて行動に移せるのだといいます。

 そうだとすると、日頃のわたしたちは
 こころと身体がばらばらになっている状態なのかもしれません。
 やらないといけないと思っていても行動できなかったり、
 自分の都合のいい方向だけに行動をコントロールしようとする事が
 たびたびあります。
 そんな時はどこかに無理が出てくるものです。
 それはこころで「感じること」に鈍感になっていて、
 行動そのものが不自然になっているせいかもしれないのです。

 整体によって身体を整えていくことは、
 そのままこころとからだの一致に繋がっているような気がします。
 「からっぽ」の自分の感覚が確かなものになればなる程、
 もっともっとシンプルに的確に行動できそうな
 そんな予感がしています。
 
 わたしの「こころとからだの旅」はどこまで行けるのでしょうか。

     
    ゆりへのメール  eurisko@bd.wakwak.com


  
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