迎香穴刺鍼により嗅覚麻痺が改善した1症例より経穴のアロマテラピーへの応用

 目的
迎香穴刺鍼による嗅覚麻痺症状改善効果は、これまで80才以上の高齢者数例に施行して殆ど無効であったが、今回中年女性の嗅覚麻痺症に施行し劇的な著効を示したので、ボランティアにてサーモグラフィーによる客観的観察と迎香穴刺鍼の嗅覚感度への影響を検討し、本法によるアロマテラピーへの関与を論じる。

 方法
症例48才♀ 嗅覚麻痺症
風邪罹患後、嗅覚麻痺症状を呈し耳鼻科を受診。薬物投与などの治療を受けるがいずれも無効。当分治癒しないと言われ鍼灸治療を受ける。
鍼灸治療は、迎香穴(−)、合谷穴(+)1Hz15分間低周波鍼通電を施行する。
鍼:セイリンステンレス鍼 16号50mm
低周波通電器:全医療器オームパルサーLFP4500
迎香穴はダイオード刺激点を取穴し、嗅感度測定に円皮針を貼付。
ダイオード:柿本医療器
円皮針:セイリンジュニア
ボランティアによる迎香穴低周波鍼通電前後の鼻部サーモグラム画像(ボランティア58才♀)
サーモグラフィー:日本アビオニクス製TVS-2000

嗅覚麻痺症における取穴

迎香穴

合谷穴

 結果
嗅覚麻痺症は初回治療後の帰路に車窓外草匂を感じ嗅覚覚醒を自覚し、帰宅後調理食材臭を感じる。
翌日再来の嗅覚試験(ペパーミント臭気)で昨日(-)が(+)に回復した。
ボランティアによる迎香穴低周波鍼通電前後の鼻部サーモログラムは次写真の通り。
また、迎香穴円皮針貼付による嗅感度上昇テストも下図に示す。

嗅覚麻痺症、治療前・後の鼻部温度の変化

治療前

治療後
鼻の通りが良くなり、温度が下がっている。


円皮針迎香穴貼付による
嗅感度上昇テスト

円皮針迎香穴貼付前

円皮針迎香穴貼付後

 結語
古来、迎香穴は刺鍼すると宣通肺窺の作用を及ぼし、嗅覚が回復し香味を良く迎え入れ臭いの嗅ぎ取れない症状を主治すると言われているが、嗅覚機能減退した80才以上高齢者の無嗅覚者には無効の場合が多い。然しながら、今回のように一過性の嗅覚間木での迎香穴刺激は嗅覚に対する感受性を増大させるので無嗅覚症の治療やアロマテラピーの効果増大に是非用いるべき経穴である。
客観的に迎香穴刺激による宣通肺窺の作用、すなわち鼻孔への外気の流入が増加し鼻部の温度低下を知るための迎香穴低周波針通電前後のサーモグラム比較は写真に示した通りであり、施術前に比し施術後は明らかに鼻部の温度低下が示されている。
また、迎香穴への円皮針貼付刺激により、貼付前に比し貼付後は嗅感度が明らかに上昇しているのも図に示すとおりである。
それ故に、最近汎用されているアロマテラピーを施行するには、経穴・経絡に熟知した鍼灸師を参加させれば効果の増大が期待される。

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