津島佑子と花の世界−秋・冬編
「春は桜草、秋はコスモス、と私にはちょうどこの二つの花が姉妹のように思え、その季節になるとどちらも一度は買い求めずにはいられなくなる。
今は、花屋にいくらでも、そしていつでも、色の美しい華やかな花が置いてある。けれども私に野の香りを感じさせてくれる花は、なんと言っても桜草、そしてコスモスなのだ。・・・コスモスを見れば、夏がやっと終わりに近づいてきたことに気づかされ、ほっと安らいだ気持ちになる」
(『桜草の祝福』<花の友>'85.3)
「庭といえば、調理室の裏にも小さな庭があった。子どもたちの出入りは禁じられている。そこには、今、シオンがいっぱい咲いている。夏には、ダリアとカンナだった。調理のおばさんたちの庭なのだ。理科室で飼っていた文鳥のオスが死んだ時に、有子が頼みこんで、カンナの根もとに埋めさせてもらったことがあった」
(『燃える風』<中央公論社>'80.4)