
旧津山機関区 扇形機関庫 保存活用へ向けて
| 2007/12/24開設 2009/06/13改訂 |
─── 津山近郊には、旧津山機関区 扇形機関庫・転車台をはじめ、旧美作河井転向給水所 転車台や 美作滝尾駅や知和駅、美作河井駅の駅本屋など、今では貴重となった建造物、設備が点在しています。
現在、これら貴重な鉄道文化遺産・近代化遺産を保存活用しようという機運が高まっています。
旧津山機関区 扇形機関庫・転車台('07年10月撮影)
● 注目を集める扇形機関庫
旧津山機関区 扇形機関庫は、全国でも13ヶ所しか残っていない扇形庫のうち、 京都・梅小路に次ぐ17線の規模を持つ鉄道文化遺産として、 当サイトでもその貴重さ、価値をお知らせしてきました。
この間、津山町並保存研究会の皆さんの実測調査やエコネットワーク津山さん主催の機関庫見学会などが 報道でも取り上げられ、また加えて、インターネットなどを通して、鉄道ファンをはじめ幅広い層の人達にも、 次第に広く知られるようになりました。
こうした中で、岡山県、津山市、JR西日本岡山支社、津山鉄道部(当時)のご理解もあり、 また関係者の皆様のご尽力のおかげで、この扇形機関庫・転車台を近代化遺産として、 また地域の観光資源として段階的に保存活用を行っていく構想が持ち上がり、 各関係機関や「みまさかローカル鉄道観光実行委員会」(平成19(2007)年4月〜6月にかけて 岡山県とJR6社がタイアップして行われた観光キャンペーン「岡山デスティネーションキャンペーン」に 先駆けて平成19(2007)年1月に設立された。)において、現在検討が行われています。
● 始まった一般公開
保存活用に向けての一つの契機となったのは、この「岡山デスティネーションキャンペーン」。
扇形庫内には、1両のみ試作されたディーゼル機関車、DE50-1号機が平成14(2002)年より保管されており、 17線もある貴重な扇形庫とともに、このDE50-1号機も貴重な存在となっています。
保存活用に向けての第一段階として、まず、扇形機関庫・DE50-1号機を観光スポットの一つとして、 キャンペーンにあわせて一般公開することとなりました。
また同時に、扇形機関庫に隣接して「懐かしの鉄道展示室」を設け、この一般公開も行われました。
この鉄道展示室は、2階建ての旧詰所棟(旧乗務員宿舎棟)の1階の一部を改造し開設するもので、 タブレット閉塞機や気象警戒板、行先表示板など、主に国鉄時代に使用された鉄道の備品を中心に展示。
また、扇形庫の実測調査図面や津山駅開業当時の写真、美作地方の旧国鉄線の歴史のパネル展示などで、 昔の様子を知ってもらおうというものです。
この機関庫や「懐かしの鉄道展示室」の一般公開には幅広い層から予想を上回る見学者が来場。
好評を得たため、翌7月末〜11月末の期間で、再度一般公開が行われることとなり、 これにあわせて、扇形庫に収容・展示する車両を増やす作業、 「懐かしの鉄道展示室」の拡張・リニューアルも進められました。
![]()
一般公開の様子。
見学では扇形庫や中の車両、転車台などについて駅長さんをはじめとする職員の方々による説明や、 転車台の回転の実演もあり、 また展示室では、OBの方々による解説やタブレット閉塞機の操作実演も行われた。
(上の画像は、いずれも平成19年の公開時の様子。)
![]()
見学ルートの入口(駅舎横)には、来津を歓迎し扇形庫とDE50-1号機をPRする看板が掲げられている。
扇形庫や展示室までの途中では、駅長さんやその他の職員の方々によって駅構内やレール・ポイントなどの説明も 行われた。
(上の2点は、いずれも'08年3月撮影)
![]()
機関車のデッキに上がって記念撮影。
中には駅長さんに帽子を借りて被る子供も。
('08年5月 扇形庫内にて)
こうして4月から開始された平成19年の扇形機関庫・「懐かしの鉄道展示室」の一般公開は、 11月末で一応の予定を終了し、この間、約4,800人の見学者がありました。
この一般公開が盛況だったことから、翌年も一般公開が行われることとなり、 平成20(2008)年は3月22日〜6月24日、7月28日〜11月25日の間、第2・第4の土日を中心に行われ、 平成19年同様、鉄道ファン、家族連れ、団体ツアーなど幅広い層の見学者が数多く訪れました。
特に、平成20年9月30日にNHK総合テレビでこの扇形庫から全国へ生中継された「生中継 ふるさと一番!」の放送以後、 全国から見学者が増え、盛況となりました。
また、この平成20年の一般公開に先立っては、「懐かしの鉄道展示室」の展示品を増やし、 展示室が2室に増やされたほか、展示車両もJR四国・多度津工場に保存されていたDE10-1号機を 期間限定で借り入れ、扇形庫の9番庫に展示するなど、各展示の充実も行われました。
このDE10-1号機は、平成21(2009)年5月まで展示されました。
平成21年度も一般公開は行われており、3月13日〜11月29日までの、第2・第4の土日を中心に行われています。
● 扇形庫内の車両と「懐かしの鉄道展示室」
現在、扇形機関庫内には、ここで展示する車両として4両の国鉄型ディーゼル車両が収容されています。
幹線貨物用の強力エンジンを持つディーゼル機関車として試作され、量産が期待されたものの叶わなかったDE50-1号機。
非電化幹線の主力機として主に山陰地方で活躍し、寝台特急「出雲」も牽引したディーゼル機関車DD51-1187号機。
急行型車両として製造され、急行「みよし」など近年までその任を果たしていた気動車、キハ58-563。
そしてキハ58-563と対になり活躍した、キハ28-2329。
キハ58・28の2両は現在現役車両としてイベントや貸し出し要請があれば運用されることになっているため、 扇形庫から出庫する場合もあります。
またこの他、平成20(2008)年3月から平成21(2009)年5月まで、期間限定で展示されていたDE10-1号機は、 亜幹線・支線区用の万能タイプのディーゼル機関車・DE10型の1号機で、四国で長年活躍。
JR四国・多度津工場に保存されていたものを借り入れ、展示していました。
![]()
扇形庫に集う国鉄型車両たち。
左の画像は、DD51-1187号機(左)とDE50-1号機。
上の画像は、左からキハ28-2329、キハ58-563。
機関庫の奥行きと車体の長さの関係上、キハ58などの気動車を収容する場合は、 車体の前面が機関庫から覗く。
![]()
JR四国より借り入れたDE10-1号機。
ここに来る前に多度津工場で整備を受け、本線上を試走した。
上の画像は、機関車3両、気動車2両が扇形庫に並んだ様子。
(この2点の画像は、いずれも'08年3月撮影)
扇形庫内から見た、3両のディーゼル機関車。
手前から、DE10-1号機、DE50-1号機、DD51-1187号機。
扇形庫内に並ぶ様子は、蒸気を上げないディーゼル車両であっても壮観なもの。
('08年3月撮影)
「懐かしの鉄道展示室」は当初、約20uの広さでしたが、 平成19(2007)年7月28日からの再公開にあわせて約1.5倍の広さに拡張。
さらに平成20(2008)年3月からの再公開に合わせたリニューアルでは、 展示室を2室に増やし、津山周辺をテーマにした展示室と、岡山などその他の地域をテーマとした展示室を設けました。
展示品も、鉄道ファンやOBなどから提供の申し出が相次ぎ、そうした品々も、JRの所有品とあわせて2つの展示室に展示。
タブレット閉塞機(1対)や急行「砂丘」のヘッドマーク、吊下式・差込式の行先表示板、 「砂丘」「みささ」「みまさか」などの列車愛称板、気象警戒板、津山機関区の看板など、 その他にも貴重な品々が並べられているほか、屋外には腕木式信号機が復元され、 実際に羽根を動かすことも出来ます。
![]()
「懐かしの鉄道展示室」建物外部に設けられた看板と、その傍に聳え立つ腕木式信号機。
展示室入口にも、看板が設置されている。
(この2つの画像は、いずれも平成19年の再公開の時のもの)
津山周辺をテーマにした展示室の内部。
広い展示室ではないものの、行先表示板、愛称板、急行「砂丘」のヘッドマーク、 津山の鉄道の歴史のパネルや、扇形機関庫の実測図面などがズラリと並ぶ。
また鉄道ファンが撮影した写真も展示されている。
タブレット閉塞機は一対で操作してみることも出来る。
こちらの展示室は、岡山などその他の地域をテーマとしている。
SLのナンバープレートや行先表示板のほか、気象警戒板や信号灯、 その他にも記念切符や列車の運行資料など、こちらも数多く展示されている。
● 旧津山機関区 扇形機関庫 保存活用に向けて
扇形機関車庫・転車台は、蒸気機関車全盛時代の名残であると同時に、 鉄道が我が国の近代社会の発展に貢献してきたことを示す近代化遺産の一つでもあります。
現在、国内に扇形機関車庫は13ヵ所しか現存しておらず、 その中でも旧津山機関区の扇形機関車庫・転車台は京都・梅小路に次ぐ2番目の規模のものであり、 構造的にも特徴がある機関車庫です。
また同時に、津山が当時から鉄道の要衝であったこと、鉄道がこの地域の近代化や発展に大きな役割を 果たしてきたことを示すものでもあります。
こうした地域の歴史の「生き証人」でもあり、貴重な近代化遺産でもある旧津山機関区の扇形機関庫・転車台は、 津山の「財産」でもあるのです。
この津山の「財産」は、これまでその価値があまり知られておらず、 いわば「埋没」していたかたちでした。
しかし、前述のような動きや取組によって、地元にも全国にも、次第に知られるようになってきました。
これまでも岡山県教育委員会が選定した「岡山県の近代化遺産」、社団法人 土木学会が選定した「日本の近代土木遺産」 に認定されていましたが、これに加えて平成20(2008)年10月にはJR西日本社内での「登録鉄道文化財」に認定され、 さらに平成21(2009)年2月には、経済産業省の「近代化産業遺産」に認定されました。
このことによって、この貴重な扇形車庫・転車台を保存活用しようという機運が高まっています。
今後、この扇形機関庫・転車台がどのようになるのか、現時点で明確なことは決まっていませんが、 全国的にも貴重な施設・近代化遺産として保存しつつ、貴重なディーゼル車両を扇形庫に集め、 一般公開することによって新たな観光資源としても活用しようという「博物館化」の構想もあり、 さらには、開業当時そのままの貴重な木造駅舎として平成20(2008)年秋に国の登録有形文化財となった美作滝尾駅舎と同様に、 旧美作河井転向給水所の大変貴重な40フィート型転車台と併せて国の文化財指定を受けることについて、 津山市などがJR西日本と協議を行っています。
このように、貴重な近代化遺産を地域の財産として保存活用することに向けて、一歩ずつ進み始めています。
今後の動向に、期待したいと思います。
■当サイト管理人からのお願い(注意)■
津山駅の扇形機関庫・転車台は操車場の中(JRの敷地内)にあり、現役施設として使用されています。
(津山駅・津山運転区では、これらの施設を一般公開時を除いては原則非公開としています。)
最近では、こうした施設・設備が珍しいということで訪れる方も増えてきていますが、 無断立入などの行為は絶対に行わないで下さい。
こうした行為は、JRの迷惑となると同時に、事故の原因となる場合もあります。
JR敷地内に立ち入らなくても、津山駅の扇形機関庫・転車台は周囲からも十分見ることが出来ます。
住民の方やJRの方のご迷惑にならないよう、節度を守って見るようにしましょう。