県との質疑3〜静岡県庁防災参集訓練服務事案〜

 UP2004.08.07  更新2005.04.20

2005.4.20掲示板にて結果速報

職員向けお知らせ追記2  投稿者: 管理人  投稿日: 4月20日(水)19時02分59秒

県人事委員会で審査中であった動員訓練案件の結論が19日付け(20日着)示されました。

例の通知に基づく動員訓練の取り扱いについて、

・参集方法を徒歩等と指定したが、必ずしも強制するものではない

・参集経路の指定や参集途上での離脱・中断は個々の職員の判断に委ねられている

・参集における「直ちに」の意味は、常識的な範囲内で早く参集する意味である

などの事実認定によりあくまで通勤時間にすぎないと判断されました。

なお、離脱が認められない場合などはどうかとの問いには仮定に基づく判断はできないとのことでした。

 すなわち、参集途上での離脱・中断中には「参集における「直ちに」」も係らず、「徒歩等」も係らないことから、極端な例でいえば自宅を一歩出たところで中断・離脱し庁舎手前で復帰すれば普段どおりの通勤と変わらないこととなるわけです。

 これにより、本県の動員訓練は任意の離脱・中断が認められる(茶番の)訓練であることが確認されたわけで、東海地震切迫の折、先日紹介した休憩時間割り振りの問題も含め、きちんとした職務体系に組み込んだ実のある訓練体制となるよう改善が望まれるところのものと感じますが、知事、人事委員会ともこれで良しとするところであり、後は個々の職員の判断に委ねるものです。

1 趣旨

 現在静岡県ではおおむね年2回、防災要員に指定された職員対象に参集訓練が行われているが、この参集に要する時間の取り扱いについて疑義があるため以下の意義にも鑑み、2のとおり要求したところである。

 これまでのところ、少なくとも照会に対する人事室の見解は是認されるべきものといえるが、反面、参集訓練を企画した防災局側に今日の問題の原因があると推察されるところである。もっとも、これが意図して参集従事職員を錯誤に陥れたものか、単純に解釈を誤ったものか、またはもとより人事室と同一の見解にあって職員の側の一方的思い込みによって生じた錯誤かなどは確認されたわけではない。
 しかし、現に時間外手当の支給対象になっていないことから自動車で途中まで来る例もあると聞くに及び、この取り扱いの本質を明確にし、あるべき姿に是正することは、先の裏金調査時の免責条件のように、(妄信とはいえそれに従った)正直者が馬鹿を見ないために、しいては、そのような組織風土を改めていくために、十分有意義なものと考える。

 まして、防災局といえば地球防衛軍気取りの制服マニアのごとく真夏の机上のみの訓練内容でさえ冷房の利いた部屋でわざわざ冬の防災服着用を自他共に求める奇異な思考集団であり、つい昨年の防災訓練においてさえコピーや決裁に長蛇の列が出来ているのに何の危機感も無い部署である。同部署の誤った見解を是正することは、彼らに前例踏襲ではなく基本から考えることを教える意味でも重要なものと考える。

2 措置要求書

勤務条件についての措置の要求書

 

  静岡県人事委員会 委員長 ○○○○ 様

 

  地方公務員法第46条の規定に基づき下記のとおり要求する。

1 要求者

 ××××××× ○○○○(昭和××年××月××日生)所属部局:××部

2 要求すべき措置

  以下の3点について、県に指導・勧告すべきことを要求する。

(1) 防災動員訓練等に係る登庁命令に伴う参集において、その時期を直ちに登庁すべきものとし、かつ、参集方法を通常の通勤方法と異なる徒歩等で行う旨指示され、かつ、参集途上の指揮命令下からの離脱等認められない場合における当該参集にかかる時間は勤務時間として取り扱うこと。

(2) 参集訓練の実施に当たっては、当該参集訓練が通勤によるものか勤務によるものかをあらかじめ明らかにすべきこと。

(3) 通勤時間として取り扱う参集訓練にあっては、参集途上での離脱、中断等の自由が認められている旨職員に周知すべきこと。

3 措置の要求の理由

 (1) 要求の対象となる参集形態

平成16年4月に行われた全職員動員訓練において、××支部総括班員にあっては、

@「ポケットベル、電話等により情報(召集)を受信したときは、定められた職員に連絡し、直ちに支部室に出動すること」

A「参集方法は徒歩、自転車、バイクによること」

と、バイク・自転車を所持しない者は徒歩によるべき旨が、事前説明会において明文指示され、その際の資料「平成16年全職員動員訓練行動フロー図」においても、1の電話連絡に始まり「2 登庁準備(水筒及び着替えを持参)→3 登庁(徒歩、自転車、バイク)→・・・以下略」などと訓練行動の一つである旨明示されている。

また、「平成16年度全職員動員訓練実施計画」においては、「1目的」として「人事異動により、防災要員に変更が生じた年度当初に、突発地震が発生したことを想定し、県及び市町村の災害対策本部(支部)の初動体制の確保と動員体制の確認を行なうこと等を目的とする。」と明示され、参集に要する時間の報告まで求められており、参集途上においては、通勤経路の離脱や中断はもちろん、本来通勤としても認められているコンビニ等での日用品の購入や単身者の通勤途中での食事なども行為も認められていないことは明らかである。

なお、対象者は絞られるものの、「参集途上の被害状況(仮想)収集訓練実施要領」により、「総合司令室付職員(対策班、情報班)及び支部総括班員で、訓練地震発生時刻(基準時刻)から概ね30分以内に参集できた者」に対しては「参集途上で参集経路周辺の被害状況をイメージする。」「参集途上で把握した(仮想)被災状況を参集途上被害状況(個人)報告書に記入し、被害状況の収集を担当する者に報告する。」旨明示されており、主催側においても参集途上とはいえ訓練中であるとの認識は明らかである。

 (2) 現実の処遇

しかるに、上記形態の参集に係る時間については、「平成16年度全職員動員訓練実施計画 ××支部」の「別添1 訓練計画」において、「第1次要員の服務の取扱いは、平成13年8月28日付防管第33号「静岡県総合防災訓練での第1次地震防災応急対策要員の服務の取扱いについて(通知)」を参照のこととされているため、各所属とも同通知中の「2 時間外勤務命令について」により、前記参集時間を通勤時間とみなし勤務時間として取扱わなかったのである。

(3) 勤務時間該当性

そこで、当該参集時間が勤務時間すなわち労働時間に該当するかを思量するに、近年の判例により、労働時間とは「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではない」(三菱重工業長崎造船所事件・最判平12.3.9労判778号)と客観説・指揮命令下説を採用することに加え、「当該時間に労働者が離れることを保証されていて初めて、労働者が使用者の指揮命令下に置かれていないものと評価することができる」(大星ビル事件・最判平14.2.28労判822号)として、労働時間でないとするには少なくとも求められる役務からの離脱の自由が与えられるべき旨判示されたところである。

これを、前記(1)の参集形態に当てはめるに、通勤方法、通勤手段、通勤中の行為は訓練計画等により包括的に拘束されており、自由意志に基づく離脱は認められておらず、もっぱら指定された参集方法により指示された参集先に実際の発災時同様向かうべく役務の提供を義務づけられたものといえ、この事実から当該参集時間はいわゆる労働時間にあたるものとして勤務時間に算入すべきものと考える。

   なお、このことは、「地方公務員の[新]勤務時間・休日・休暇(第1次改訂版)」(小原昇 小川友次 著、学陽書房、平成15年10月20日発行)の113ページに記述の実例A「災害を予想した参集訓練  家を出る時間(たとえば午前六時に地震が発生したものとして、直ちに)及び役所までの通勤方法を特定され(自転車あるいは徒歩)て参集する場合は、家を出発した時点から勤務時間である。」、あるいは、「地方公務員勤務時間等質疑応答集(第三次改訂版)」(地方公務員勤務時間制度等研究会編著、学陽書房、平成6年7月1日発行)49ページの判断に迷う雨天時の勤務時間変更の効力について質した「32 職員参集訓練と不参加職員の勤務時間」の防災訓練徒歩参集事例の記述「A市では、県からの指示により、防災訓練の一環として、職員参集訓練を行なった。この訓練は、「発災時刻を午前六時とし、同時刻に予め指定された職員が一斉に自宅を出発し、一切の交通手段を用いることなく徒歩で市役所に出動せよ。」というもので、小雨の場合でも決行することとされていた。しかし具体的な点に係る周知は的確に行なわれずじまいだった。参集訓練に参加するため指定された職員の当日の勤務時間は、全員午前八時三十分から午後五時十五分までであるが、時間外手当との関係で、当日、訓練が決行された場合には、午前六時から午後二時四十五分に変更することになっていた。(以下略)」からも当然視される見解である。

(4) 平成13年8月28日付防管第33号「静岡県総合防災訓練での第1次地震防災応急対策要員の服務の取扱いについて(通知)」の解釈の齟齬

   人事室に対する照会によれば、(参集途上の拘束について具体的記載の無い)同通知は「指揮命令下にないことを前提に同意された」ものであるのに対し、最近における事業企画側(防災当局)の実際の運用あるいは参集従事職員の認識は、これと異なるものとなっている。

   このことは、万が一の事態にあたって、単なる通勤途上における災害か公務上の災害かの判断にも関わり勤務条件として看過できない齟齬である。

   よって、前記のとおり要求を行うものである。

4 当局との交渉過程の概要

  平成16年7月26日、所属事務所に対し口頭で疑義を通告。

  同日、所属事務所○○総務係長より、前記平成13年8月28日付防管第33号「静岡県総合防災訓練での第1次地震防災応急対策要員の服務の取扱いについて」の提示あり。

  平成16年7月27日、人事室担当○○○○主査に同通知の経緯を照会。

  平成16年8月5日、人事室担当(○○主査)より、

   「平成13年8月28日付防管第33号「静岡県総合防災訓練での第1次地震防災応急対策要員の服務の取扱いについて(通知)」は、参集までの時間は指揮命令下にないことを前提に同意された通知である。」との回答。

 通勤ということであれば参集途上でのコンビニ立ち寄りや食事等の離脱の自由が認められるのかとの問いには「認められる」との見解を示した上で、執行機関である防災局や支部の細かな取り決めについては承知していないとのことであった。

当該見解は、事業企画側(防災当局)の実際の運用あるいは参集従事職員の認識との食い違いがあり、9月1日にも同様の参集訓練が予定されており、万が一の事態にあたって、単なる通勤途上における災害か公務上の災害かの判断にも関わり急を要するものと考え、早急に本件措置要求を行なうことを人事室担当に通告。

以上

平成16年8月6日

〇○ ○○

 ※ 3の(3)中の「当該時間に労働者が離れることを保証されていて」は正しくは「当該時間に労働者が労働から離れることを保証されていて」であり、脱字誤りである。全体の要旨に影響がないので差替えは行っていない。

3 平成13年8月28日付防管第33号「静岡県総合防災訓練での第1次地震防災応急対策要員の服務の取扱いについて(通知)」

防管第33号

平成13年8月28日

各所属長様

総務部防災局長

静岡県総合防災訓練での第1次地震防災応急対策要員の服務の取扱いについて(通知)

このことについて、下記のとおりとしますので、適切に取り扱われるようお願いします。

なお、本通知については人事室と協議、調整済みであるので申し添えます。

1 旅費について

  (略)

2 時間外勤務命令について

 原則的には、参集所属での訓練について、時間外勤務命令を発することとし、詳細については、別添事例を参照のうえ処理すること。

3 その他

 今後における全職員動員訓練においても、同様の取扱いをすることとする。


 このように通知され添付事例として「総合防災訓練における職員の行動例」が表となったものが添付されているのだが、確かに当時の文書には、「直ちに」登庁すべきとも、離脱の可否についても明記されていない。
 そういえば過去の訓練では電話を受けてからすぐに食事を済ませて登庁したこともあったと記憶している。
 いつのまにか運用が、当時の「協議、調整」の前提となっていた「原則」から乖離していったのではないかと考える。いわゆるなし崩しである。
 最近相次いで労働時間に関する重要判例が出ていることがあり、昨今の取り扱いの誤りが故意か過失かは判然としないが、今ここで原点に立ち返り運用をあるべき姿に見直すべきである。

4 経過報告

日 付
内   容

8月6日

措置要求書発送

8月11日

県人事委員会より、措置要求書の受理を決定したとの連絡が入る。

8月12日

事案として受理した旨の通知(平成16年8月11日付け静人委第173号)が到達。

8月25日

平成16年度総合防災訓練打合せ会が開催され、今回の参集方法は、昨年度と異なり、「通常の通勤手段も可」と明記され、今般の訓練における本事案の判断の必要が回避された。また、冒頭指摘の冗長な決裁を無くし、コピー機器の配慮もなされるなど改善も図られ、監察スタッフとかいう厚顔・無能な部署との相違も認識できたところである。しかしながら、県民の生命・財産を守る機関としてはもう一歩、一を聞いて十を知る、すなわちゼロベースでの検討を期待したがそこまでには至らなかったようである。以下にその残された課題の一つを質疑したので掲載する。

総合防災訓練に係る服務取り扱い上の質問

当方:一点確認のうえ質問を1つ行ないたい。参集方法が変更になったが、超過勤務の開始時刻については、これまでどおり参集時間からということで良いか?

防災担当:これまでと同様、参集時間からです。

当方:そこで、質問であるが、労働基準法34条及び「職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例」第6条により「1日の勤務時間が8時間を越える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を、勤務時間の途中に与えなければならない」と規定されているが、通常の休憩時間の45分では不足する15分の休憩をどこに入れる計画か伺う。

防災担当:・・・・、通常なら、8:15〜8:30になるのかと思うが確認の上、回答したい。

当方:それ(後で回答)で良いが、その時間では、(前述確認事項によれば)8:20分参集者は別途与える必要が生じてしまうので、良く検討されたい。


 ちなみに、この日示された県総合防災訓練実施計画案によれば、8時15分からは「知事訓示」が予定され、支部においてはTV視聴する計画になっている。「そんなもの聞く必要ないよ、ウォークマンでも持ってきて聞いてた方がまし」という配慮?を込めての担当者の発言では無いのだろうが、実施計画や開始時刻などをもう一度整理し妥当な回答を期待したい。もし、防災担当のいう方向で調整が付けばその間に簡単な食事も可能となり従事者の健康管理上も申し分ないのだが。

8月27日

 上記の休憩時間問題に関し、支部担当者に確認。当支部においては次のとおり取り扱うことで確認し、これを了承した。これにより、少なくと当支部における違法取扱いは回避されたため、本件に係る追加の措置要求は見送ることとした。

○ 8時15分より前の参集者については、参集時間を起点とした超勤とし、8時15分から8時30分までを休憩時間とする。

○ 8時15分以降の参集者については、通常の勤務時間(8時半から)とする。

 なお、本部及び他の支部については不知。現下の組織体質においては保身のための黙認もやむおえないが、(自身の関与するところでの適法も守れない者が、県民の利益を守れる道理はないわけで、)意志ある者は個別に確認されたい。

現時以上