静岡空港と神戸空港は、平成14年4月に国の空港整備部会で示された新しい需要予測の手法に基づき、共に平成14年度に需要予測の見直しを行った。静岡空港は「静岡空港需要予測等検討委員会」、神戸空港は「神戸空港需要検討会」で審議され、両会ともに専門家・学識者によって構成され慎重に審議されたという。また、両需要予測ともその後の第三者機関による評価で国のガイドラインやマニュアルに沿って行われた最新の手法による需要予測であるとして「適切」と判断されている。ただ、大きく運命が異なった点といえば、神戸空港は平成18年2月の開港間近なのに対して、静岡空港は未だ用地取得もなされていない状況にあるということであろうか。
今回は、この神戸空港の需要予測と現実のギャップを基に、以下に、静岡空港の開港時の現実を予測してみたい。
神戸空港は開港を間近(2006.2.16)に控え、航空各社による定期便の運航ダイヤが出揃った。これを実績として需要予測と比較すれば次のとおりとなる。
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Jサイズ(560人乗) |
B747-400D(569人) |
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就航予定なし |
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Lサイズ(410人乗) |
B777-200(382人) |
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B777-200(389人) |
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Mサイズ(200人乗) |
B767-200(235人) |
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B767-200(260人) |
3便 |
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Sサイズ(100人乗) |
B737-500(126人) |
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B737-400(156人) |
5便 |
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PRサイズ(50人乗) |
SAAB340B(36人) |
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DHC8-400(74人) |
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出典等) 注)大型機は、東京1便、那覇2便のみ。 |
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羽田便 |
路線数 |
1路線 |
1路線 |
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便数(機材) |
5便(J1、L2、M2) |
11便(L1、M2、S8) |
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着陸料収入 |
4億円 |
5億円 |
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利用者予測・推計 |
93万人(※210万人) |
102万人 |
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羽田便以外 |
路線数 |
10路線 |
6路線 |
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便数(機材) |
22便(L3、M10、S8、PR1) |
16便(L2、M4、S16、PR2) |
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着陸料収入 |
10億円 |
3億円 |
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利用者予測・推計 |
226万人(※370万人) |
154万人 |
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計 |
路線数 |
11路線 |
7路線 |
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便数 |
27便 |
27便 |
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着陸料収入 |
14億円 |
8億円 |
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利用者予測・推計 |
319万人(※580万人) |
256万人 |
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注) |
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ここで静岡空港と神戸空港の需要予測を比べてみよう。
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(平成17年度開港時) |
(平成17年度開港時) |
(開港時就航予定) |
(平成18年度開港時) |
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(開港時就航予定) |
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羽田便 |
210万人 |
93万人 |
102万人 |
なし |
同左 |
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新千歳便 |
67万人 |
42万人 |
32万人 |
50万人 |
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福岡便 |
66万人 |
41万人 |
就航なし |
24万人 |
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鹿児島便 |
39万人 |
25万人 |
30万人 |
17万人 |
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那覇便 |
67万人 |
41万人 |
63万人 |
15万人 |
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その他 |
131万人 |
77万人 |
29万人 |
なし |
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計 |
580万人 |
319万人 |
256万人 |
106万人 |
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注) |
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(平成18年度開港時) |
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新千歳便 |
50万人 |
31万人 |
Mサイズ(2便)Sサイズ(1便) |
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福岡便 |
24万人 |
15万人 |
Sサイズ(2便) |
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鹿児島便 |
17万人 |
10万人 |
Sサイズ(2便)〜最小:就航なし |
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那覇便 |
15万人 |
14万人 |
Sサイズ(2便) |
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計 |
106万人 |
70万人 |
Mサイズ(2便)Sサイズ(7便〜5便) |
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注) |
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新千歳便 |
254百万円/年 |
98百万円/年 |
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福岡便 |
105百万円/年 |
43百万円/年 |
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鹿児島便 |
79百万円/年 |
43百万円/年〜0百万円/年 |
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那覇便 |
53百万円/年 |
14百万円/年 |
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計 |
491百万円/年 |
198百万円/年〜155百万円/年 |
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注) |
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滑走路等の管理 |
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照明施設の保守管理 |
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航空保安施設定期検査等手数料 |
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消火・救護施設の維持管理、車両管理 |
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管理事務所経費 |
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駐車場維持管理 |
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周囲部管理 |
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しかも、静岡県の需要予測は、基となる航空旅客流動量の2倍近い水増し改ざんや羽田空港や中部国際空港よりも安いという矛盾した運賃設定など不合理な点が多く、より厳しい現実も確実である。
さらに、静岡空港運営会社の運営にも厳しい現実が待っている。
県はターミナルビルの管理・運営に加えビルの建設、滑走路などの基本施設の管理・運営も民間の運営会社に委託する意向を示し、収支予測として国内線106万人国際線32万人を前提に年間収入が6億7千万円(うち着陸料6億3500万円)、支出が5億2千万円と試算。空港の基本施設だけで年間1億5千万円の黒字が確保できるとの見込みを、静岡空港運営会社参加の意向の10社に提示した。(10社とは、静岡銀行、スズキ、時之栖、東芝機械、富士テクニカ、鈴与、静岡鉄道、スター精密、ヤマハ、ハマキョウレックス)
また、知事は2004/3/2の産経新聞上で、空港施設運営会社への出資等について、「県に出資を求めようという動きは出ていません」「そんなことを考えるような柔な経営者の皆さんではないと思います」と述べていたが、神戸空港の厳しい現実を目の当たりにして、早くも一部企業が「運営会社の役割などが明確でない以上、県にも応分の負担を求めたい」(2005/12/2日本経済新聞)などと言い出し、県は正式に要請があれば応じる方針であるという。
地方空港初の民間運営会社のはずが、結局、「第3セクター」となる可能性が高くなってきたのだ。これは、企業が例えば航空燃料の納入などで収益を得る中で、運営の赤字は県民が被るという悪しき時代の定型パターンの再来である。このような状況を容認して参加するならば、静岡空港運営会社参加の意向の10社は県民を食い物にする企業のそしりを免れまい。違法な公道実験を行っていたスズキや、違法に路線バスの運行を途中で止め補助金を得ていた静岡鉄道など、参加資格を疑うような企業も参加している。企業として社会的責任を自覚するのなら、県税に頼らず運営する覚悟をもって参加すべきであろう。まして、役所の予測を鵜呑みにせず自立した判断のできない企業は、後に赤字債務の応分の負担をなすべきは当然というべきである。
そしてなによりも、本当に静岡空港が必要なのか?近隣空港とのアクセス向上の方が優先されるべきではないのか?2500m滑走路を必要不可欠としての強制収用がどうして可能なのか?再度、皆々に問いかけたい。
2005.12.4