第3回・「セナがいた時のF1話」ロケ地:鈴鹿サーキット・メインストレート

 今回からはなんと鈴鹿サーキットのメインストレート上でのトーク!!昔、F1オタクだったニセ王様と今でもF1を見ているニセ門番。 この両者から見た90年代F1オタク話!!中嶋の思い入れ度を自慢する二人。そして、話題はいつのまにか避けては通れないセナの思い出話に...。

ニセ王様: いやぁ〜。すごいね(笑)。

ニセ門番: すごいですね〜。あの、その、質問があるんだけどもね。

ニセ王様: なに?

ニセ門番: ほら、あそこのチェッカーフラッグ振る台あるじゃないですか。あそこの「NAMCO」っていつからついたんだろうな、って。

ニセ王様: あ〜、そっか〜。87年からついているのは知っているよ、わしは(笑)。

ニセ門番: F1ではそうですよね。あと、鈴鹿8耐でも見ますね。

ニセ王様: ウンウン。

ニセ門番: 8耐もいいですよ〜。ほんと、あれだけは見に行ったほうがいいですって。

ニセ王様: で、その8耐であの端からはじまでレーサーが走るヤツだ。(コース脇を指差して)ここをこう、走るわけですよ。

ニセ門番: そうですそうです(笑)。

ニセ王様: いやあ、なんか興奮するね(笑)。ここが、あれですよ。

ニセ門番: フロントロー!

ニセ王様: そう。セナもベルガーもここからスタートした、という。

ニセ門番: そのポールポジションの位置に我々がこう、テーブルとイスを預けて(笑)。

ニセ王様: 預けて(笑)。もう、興奮ですよ(笑)。今日は、とりあえず門番のホームグラウンドですから。

ニセ門番: そう。ほんとねぇ〜この鈴鹿には50回以上は行ってますよ。鈴鹿には。F2時代から見てきましたから。

ニセ王様: F3000じゃない時代だ。F2!ですよ。星野VS中嶋、みたいなね。で、ほら横には。ピット。

ニセ門番: 今はガレージが下がっているけども。なんせ、今夜の10時ですから(笑)。

ニセ王様: (一番先のピットを指差して)あそこがマクラーレン。で、次からはフェラーリ、ウィリアムズ、ベネトン!
     みたいな(笑)。

ニセ門番: ベネトン!みたいな(笑)。モレノ泣く!みたいな(笑)。

ニセ王様: みたいな(笑)。ねぇ(笑)。で、あそこのピットレーンでシャフトが折れたマンセルがステアリングを叩く!
     みたいな(笑)。(真似して)こう、何度も叩く!みたいな。

ニセ門番: ねぇ〜。すごいですよ。青春ですね。青春。

ニセ王様: 青春だね。

ニセ門番: いや、ほんとね。今日はずっとF1話でいいんじゃねえか、と思うんですよ。僕は今でも好きだけど、
     王様のファンだった度もなかなかですから(笑)。ヨゴレですよ、そこまで知っているのは(笑)。

ニセ王様: いいね。

ニセ門番: あのっすね、今日はね。この鈴鹿に来てね、で、さっき言ったピットの前に行ったんですよ。一人で。
     マクラーレンってさっき指差したとこね。そこでずっと立ちながら考えてたんですけどね。
     「俺はセナを見てないんだよなぁ」って、もう泣きたいぐらい悔しさ込み上げてきたんですよ…。それこそ1歳ぐらい
     から行ってるから、もう鈴鹿には50回はゆうに越えてるぎらいここに来ているはずなのに、セナだけはね〜見てない
     んですよ。というわけで、今回は僕のセナの思い出とともにF1の話をしまくろう、と(笑)。

ニセ王様: いいね(笑)。セナファンが語るのをアンチセナが聞く、と(笑)。

ニセ門番: ここには、王様用のビールサーバーと僕専用のウーロンのペットボトルしかないけど、
     これは最高のツマミでしょう!(笑)

ニセ王様: いい!(笑)いや、あのね。ほんと、幸せだよな。こういう鈴鹿のホームストレートでこんなビアガーデンの
     ほうが立派じゃねえのか、と突っ込まれるようなテーブルとイスをバカみたいに広げてF1の話が出きるってのはね。

ニセ門番: いいですよ。で、そこでセナを語るんですよ(笑)。濃いトークになりそうだけども、勿論今回も付いて来れる
     やつだけ聞いてくれればいいんです(笑)。僕ね、さすがに84年のトールマンに乗ってるセナを、その当時に
     テレビで見た記憶はないんですけど、85年のロータス・ルノーに乗ってる頃からは記憶ありますからね。

ニセ王様: あの〜あれだ。85年はまだ「CAMEL」じゃなくて「JPS」のやつだ(笑)。真っ黒のやつ。

ニセ門番: そう!黒地に金色の「JPS」。もうめっちゃカッコよかった!

ニセ王様: 相方はデ・アンジェリスですよ!好きだったなあ、アンジェリス。アンジェリスももうこの世には
     いないんだよなあ。

ニセ門番: ジョン・プレイヤー・スペシャルのロータス、ていうか、ロータス自体を知らんヤツが最近の若者には
     いるわけですよ(笑)。

ニセ王様: まったくもって許せない話だ(笑)。そもそもだ。もし、そんなヤツがいたら俺はその場で正座させて、
     コーリン・チャップマンの事を半日解説してやるね(笑)。ふざけるな!と(笑)。

ニセ門番: 今回はセナの事ですよセナのこと(笑)。セナは初優勝は雨のポルトガル。85年の第2戦エストリル。
     雨のセナの第2章ですよ。第1章は勿論、その前のモナコになるんですけどね。

ニセ王様: 確か、半分ぐらいの周回で終わったんだよね。あのモナコは今から考えればかなり政治力学が
     働いていたんだよなあ。31周ぐらいで中断になったのかな。

ニセ門番: 競技長がジャッキー・イクスで、プロストが無線でずっと中止訴えていたんですよ。

ニセ王様: そうだ!ジャッキー・イクス!!

ニセ門番: いっきなり、赤旗振られたんですよ。それがプロストがずっと無線で訴えていて。

ニセ王様: 雨が大嫌いなプロストと大好きなセナ、という構図で。

ニセ門番: 構図で。しかしね、このモナコは中止になったから幻であり、伝説ではあるんですけどもね。

ニセ王様: そうだそうだ。で、3位がねえ、ステファン・ペロフが走っていたんだよぉ〜。わしねえ、大っ好きなのよ、
     このドライバー。

ニセ門番: そうそう!!この話が面白いもう1つは、セナの後ろに、さらに速く走ってたベロフがいたってことなんですよね。

ニセ王様: そうなんだよ!とりあえず、セナとペロフがプロストを抜くのは確実。最後5周はこの新人2名の争いになると思った
     のに、そこでプロストの必殺技「上に言っちゃうもんね〜」攻撃、炸裂!と(笑)

ニセ門番: (前ノメリで)これも「モナコ5月の海岸物語」と!(笑)

ニセ王様: (大笑い)で、今宮さん困る、みたいな(笑)。(前ノメリで)慶応のおりも正夫!と(笑)。

ニセ門番: また、古いネタを知ってるんだお互い(笑)。ていうか、当時何歳でした?

ニセ王様: 当時はわしは、え〜7歳?(笑)

ニセ門番: 84年の5月だから、4歳か、俺は。

ニセ王様: なんだか、すげえ嫌なガキだったなあ、お互い(笑)。

ニセ門番: まぁ、前さっき言ったような84年のリアルな記憶はないんですけどもね。

ニセ王様: やっぱ、リアルな記憶は88年からだなあ、わしは。

ニセ門番: あ、僕王様より先に見てます(笑)。86年から記憶あるもん、俺(笑)。

ニセ王様: 86年か〜(笑)。86年といえば、マンセルのアデレードの大パンクバースト事故でチャンピオンが
     何故かプロストになった、という(笑)。

ニセ門番: そうそう。

ニセ王様: あの時は一番チャンプに近いのがマンセルで次がピケ。最後がプロストでほとんど可能性がなかったんだよね。

ニセ門番: これをニュースで見て、とんでもねぇって思ってた記憶あるもん。鳥肌立ちましたよ。あれは。

ニセ王様: あれを見たら、ちょっと衝撃受けるよね(笑)。

ニセ門番: あの頃はね、まだフジが全戦放送する前でニュースでしかやらなかったんですよ。F1の結果は。

ニセ王様: それだけに衝撃はあるんだろうなあ(笑)。ニュース見ながら「こんな最後だったんかい」みたいなツッコミ(笑)。

ニセ門番: まだよくわからずに見てる一幼稚園児には大きな衝撃だったなぁ。

ニセ王様: 一幼稚園児(笑)。わしが親だったら「見ちゃいけません!」って止めていただろうなあ(笑)。
     「こんなすごいモン、ガキに見せられるか」みたいな(笑)。

ニセ門番: で、87年から中嶋悟F1進出、と。同時にフジテレビ全戦中継開始(笑)。あのね。今日はセナについて語る、
     ということだったけど中嶋についてもちょっと多くを割かせてもらいますよ(笑)。

ニセ王様: そりゃあそうだ。中嶋はわしにとってもスーパーヒーローだからじっくり聞かせてもらうよ。

ニセ門番: 中嶋はね、俺のとなり街出身なんですよ。

ニセ王様: 岡崎!!

ニセ門番: ね、愛知県岡崎市。でね。実は俺んちからいうと、岡崎の中心街を過ぎたところに中嶋の働いてたGSが
     あるんすね。中嶋石油っていうんですけど、これがまたね。出光なんですよ(笑)。

ニセ王様: 出光だったんだ!ほぉ〜、それは知らなかった!!

ニセ門番: 出光っていうのがなんともいえない感じでいいでしょ?(笑)でね、もうね、1歳から鈴鹿に行ってた俺からすると、
     チャンピオンの中嶋はもう、俺にはヒーローなんですよね。86年までは中嶋VS星野。その歴史が俺の中で流れてるもん。

ニセ王様: 星野と中嶋。過去にF1で走ったドライヴァーと、そしてこれからF1にいくドライバー。その2人の対決。

ニセ門番: まあ、他にも当時、スポット参戦でジョナサン・パーマーとかモレノも来てたんだけど、この2人でしたね。

ニセ王様: モレノはともかくパーマーも走ってたんだ!なんか、すげえなあ(笑)。フライング・ドクターですよ(笑)。
     わしはF2を知らないから全部が新鮮に見える(笑)。

ニセ門番: で、その中嶋がF1デビューしたときのペアがセナなわけですよ。

ニセ王様: そう。鈴鹿でホンダのエンジン開発に協力してくれたホンダからの最高のプレゼントですよ。まあ、あの時は
     ホンダの後ろ盾とか言われていたけどわしらには関係ないよね。

ニセ門番: 関係ないですよ!まず、日本人がフルタイム参戦をする事自体が衝撃だったし喜びだったんですよ。
     だけども、このときロータスは全チーム中、唯一アクティブ・サスを搭載してたんですよ。

ニセ王様: でも、それがまさか足かせになるとはね(笑)。やっぱ、当時はまだ「未来の道具」的でその年から
     ロータスが徐々にリズムが狂っていった感じがするなあ。

ニセ門番: このアクティブ・サスを駆使して、セナはモナコ、デトロイトの両市街地をぶっちきるんですよ。
     ただ、やはりアクティブ・サスはまだまだだったんですよ。メキシコぐらいではベネトンより遅かった
     ぐらいだったし。ブーツェンとかファビにも予選で負けたり。

ニセ王様: 必ずしもやはりウィリアムズやフェラーリとは戦闘力は勝っている、とはいえないロータスで2勝か。
     やっぱり、すげえなセナは。まあ、チーム的には中嶋よりセナにいいマシンを提供した、という事実もあるんだけども。

ニセ門番: で、87年で語らなくてはならないのが、シルバーストーンのホンダ1-2-3-4!マンセル-ピケ-セナ-中嶋ですよ!(笑)
     これは感動したし、マンセルがピケをハンガーストレートの終わりでブチ抜くときね、もうテレビの前で大興奮でしたよ。

ニセ王様: 残り2周ぐらいだったっけ?あのマンセルはすごかったよなあ。確か、ピットがピケよりマンセルのほうが
     一回多いからこうなったんだよね。

ニセ門番: そうですね。で、ニュータイヤでピケを後ろからふってふって、最後にハンガーストレートでズバッと!

ニセ王様: イギリスでのマンセルのすごさはこのレースに表れているよなあ(笑)。

ニセ門番: いやね、それよりもあの頃のシルバーストーンはほんとに超高速で面白かったんですよ。

ニセ王様: そう!そうなんだよ(笑)。だって、直線ばっかなんだもんよ。あそこ確か飛行場だったんだけどよね。

ニセ門番: そうそう。

ニセ王様: 昔のポールリカール、シルバーストーン、ホッケンハイムで「夏の超高速3連戦!」ってのがウリだったんだよ。
     わしも言葉だけで興奮していたもん(笑)。今や、当時のままなのはホッケンハイムだけでしょ。悲しいよな(笑)。

ニセ門番: でも、シルバーストーンは87年からですから(笑)。これ、知ってる?

ニセ王様: そう。86年以前はブランズハッチですから(笑)。

ニセ門番: これはね、ちゃんと理由があって、1コーナーでの大クラッシュで、それ以降はブランズハッチで
     やれなくなったんですよね。

ニセ王様: 懐かしいなあ。あと、87年でもスタートの大事故2連チャンでオーストリアもそれでしばらく
     開催されなかったんだよね(笑)。

ニセ門番: そうそう。オーストリア、オステルライヒリンクね。今のA1リンク。あのときはポールのマンセルが
     ストールしたり、フライングがあったりでね、もうめちゃくちゃだったんですよ(笑)。

ニセ王様: でもオーストリアのオステルライヒは、あのホームストレートは、お前それ反則だろってぐらい幅が狭いんだよね(笑)。

ニセ門番: そう。逃げ場がない(笑)。で、いろんなことが作用して、F1マシン10台が山積みになったんですよ(笑)。
     あれはね〜、ほんとみんなに見てもらいたい(笑)。ほんとね「山積み」なんですよ(笑)。

ニセ王様: 逃げ場が無い(笑)。テレビの中継では上からの画像で、見ていて「あ、こりゃやるな」って感じが
     あったんだよ(笑)。2回とも(笑)。よく5年間大きな事故がなかったもんだ、と思うわね(笑)。その前に誰か
     突っ込むヤツがいなかったのかね(笑)、「あぶねえよ」って(笑)。

ニセ門番: まあ、あれはマンセルが全部の発端ではあるんだけどもね(笑)。で、87年は鈴鹿でF1も始まるんですよ。

ニセ王様: あのさあ、一つ聞いていい?

ニセ門番: なに?

ニセ王様: ここのところは、わしもいきなりな感じがしたんだけども、やっぱり「フジがやるから日本でもやりましょうか」
     みたいなノリで決まったのかね?(笑)「中嶋も今年からだし〜」みたいな(笑)

ニセ門番: いや、たまたまでしょう(笑)。第一、それ以前にちゃんとしてないとF1なんて呼べないじゃん。
     色々と開催条件厳しいでしょ。FISAは。

ニセ王様: そうなんだけどさ(笑)。う〜ん。このあたりの動きがわからないんだよな〜。

ニセ門番: そういう事を考えるから「王様はヨゴレだ」って言いたくなるんすよ(笑)。もっと純粋に見ないと(笑)。

ニセ王様: これってヨゴレ的発想なのかなあ(笑)。

ニセ門番: で、鈴鹿ですよ(笑)。ここでもマンセルはやってくれた(笑)。

ニセ王様: ああ、S字で1回転半タイヤバリアー激突、みたいな(笑)。背中からいく、みたいな(笑)。最初は
     「また、マンセルが必要以上に痛がってやがるな」と思ったんだけども、どうも本気で痛そうじゃねえのか、と
     いうことでちょっと時間置いてからオフィシャル駆け出す、みたいな(笑)。

ニセ門番: このときウチの親父は生で見てたらしいんだよなあ(笑)。俺も生で見たかったなあ(笑)。
     ま、87年はこんなもんでしょうね(笑)。しかし、一年が濃い濃い(笑)。

ニセ王様: でも、88年はどうだ。個人的にはそんなに語るべくところはない感じがするけど。なんていったって16戦15勝だぞ。
     マクラーレン・ホンダが(笑)。

ニセ門番: いや、88年はあれですよ。鈴鹿と、あと、え〜っとどこだあれは。そう、モンツァ!モンツァがあるでしょ。

ニセ王様: ああ、モンツァね。唯一フェラーリが勝ったのがモンツァでなおかつ、ベルガーーアルボレートのワンツーの
     大きなオマケつき(笑)。

ニセ門番: そうそう(笑)。ラスト3周までセナが独走だったのに、なんであそこでからむかなぁみたいな(笑)。

ニセ王様: で、バカなティフォシが大喜び、みたいな(笑)。って、フェラーリマニアが怒るか(笑)。バカなティフォシ
     なんていったら(笑)。あ!思い出した!!セナが絡んだのはマンセルが水疱瘡で欠場したもんで、
     スポット参戦したシュレッサーだったんだよね!!(笑)で、周回遅れにしようとして激突!!
     う〜ん、思い出してきた!(笑)

ニセ門番: そうそう。J.L.シュレッサーですよ(笑)。ヤツは今パリダカ走ってます(笑)。

ニセ王様: あ、そうなんだ(笑)。鈴鹿はやはりセナと中嶋のストールが全てだったなあ。

ニセ門番: ま、セナはたしかにすごかったし感動した。ここでカペリの話を一ついれておきますか?(笑)
     王様が止まらんとは思うんですが(笑)。

ニセ王様: じゃ、一言だけ(笑)。そもそも、NAエンジン時代に1周(というか一瞬)だけでもトップを走ったカペリはすげえよ(笑)。
     はい、終わり(笑)。

ニセ門番: あ、ほんとに終わっちゃった(笑)。

ニセ王様: いや、わしはあまりマーチには興味無かったんだよ実は(笑)。

ニセ門番: あ、そうだったんだ(笑)。でもね、それ以上に話したいのが中嶋のこと。

ニセ王様: そうだねぇ。あの時、お母さんだったかお婆ちゃんが亡くなったんだよね。

ニセ門番: そう。初日の木曜の朝におばあちゃんが死んじゃったの。

ニセ王様: で、その弔い合戦的な感じで中嶋は鈴鹿に挑んでいくのよね。ワイドショーでも報道されたんだよなあ。

ニセ門番: そのときに亡くなった病院に、そのときウチの親父が入院してたんだな、これが(笑)。

ニセ王様: どうも、鈴鹿F1は父門番にとって、なかなかターニングポイントの場面場面に会うんだな(笑)。
     で、この時中嶋は予選6位だったんだよね。

ニセ門番: 5位のピケと全く同タイムでね。

ニセ王様: あ、そうだよ。タイムを出した時間がピケより後だったので6位だったんだ。わしはずっと中嶋を見てて、
     すぐに「あ、スタート出来ていない!」って思ったのに実況ではなかなか言わない。最初はセナがストールしたのを
     伝えただけなんだけども、横から「中嶋もストールです」と今宮さん、みたいな(笑)。

ニセ門番: あのときの中嶋はね〜、僕は表彰台に上がれたと今でも思っているんですよ。エンジンストールがなければね。

ニセ王様: で、レース後の中嶋のコメントがいいじゃない。知ってる?記者から「お婆ちゃんが天から見守ってくれましたね」
     っていう質問があったんだよ。そうしたらさ、中嶋さんはこう言うんだ。「ストールした時、お婆ちゃんが天国から
     押してくれたんじゃないのかな」って。こう言ったじゃない。もうね、最高の言葉。中嶋万歳ですよ!

ニセ門番: あ〜、ダメだ。そういう話に弱いんすよ、俺〜。涙出てきそうだ。

ニセ王様: いい!こういう事をツラッとさりげなく語れる親父は最高ですよ!憧れだよ、ほんとに。
     我々にとっちゃ3番は長嶋じゃなくて、中嶋なんだ、と(笑)。声を大にして言いたいね。
     まあ、3番つけていたのはたった2年だけだけどもだ(笑)。

ニセ門番: で、アデレードでの、それこそ完璧に雨の中嶋。もうほんとにカッコいい。

ニセ王様: 89年ね。中嶋以外の日本人が未だに成し遂げた事の無いファステスト・ラップを叩きだした。いいねえ。

ニセ門番: あのとき実は3位を追いつめてたんだけど、そこで警告灯が付くんだよなぁ。エンジンに水が入っちゃったんだよね。

ニセ王様: あ、思い出した(笑)。テレビに向かって「まだ2時間たってねえよ!」とか叫んでた覚えがある(笑)。
     3位はパトレーゼが走っていたんだよね。わしはねえ、あのアデレードでのレース後に雨に濡れた中嶋のボロボロの
     ロータスのレーシングスーツを見るとねえ、こうなんともいえない感じになるんだよ。襟のところがまっ黒くてさあ。
     あ〜、もうこのチームからは何も中嶋は吸収しないんだろうなあって。それで最後の最後で4位、という。
     もう、ホンダも失ってチームで冷遇されまくった中嶋が最後に見せた岡崎魂!ですよ(笑)

ニセ門番: そうだね。やっぱカッコいいね、中嶋は。

ニセ王様: かっこいいよ、中嶋は(笑)。中嶋の事を悪くいうやつなんて誰もいないんじゃないのか(笑)。

ニセ門番: 今回はセナの話だったのが中嶋の話になってしまった(笑)。でも、いいですよね。

ニセ王様: そう!当たり前です!わしらがF1を語る時はとりあえず、中嶋の話はセットでついてくるんですから(笑)。

ニセ門番: そうそう(笑)。で、話は飛びまくっちゃうんですけどね、最期のイモラのときの話なんですけど。

ニセ王様: イモラ。94年5月1日。

ニセ門番: あの年、せっかくウィリアムズに移ったのに、開幕戦ではシューマッハにぶっちぎられ、あげくの果てにはスピン。
     次のTIでは、1コーナーでオカマ掘られて終わった。もうね、今から考えると、もうものすごく流れが悪かった
     じゃないですか。それでいてのイモラですよ。あのときのイモラはね、金曜日にバリチェロは大クラッシュ起こしてた。
     で、その翌日のラッツェンバーガーの12年ぶりの死亡事故。バリチェロは奇跡的に助かったけど、土曜日はそうはいかない、
     ラッツェンバーガーが死んだ。それで日曜。たぶん今も聞けば親父は覚えてると思うけど、あのとき俺は
     「怖いよ。見たくないよ」って言ってるんですよね。

ニセ王様: 何かを感じ取っちゃったんだ。門番は。

ニセ門番: 俺って、夜に弱いじゃないですか。だからいつも大体ビデオで見てたんですね。

ニセ王様: はいはい。で、放課後見る、と。

ニセ門番: でも、親父がいるときは一緒に起きて見てたんです。で、ちょうどね。あのときはゴールデンウィークで
     いたんですよ。親父が休みで。だから「見るか?」って聞かれて、俺はそう答えたんです。だから余計、次の朝に
     新聞見たときはね、…言葉がなかったですね。

ニセ王様: ああ、そう。確かに、あの流れなら何かが起こってもおかしくはない、とはわしも思っていたのよ。
     それでわしはリアルタイムで見よう、と。わしは中継を見たんだよ、そのサンマリノは。でも、その何か、というのは
     「レースが面白くなる」という意味でね。まさか、誰かが死ぬとは思わないし、その誰かがセナだなんて思わないでしょ。
     で、見ようとしてフジを合わせるじゃない。そうしたら、その時の中継は11時45分からで30分からは
     「ニュースJAPAN」だったのよ。

ニセ門番: そう。そのニュースJAPANで第一報をやったんですよね。

ニセ王様: そうそう。で、そこでいきなり「セナ!大クラッシュ!!意識不明の重体!!」って出てきてさ。
     こっちは「え?え??なにが???」だよ。そしたら、あのクラッシュの場面が出てきてさ。
     で、45分だ。そこには三宅アナと今宮さんが中継しているんだよね。

ニセ門番: らしいですね。

ニセ王様: で、わしも色々と聞くじゃない。見るじゃない。で、そのうちにもう、聞いているうちに「もう、ダメだ」と。
     しょうがないが、もうダメだ、と。今度は観念の気持ちが出てきた。で、そういう観念の気持ちがあったにも関わらず、
     中継中に「セナが死んだ」という一報が入ってきた時には、わし、そこで泣いちゃったんだよ。ワンワンと。
     わしはね、さっきも言ったようにアンチセナだったんだけどね。だけども、泣いたんだよ。ほんとに。
     自分でもセナが死んだら泣くんか、と「あ、俺セナが死んで泣いてる」みたいな。すごく不思議な感じだった。

ニセ門番: 俺ね、聞いた後に、一応見ようと思って見たんすよ。

ニセ王様: うん。

ニセ門番: でも、ヘリが飛んでったあとはもう耐えられなくて、涙も止まらないし、それ以上見れなかった。
     だから、今宮さんと三宅さんが泣きながら伝えたっていうのも見てないんですよ。

ニセ王様: あのヘリが飛んでいくシーンは、かなり感傷的になるよね。すごくね、…なんていうのかなあ。こう…表している
     っていうかね。ああ、もういなくなるんだなって。で、中継もすごいんだ。大の大人が、まあ、その時は川合ちゃんも
     いてね。大人が3人ワンワン泣いているんだ。カメラの前で。今宮さんも混乱しまくっちゃって何言ってるんだか、
     わからないんだよ。で、それ見ているときにね友人から電話がかかってきて。深夜2時ですよ。
     「俺たちはね。もう、これからどこを見てF1を見ればいいんだ」と。「セナがいなくなってプロストもいなくなって、
     どうすりゃいいんだ」と。わしはその時「いや、それでもF1は続いていくんだよ。」と言ったんだけども、
     結果的にわしがF1を離れる最大のきっかけはあのセナの事故だったんだなって、ね。97年までは見ていたんだけど、
     やっぱりその後面白くなくなっちゃった。後から考えれば、あの事故でセナがいなくなった、そしてプロストも
     いなくなった。あの時期からF1がどうも普通に見れなくなっちゃったんだよねえ。
     こう、オモチャを取り上げられちゃった感じ?

ニセ門番: う〜ん。それでもね、「それでも続いてく」んですよね。F1は。

ニセ王様: そう。わしが離れようが、それでもF1は続いていくんですよ。「学校なんかじゃ教えてくれなかったF1」は
     ず〜っと続いていくんだよ。

ニセ門番: ですよね。F1だけじゃない。たとえ1国の宰相が死んだとしても、時刻は止まらない。
     そして、我々が死んだとしても時は刻まれ続けるんですよ。

ニセ王様: そうそう。永遠の時の流れですよ。だから、そういった意味ではこの前の第四学区じゃないけど、
     セナのような天才ととわしらのような凡人とは時の流れの速さが違うんだろうなあ。

ニセ門番: やっぱね、セナっていうのは宗教的存在なんですよ。言い換えれば、カリスマ。

ニセ王様: セナに関しては、わしはね。回りが作り出したイメージが実は嫌いだったんだよ。で、そのカリスマを簡単に
     愛せなかったんだね(笑)。わしは(笑)。あまのじゃくの面が出てきちゃってね(笑)。正直、なんでセナ様、なんて
     いい方をするんだ、とわしは怒っていた方でね。そんな神として見なくたって、本当のセナは愛すべきキャラクター
     じゃないか、と。愛らしくて茶目っ気もある。ブラジルで、地元で勝ったからといって泣くか?大の男が?
     声援を送られただけで泣くか?そういう優しい男なのに、みんながそういう色眼鏡で見ているのが気に
     食わなかったのよ。何が神だ、と。セナに失礼だろう、と。そういうセナの人間性を無視した、回りの、というか
     フジの祭り上げ方が気に食わなかったのよ。

ニセ門番: でもね、セナは神でよかったんだと、僕は今でも思っているんですよ。そりゃ、セナ本人はよくなかったかも
     しれないけど、我々にしてみればよかったんですよ。

ニセ王様: う〜ん、しかし、それはあまりにもセナを無視した見方だよなあ。

ニセ門番: でも、その陽気なセナ。明るいセナ。神が見える、と発言するセナ。そういうのもすべてひっくるめて、
     セナはカリスマだったんです。

ニセ王様: なるほどなあ。全部ひっくるめて、という事を考えるとそうなのかもねえ。でも、もうセナのような
     ドライヴァーはこれからは絶対出てこないだろうね。

ニセ門番: というか、確かにもう出てこないだろうっていうのもあるけど、見たくないっていうのもありますよね。

ニセ王様: はいはいはいはいはい。もう、見たくないって感じはわかるなぁ。なんか、こういくら似たようなヤツが
     出てきたとしても「セナ2世だ」なんてフレーズすら使ってもらいたくない、というか。

ニセ門番: やっぱ、愛すべきカリスマはアイルトン・セナ・ダ・シルヴァだけなんですよ。

ニセ王様: そうだねえ。この第四学区を鈴鹿でやっているわしらを見て、彼はなんて思うかね。

ニセ門番: 優しく見守ってくれますよ。…悪ぃ、俺ちょっと小便してくるわ(笑)。(立ち上がる)

ニセ王様: なんだよ〜(笑)。せっかく、かっこよかったのに(笑)。…なんか、俺も小便したくなってきちゃったな(笑)。
     わしも行くか(笑)(立ち上がり、門番の後を追いかける王様)


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