蕎麦粉の性質

小麦粉のような粘性を示すグルテインは含まれず、水溶性タンパクであるグロブリン.
アルブミンが主となっています。この水溶性タンパクは、蕎麦の穀実の中
心部より外皮に近づくにつれ多く含まれます。強い粘性はなく、只単に付着する程度で
でんぷん粒を包み込んでいきます。構造は、直線的で小麦粉のような網目構造とはなら
ないという大きな違いがあるそうです。こういった理由から特に、時間や乾燥と共に蕎
麦は切れやすいという性質を示すのです。
外粉になるに従い、粘性は増すものの、食味は次第に落ちて行き粒子も荒い物となります。

内層部は、でんぷん含量が多く 更科粉として利用されています。
中層部と合わせるたものは並み粉と呼ばれ、繊維質.タンパクに富む外層部を全部混ぜ利用
しますと、田舎粉&挽きぐるみ粉となります。

更科粉---玄蕎麦の皮を完全にのぞき、うき臼で丸抜き蕎麦がもみあって粉になる部分で、
      真っ白いそばの原料となります。
      御前粉とも呼ばれますが、こちらは麻布の「永坂更科」に納められていた更科粉
             で登録商標となっています。

並み粉&いなか粉---になるに従いまして、蕎麦ならではの栄養性質と粘性が増してまいり
              ますが、現代人にはあまり受け入れられなくなって来ている傾向、ちょっと残念
      に思えてなりません。麺を打つとなると微妙に違いが分かってくるはずなのですが。
    
          この粘性を補うために、つなぎを加えるのですが、なかには、小麦粉の割合いが50
      %を超えるものが少なくありません。成分表示法では、原料の率の多い方から優先
              されるとのことですので、蕎麦好きとしては、非常に残念なことですね。
      穀類においても胚芽のある外の部分が、ビタミン.たんぱくに富んだ部分であります
      が、現代のグルメ&飽食時代にはあまり重用視されぬ事柄かもしれませんね。 こう
              いった理由から粉の部位により吸水性が異なるために、製麺時の加水は微妙となります

この技術が優れた麺を作るとなると非常に重要となります。
一度吸った水分は、移動しずらく後から粉を加えても馴染むことが難しいのです。
これが、”水回しが、蕎麦打ちの命””木鉢三年 伸し三月 包丁三日”と呼ばれる理由なのです。

小麦粉の水溶性タンパクの率 15% <全蛋白中> と比べますと蕎麦の場合は、50%位<全蛋白中>
と非常に高い値を示します。水溶性ゆえ溶け出した蛋白質を含む蕎麦湯を飲む習慣との関係にも
科学的な根拠があるようです。
蛋白の栄養価も高く白米65.小麦粉44に対し蕎麦は92とバランスからしても非常に高い値をしめ
します。
また、ポリフェノールの仲間であるビタミンPの一種であるルチンという成分が含まれ、高血圧.
動脈硬化の改善に役立つと云われています。これも他穀類と比べますと蕎麦の大きな特徴といえ
ます。また、コリンと呼ばれるビタミンには脂肪肝の予防の効果もあるそうです。
蕎麦の色にも種類がありますが、殻を抜いた『丸抜き』を使用しますとかなり白い物に仕上がり
ます。江戸時代に関東ですでに利用されていた技術なのです。それに比べ、田舎では技術普及の
遅れからかなり遅くまで玄蕎麦を丸ごと挽いていました。どうしても黒っぽく舌触りの悪いもの
が流通していたのです。
色合いよりも蕎麦粉の価値は、粉のどこの部分かまたは粘性.香り.乾燥方法等で評価されておりま
す。蕎麦屋さんでは、製粉業者さんに産地とふるい(シフターメシュ)、自然乾燥物等を指定され
る場合も良くあることで、職人のこだわりをかんじる事もありますが、自然乾燥での収穫には、手
間が掛かりすぎますので、このような収穫面積は、貴重な存在と思われます。蕎麦は、本来黒っぽ
いものというのは、田舎での技術の遅れの名残なのでしょうが、最近では、意図的に皮の部分を混
入させた、いわゆる「見せかけ いかにも商品」が氾濫しているようです。
これこそは本物というものは、それほど安価には入手できないはずと思われますし、それを識別で
きる五感も、私を含めてそれほど多くの方が持ち合わせているようにも思え
ません。それほど、蕎麦というものは奥が深く思えてならない今日この頃なのです。

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