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製甲(アッパー)基本作業【専門実技】『2』

さて、前回より本格的な靴づくりに入りました。靴は、数多くの部品の組合わせで出来ていますが、その中でも最も大きい部品である「製甲」から作業を進めていきます。製甲はいわば「靴の顔」で有り、靴を買うときに、一番先に目を惹かれる部分です。

また、このページは、長くなりますので、前回の「型入れ・裁断作業」引き続き「漉き・折り込み作業」→「縫製作業」と随時ページを(連続で)開いてゆきます。宜敷くお付き合いください。

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漉き・折り込み作業編


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『2』 漉き・折り込み作業


漉き・折り込み作業についての基本知識

靴の甲部分は、履き物としての機能を損なわない条件の中で、様々なデザインがあり、そのデザインの見栄えを良くするために、加工をしなければならない。

革はJIS規格の中ではあるが、薄いものから厚いものまで各種あり、デザインによっては一足の靴に何枚かの革を使う場合など、同じ厚さに揃えるために革を漉いたり、また、革の裁断面(切り口)を隠すために、素材の縁を斜めにそぎ(漉く)、折り返す(折り込み)等の作業をする。

また「漉き作業」には、「折り込み漉き」・「貼り込み漉き」・「縫い割り漉き」等がある。

これらの作業を「漉き・折り込み作業」と呼びますが、漉き作業についてもう少し詳しく説明しましょう。

革漉き加工とは、アッパーの特定の縁の部分を薄くそぐ(削る)作業のことで、その目的は

a) 仕上がったアッパー各部分の外観を良くする。 b)履き心地の悪さを防ぐ。

c) 革の硬さを小さくする。    d) 製靴工程をしやすくする。

である。

革材料の漉き加工は普通、革の肉面のみで行われ、銀面は完全な状態のままに保たれる。しかし、二枚の物を貼り合わせる場合は、接着剤がしみ込めるように、銀面を漉く場合もある。

主な漉き作業には以下の種類が有ります。

1) 「漉き放し」  この漉きは以下の用途に使われる

a) さらに整った、幅の狭いエッジを作る。  b) 嵩を(かさ)を小さくする。

c) トップラインの厚みを平均化する。  d) 縫い合わされた部分の厚みを減らす。

2) 「重なり合った部分の漉き」

  これは下側に重ねられる材料に用いられる。足に当たる部分の嵩を減らすためである。

3) 「折り込み漉き」

  革が折り込まれたあと、結果的に漉かれる前の革の厚みと同じ厚さになるように漉く。折り込む材料の縁の幅は、折り込み幅の二倍の幅を漉く。

4) 「釣り込み漉き」

中底のボトム部分に入る部分の嵩を薄くするため、また、アッパーの釣り込み作業の時に襞を作りやすくするために、釣り込み代を漉く。


準備するもの 

・ 準備出来る方は、革漉き機(上の写真で掲載しているタイプ)

作業台 ・型紙 ・包丁 ・裁断板 ・ハンマー ・目打ち ・漉き板 ・刷毛

材料革  接着剤(ゴムのり等) 


材料の裁断    (バルモラル)

前回学習した型入れ裁断の知識を応用して、型紙を使い甲革と裏革を型入れ手裁断します。

@ 漉き(手漉き)作業

甲革を漉く場合の包丁の持ち方

革を前方に漉く場合は、表包丁を左図上

のように持って、「包丁の刃」と「材料革」は

急角度に併せて、斜めに滑らせるように

前方に移動させると上手く漉ける。

手前に漉く場合は、裏包丁で左図下のよう

に包丁を持ち、「包丁の刃」と「材料革」は

急角度に併せて、斜めに滑らせるように

手前に移動させると上手く漉ける。

幅5mmで折り込む場合の折り込み漉き

左図のように斜めに幅10mm・断面が0mm

中間が、革の厚みの2分の1になるように

漉く。

飾り革は、爪革側(写真下側)部分を、

「折り込み漉き」 ・幅10mm、革の断面

(切り口) ・0mmで「斜め漉き」をする。

革漉き機を使用する場合は、「押さえ金と

定規」で調整をする。(以下同様の操作)

爪革は、腰革側(写真下側)部分を、

「折り込み漉き」(上記参照)で「斜め

漉き」をする。 飾り革側(写真上部)

を、「貼り込み漉き」・幅8mm、革の

断面(切り口)・0mmで「斜め漉き」をする。

腰革は、トップライン(履き口側)を、

「折り込み漉き」で斜め漉きをする。

爪革側(写真右側)は、「貼り込み漉き」

(上記参照)で斜め漉き。後部(写真

左側)は、「縫い割り漉き」・幅5mm、

革の断面(切り口)0.5mmで「斜め漉き」。

舌革は、写真左右から下部にかけて

上部は厚く、下部は切り口0mmで、

幅を15mmほどで斜め漉きをする。

市革は、上部は「折り込み漉き」、

両サイドは、「縫い割り漉き」にする。

裏革について

先裏の腰裏部分、腰裏の先裏部分、及び内外の合わせる部分、舌裏の細い部分を、全て貼り込み漉きをする。


A 接着剤の塗布

飾り革・爪革・腰革の「折り込み漉き」をした部分に、2cm幅でゴムのりを塗布する(注・折り込み分は1cm幅で良いのだが、後で裏革を貼る部分1cm幅も同時に付ける)。

腰革の、貼り込み漉きの部分に2cm幅、縫い割り漉きをした部分に0.5cm幅でゴムのりを塗布する。

舌革は周りを1cm残して中心部分に、・市革は、裏面全体にゴムのりを塗布する。

先裏革は、先芯の挿入部分以外全面。腰裏革は、内外の貼り込み部分と、カウンターの挿入部分以外全面にゴムのりを塗布する。

舌裏革は、全面にゴムのりを塗布する。


B 折り込み作業

コバ漉きされた幅の2分の1を折り返す

ことにより、革の断面を無くし、元の厚み

の状態に戻す。(下図参照)

コバ漉きの後に、接着剤を塗布し、包丁・目打ち・ハンマーを用意し、折り込み作業をする。

カーブの凸部分は、「目打ち」を使って襞を寄せながら、また、凹部分は、包丁で折り込み

幅の1/2(2.5mm)の奥行き、切り込み間隔は3mmに切り込みを入れて折り込む。

左の図は下部(爪革側)の貼り込み

部分を5mm折り込んだもの。

左の図は、下部(腰革側)の貼り込み

部分を5mm折り込んだもの。

左の図は、上部(トップライン側)の

折り込み部分を5mm折り込んだもの。

以上の工程が済むと、いよいよ、「まとめ縫製作業」に入ります。


漉き・折り込み作業については以上です。次回は、「縫製作業」についてアップいたします。

簡単に、縫製工程の予告を致します。

1 飾革と爪革の縫製 2 腰革バックシーム 3 市革取り付け 3 裏貼り縫製、さらい

4 舌裏貼り、縫製、さらい 5 腰革に舌革の取り付け、ミシン掛け 6 爪革の貼り込み

7 先裏貼り 8 枠ミシン掛け 9 裏のさらい 10 仕上げ作業 以上ですご期待下さい。


★ この内容は、営利を目的とした無断転載・出版は、堅くお断り致します。  革靴職人 応言司

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