
2010年10月15日
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シューフィルザッツ
靴が好きな人のためのカルチャーマガジン「シューフィル」誌が発行している、おなじみの『シューフィルザッツ』。
私も、「第1号」からから愛読しているが、わずか8ページの新聞の中身は、靴業界のニュースやら、靴業界の
動き、展示会の紹介等などと、幅広く業界の今が見え、まだご覧になっていない方には、お勧めの新聞である。
その中から、このほどチョット気になる記事を第30号(2010年10月1日発行)で見つけたので、一言書かせ
ていただくことにする。それは、5ページ目の上段に紹介されている『ターンシューの製作実演』である。木口充恵
さんが、アッパーを裏返して釣り込み、底を縫いつけたら、もう一度ひっくり返して作るもので、足袋のように軽く
足によく馴染む。と書かれている。木口さんはこの製法をイギリスで習得し、それに独自のノウハウを加えて、
木口流ターンシューを作って、それを実演して見せてくれているとのこと。

木口充恵さんの作品
私はこの記事を見て、50数年前にスポーツ靴メーカー「小野崎製靴」で、この製法の靴を毎日いやになるほど
作った覚えがあり、大変懐かしく思い出した。古いことなので、この製法の名前を忘れてしまい覚えていないが、
「ターンシュー」とは言わなかった。当時、われわれ靴職人はこの製法で、「プロの競輪シューズや、マラソンシュ
ーズを」を作っていた。アッパーを裏がえして釣り込み、掬い縫いをするまでは、中底の役目をしている「底材」が、
ひっくり返すと、今度は表底に代わるこの製法は、軽くて足に良く馴染み、マラソンシューズ(ボールガース部分
から前に、もう一枚表底を取り付けて、底にマラソン用の鋲を取り付けた)や、競輪シューズには、各々の選手達
には、とても履きやすく足に馴染み、具合が良かったようだ。現在の競輪シューズと違い、当時は自転車のペタル
の感触が足裏に直接伝わりやすく出来ているので、多くの競輪選手愛用され、戦後の競輪ブームに乗って毎日夜
遅くまで靴作りをしていた。また以前、台東分校の指導員時代の教え子が「S靴メーカー兼小売店」に就職してい
た頃、何か変わった製法がないかと尋ねて来たときに、この製法を教えたところ売れそうな製法だと言って、店
の経営者が独自に一部ノウハウを加え製品を作り、評判がよくとても良く売れたと聞いている(今でも?・・・・)。
さらに、エスペランサ靴学院の講師時代に私の助手についてくれた「N君にその製法の話したところ、興味を持ち、
「くるりん製法」と名づけて、製品を本人が作ってみてから、製法をすべて「絵コンテ」で描き上げ、周りの人に配って
いたようだ。いずれにしても、その昔私たち靴職人が作っていた製法が、木口さんのおがげで『シューフィルザッツ』
紹介されたことは、近頃とても懐かしく私にとってはうれしい出来事である。 革靴職人
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