労働基準法のあらまし
 

 労働基準法は、労働者の労働条件の最低基準を定めた法律で、労働者(パートタイム労働者等を含む)を使用するすべての事業場に適用されます。
 ここでは、労働基準法の中でも、ポイントとなる部分を掲載しています。

1 労働者
法第9条

労働基準法が適用される労働者とは


労働基準法上の労働者性の判断基準(法第9条)

 

2 労働基準法違反の契約
法第13条

 労働基準法に定める基準に満たない労働条件は無効であり、無効となった部分は、同法に定める基準が適用されます。

「年次有給休暇は雇入の日から起算して3年目から与える」
と就業規則等で規定しても無効となり、労働基準法第39条に基づいて
「年次有給休暇は6ヶ月経過後から与える」
に自動的に修正されます。

 

3 労働契約期間の上限
法第14条

[1] 有期労働契約の上限について

(1) 有期労働契約(期間の定めのある労働契約)について、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、原則として契約期間の上限は3年となっています。
(2) また、次に該当する場合には、契約期間の上限を5年とすることが可能です。

1 専門的な知識、技術または経験であって、高度のものとして厚生労働大臣が定める次の基準に該当する者が、そのような専門的知識等を必要とする業務に就く場合
2 満60歳以上の者が労働契約を締結する場合


[2] 有期労働契約をした労働者からの退職について

 有期労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が1年を超えるものに限ります。)を締結した労働者に該当する場合(契約の上限が5年となるもの)を除きます。)は、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができます。


[3] 有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準

「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」(要旨)
<平成15年厚生労働省告示第357号>
<改正平成20年厚生労働省告示第 12号>
1 契約締結時の明示事項等
(1) 使用者は、有期契約労働者に対して、契約の締結時にその契約の更新の有無を明示しなければなりません。
(2) 使用者が、有期労働契約を更新する場合があると明示したときは、労働者に対して、契約を更新する場合の判断の基準(*1)を明示しなければなりません。
(3) 使用者は、有期労働契約の締結後に(1)または(2)について変更する場合には、労働者に対して、速やかにその内容を明示しなければなりません。

2 雇止めの予告
 使用者は、契約締結時に、その契約を更新することがある旨明示していた有期労働契約(有期労働契約が3回以上更新されているか、1年を超えて継続して雇用されている労働者に限ります。)を更新しない場合には、少なくとも契約の期間が満了する日の30日前までに、その予告をしなければなりません。

3 雇止めの理由の明示
 使用者は、雇止めの予告後に労働者が雇止めの理由(*2)について証明書を請求した場合は、遅滞なくこれを交付しなければなりません。
 また、雇止めの後に労働者から請求された場合も同様です。

4 契約期間についての配慮
 使用者は、契約を1回以上更新し、1年を超えて継続して雇用している有期契約労働者との契約を更新しようとする場合は、契約の実態及びその労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするよう努めなければなりません。


※1 判断の基準の例
契約期間満了時の業務の量により判断する
労働者の勤務成績、態度により判断する
労働者の能力により判断する
会社の経営状況により判断する
従事している業務の進捗状況により判断する
 
など



 
※2 雇止め理由の例
前回の契約更新時に、本契約を更新しないことが合意されていたため
契約締結当初から、更新回数の上限を設けており、本契約は当該上限に係るものであるため
担当していた業務が終了・中止したため
事業縮小のため
業務を遂行する能力が十分ではないと認められるため
職務命令に対する違反行為を行ったこと、無断欠勤をしたこと等勤務不良のため
 
など

 

4 労働条件の明示
法第15条、施行規則第5条

[1]  使用者が労働者を採用するときは、賃金・労働時間その他の労働条件を書面などで明示しなければなりません。
[2]  明示された労働条件が事実と相違している場合、労働者は即時に労働契約を解除することができます。
[3]  [2]の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合、使用者は旅費等を負担しなければなりません。

◆明示すべき労働条件


書面によらなければならない事項

1 労働契約の期間
2 就業の場所・従事すべき業務
3 始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働(早出・残業等)の有無、休憩時間、休日、休暇および労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
4 賃金の決定、計算・支払いの方法および賃金の締め切り・支払いの時期
5 退職に関する事項(解雇の事由を含みます。)

6 昇給に関する事項

 
 
 
 
 
7 退職手当定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払いの方法および支払時期
8 臨時に支払われる賃金、賞与および最低賃金額に関する事項
9 労働者に負担させる食費、作業用品などに関する事項
10 安全・衛生
11 職業訓練
12 災害補償・業務外の傷病扶助
13 表彰・制裁
14 休職

 

5 解雇に関する事項

[1] 証明書による解雇理由の明示
法第22条2項

 解雇をめぐるトラブル防止のため、退職時の証明に加えて、労働者は、解雇の予告をされた日から退職の日までの間においても、解雇の理由についての証明を請求できます。ただし、使用者は、解雇の予告がされた日以後に労働者がその解雇以外の事由によって退職した場合は、この証明書を交付する義務はありません。


[2]「解雇の事由」は就業規則に
法第89条3号

 労使当事者間において、どのような場合に解雇になるのかということについて事前に明らかにし、紛争を未然に防止するため、就業規則において「退職に関する事項」欄に、「解雇の事由」を記載する必要があります。


[3] 労働契約の際にも「解雇の事由」を明示
施行規則第5条

 労働契約を結ぶ際に、書面によって明示しなければならない労働条件として「退職に関する事項」がありますが、この「退職に関する事項」として「解雇の事由」もまた、同様に書面によって明示しなければなりません。

 

6 解雇の予告
法第20条、第21条

 労働者を解雇しようとする場合は、少なくとも30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません。

解雇をする場合 解雇予告等が除外されている手続き もともと解雇予告等が除外されている場合

 

7 退職時の証明
法第22条

 労働者が退職の場合に在職中の契約内容等について証明書の交付を請求したときは、使用者は遅滞なく、これを交付しなければならない制度のことをいいます。
 なお、労働者の請求しない事項を記入してはいけないことになっています。

 

8 金品の返還
法第23条

 労働者の死亡または退職の場合に、権利者から請求があったときには、7日以内に、賃金の支払いをし、積立金、保証金、貯蓄金その他名称にかかわらず労働者の権利に属する金品を返還しなければなりません。

金品の返還
●7日以内の賃金の支払い・・・ 所定支払日が到来しなくても、支払う必要があります。(退職金は、退職金制度に基づく支払期日に支払えばよいことになっています。)
●7日以内の金品の返還・・・ もともと労働者に所有権がある金銭と物品で、労働関係に関連して使用者が預り、または保管していたものを返す必要があります。
●労使間に争いがあるとき・・・ 賃金または金品について、その有無、額等に争いがある場合には、異議のない部分についてのみ7日以内に支払い・返還をする必要があります。

 

9 賃金の支払い
法第24条

 賃金は、通貨で、全額を、労働者に直接、毎月1回以上、一定期日を定めて支払わなければなりません。賃金から税金、社会保険料等法令で定められているもの以外を控除する場合には、労働者の過半数で組織する労働組合か労働者の過半数を代表する者との労使協定が必要です。
 退職手当については、労働者の同意を条件に、[1]銀行振出小切手、[2]銀行支払保証小切手、[3]郵便為替により支払うことができます。
 なお、一定の要件([1]労働者の同意を得ること [2]労働者の指定する本人名義の預貯金口座に振り込まれること [3]賃金の全額が所定の支払日に払い出し得ること)を満たせば、金融機関への振込みにより支払うことができます。
(証券会社の一定の要件を満たす預り金に該当する証券総合口座への賃金の払込みも、可能です。)

(1)賃金支払いの5原則

賃金支払いの5原則

(2)例外
ア通貨以外のものの支給が認められる場合・・・・ 法令・労働協約に現物支給の定めがある場合
イ賃金控除が認められる場合・・・・・・・・・・・ 法令(公租公課)、労使協定による場合
ウ毎月1回以上、一定期日払いでなくてよい場合・・・ 臨時に支給される賃金、賞与、査定期間が1ヶ月を超える場合の精勤手当・能率手当など

 

10 休業手当
法第26条

 会社側の都合により労働者を休業させた場合、休業させた所定労働日について、平均賃金の6割以上の手当(休業手当)を支払わなければなりません。

休業手当

 

11 労働時間
法第32条

使用者は、労働者に、休憩時間を除いて1日に8時間、1週間に40時間を越えて労働させてはなりません。(ただし、事業場の規模が10人未満の商業・映画演劇業・保健衛生業・接客娯楽業については、1週間の労働時間が44時間となっています。)

 

12 1カ月単位の変形労働時間制
法第32条の2

 1ヶ月単位の変形労働時間制とは、1ヵ月以内の一定の期間を平均し1週間の労働時間が40時間以下の範囲内において、特定の日や週について1日及び1週間の法定労働時間を超えて労働させることができる制度のことをいいます。

※詳細については、最寄りの労働基準監督署又は労働局労働基準部労働時間課へお尋ねください。

 

13 フレックスタイム制
法第32条の3

 フレックスタイム制とは、1ヵ月以内の一定期間(清算期間)の総労働時間を定めておき、労働者がその範囲内で各日の始業及び終業の時刻を自主的に決定して働く制度です。

 フレックスタイム制を採用するには
[1] 就業規則その他これに準ずるものにより、始業及び終業の時刻を労働者の決定に委ねることを規定すること。
[2] 労使協定において、対象となる労働者の範囲、清算期間(※1)、清算期間中の総労働時間(※2)、標準となる1日の労働時間などを定めることが必要です。

※1 清算期間・・・フレックスタイム制において、労働契約上労働者が労働すべき時間を定める期間のことをいい、その長さは、1ヶ月以内に限ることとされています。
※2 清算期間中の総労働時間・・・フレックスタイム制において、労働契約上労働者が清算期間において労働すべき時間として定められている時間のことをいい、いわゆる所定労働時間のことです。
この時間は、清算期間を平均し1週間の労働時間が法定労働時間の範囲内となるように定める必要があります。

※詳細については、最寄りの労働基準監督署又は労働局労働基準部労働時間課へお尋ねください。

 

14 1年単位の変形労働時間制
法第32条の4、
第32条4の2
施行規則第12条の2、
第12条の4、
第12条の6、
第65条、第66条


 1年単位の変形労働時間制とは、季節により業務に繁閑のある事業場において、繁忙期に長い労働時間を設定し、かつ、閑散期に短い労働時間を設定することにより効率的に労働時間を配分して、年間の総労働時間の短縮を図ることを目的に設けられたものであり、労使協定を締結し、所轄労働基準監督署長に届け出ることにより、1年以内の一定期間を平均し1週間の労働時間を40時間以下の範囲内にした場合、特定の日や週について1日及び1週間の法定労働時間を超えて労働させることができる制度のことをいいます。

※詳細については、最寄りの労働基準監督署又は労働局労働基準部労働時間課へお尋ねください。

 

15 1週間単位の非定型的変形労働時間制
法第32条の5


 1週間単位の非定型的変形労働時間制とは、規模30人未満の小売業、旅館、料理・飲食店の事業に
おいて、労使協定により、1週間単位で毎日の労働時間を弾力的に定めることができる制度です。

※詳細については、最寄りの労働基準監督署又は労働局労働基準部労働時間課へお尋ねください。

 

16 休憩
法第34条


[1] 使用者は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合には1時間以上の休憩を与えなければなりません。なお、休憩時間については、「労働時間の途中に与えること」、「自由に利用させること」、「一斉に与えること」の3つの原則があります。
[2] このうち、一斉付与の原則については、法律で適用除外とされている特定の業種(運輸交通業・商業・接客娯楽業等)以外の業種では労使協定を締結すれば、その適用が除外されます。

 

17 休日
法第35条


 使用者は少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。

〔1〕毎週1休日の例毎週1休日の例

〔2〕4週4休日の例4週4休日の例

 4週4休を採用する場合は、就業規則等により4週の起算日を明らかにし、またできるかぎり休日は特定してください。

休日の意義等
休日の与え方

〔3〕振替休日と代休の相違点
  振替休日 代休
意味 あらかじめ定めてある休日を、事前に手続して他の労働日と交換すること。休日労働にはならない。 休日に労働させ、事後に代りの休日を与えること。休日労働の事実は変わらず、帳消しにはならない。
要件 [1]就業規則等に振替休日の規定をする。
[2]振替日を事前に特定
[3]振替日は4週の範囲内
[4]遅くとも前日の勤務時間終了までに通知
特になし。ただし、制度として行う場合、就業規則等に具体的に記載が必要(代休を付与する条件、賃金の取り扱い等)。
賃金 同一週内で振り替えた場合、通常の賃金の支払いでよい。週をまたがって振り替えた結果、週法定労働時間を超えた場合は、時間外労働に対する割増賃金の支払いが必要。 休日労働の事実は消えないので、休日労働に対する割増賃金の支払いが必要。代休日を有給とするか無給とするかは、就業規則等の規定による。

注 法定休日以外の休日(土・日休みの場合の土曜日、日・祝休みの場合の祝日等)については、休日労働に該当しないが、当日の労働時間が8時間以内でも週法定労働時間を超えた場合は「時間外労働」となることに注意。

 

18 時間外労働
法第36条


(1) どんな場合に協定届が必要なのか
 法定の労働時間を超えて労働(法定時間外労働)させる場合、または、法定の休日に労働(法定休日労働)させる場合には、あらかじめ労使で書面による協定を締結し、これを監督署長に届け出ることが必要です。この協定のことを法第36条に規定されていることから、通称「36協定」といいます。
 法定労働時間とは、1日8時間、1週40時間(一部の特例措置対象事業場については44時間)と定められていますが、変形労働時間制を採用する場合を除いて、この時間を超えて労働させる場合は時間外労働となります。
 また、法定休日とは1週間に1日の休日(変形休日制を採用する場合は4週4日)と定められておりますが、この休日に労働させる場合は休日労働となります。
 ただし、満18才に満たない者(年少者)については法第36条が適用できませんので、年少者については36協定があっても法定時間外労働及び法定休日労働はできません。
 また、妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性(妊産婦)が請求した場合には、法定時間外労働及び法定休日労働をさせることはできません。

(2) 「36協定」の締結単位
 36協定は、事業場単位で締結し届け出る必要があります。1つの会社で別々の場所に工場・支店などがある場合は、通常はその工場・支店などがそれぞれ1つの事業場にあたりますので工場・支店などごとに36協定を締結し、それぞれの所在地を管轄する監督署長に届け出る必要があります。

(3) 割増賃金の支払い
 法定時間外労働をさせた場合は2割5分以上の、法定休日労働をさせた場合は3割5分以上の割増賃金を支払う必要があります。
 なお、土曜日と日曜日を休日とするような週休2日制を採用している事業場については1週間に休日が2日あるので、どの休日の労働に対して3割5分を支払うのかを就業規則などで明確にしておくようにして下さい。

(4) 延長時間について
 36協定の延長時間は、1日、1日を超え3箇月以内の期間、1年間、の3つについて協定しなければならないことになっています。

・ 1日の延長時間の限度
 危険有害業務で、法令で定める業務に従事する者の時間外労働の上限は1日2時間とされていますが、この具体的な業務は以下のとおりとなっています。

坑内での労働 多量の高熱物体取扱
著しく暑熱な場所の業務
多量の低温物体取扱
著しく寒冷な場所の業務
エックス線などの有害放射線に曝される業務
土石などのじんあい
粉末を著しく飛散する場所の業務
異常気圧下業務
さく岩機などの使用による身体の著しい振動業務 重量物取扱などの重激業務
ボイラー製造などの強烈な騒音発生場所の業務 鉛・水銀などの有害物発散場所の業務

これら以外の業務について、1日の延長時間の限度についての規制は原則としてありません。

・1日を超える期間の延長時間の限度

「1日を超え3箇月以内の期間」と「1年間」についての延長時間は、表1のとおりその期間ごとに限度時間が決められています。ただし、「1日を超え3箇月以内の期間」で表1の期間以外の場合、例えば、「1箇月を超え2箇月未満の日数を単位する期間」については81時間に当該日数を60で除して得た数を乗じて得た時間(その時間が45時間を超える場合は45時間)で、その時間に1時間未満の端数があるときは、これを1時間に切り上げた時間が限度時間になります。


表1)延長時間の限度
期間 一般労働者(右の欄以外の労働者) 1年単位の変形労働時間制(期間3箇月超)の対象労働者
1週間 15時間 14時間
2週間 27時間 25時間
4週間 43時間 40時間
1箇月 45時間 42時間
2箇月 81時間 75時間
3箇月 120時間 110時間
1年間 360時間 320時間


限度時間を超えて時間外労働を行う特別の事情(臨時的なものに限る。)が予想される場合には、次のような特別条項付き協定を締結することによって前記アの限度時間を超える時間を延長時間とすることができます。

「臨時的なもの」とは、一時的または突発的に、時間外労働を行わせる必要のあるものであり、全体として1年の半分を超えないことが見込まれるものを指します。
よって、特別条項付き協定には、限度時間以内の時間を一定期間についての延長時間の原則として定めた上で、限度時間を超えて労働させなければならない特別の事情などを具体的に示す必要があります。
また、「臨時的なもの」といえるのは、限度時間を超えることのできる回数が1年の半分以下であることを協定中に明記してください。


例:
「一定期間についての延長時間は1箇月30時間(注1)とする。ただし、通常の生産量を大幅に超える受注が集中し、特に納期がひっ迫したとき(注2)は、労使の協議を経て(注3)、1箇月50時間(注4)までこれを延長することができる。この場合、延長時間を更に延長する回数は、6回まで(注5)とする。」

この場合、次の要件を満たしていることが必要です。

注1: 原則としての延長時間(限度時間以内の時間)を定めること。
注2: 限度時間を超えて時間外労働を行わせなければならない特別の事情を出来るだけ具体的に定めること。
「特別の事情」は、次のア・イに該当するものであること。
ア:一時的または突発的であること。
イ:全体として1年の半分を超えないことが見込まれること。
注3: 一定期間の途中で特別の事情が生じ、原則としての延長時間を延長する場合に労使がとる手続きを、協議、通告、その他具体的に定めること。
注4: 限度時間を超える一定の時間を定めること。
注5: 限度時間を超えることのできる回数を定めること。


次の事業または業務には前記アの限度時間が適用されません。

●工作物の建設等の事業
●自動車の運転の業務、
●新技術・新商品等の研究開発の業務

◎その他厚生労働省労働基準局長が指定する事業又は業務(郵政事業の年末年始における業務、船舶の改造、修繕に関する業務など)
※◎について、1年間の限度時間は表1が適用されます。


(5)育児・介護休業法に基づく延長時間の限度
 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者または要介護状態の対象家族の介護を行う労働者が請求した場合においては、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、1箇月24時間、1年150時間を超える時間外労働をさせることはできません。

 時間外労働協定届の記入例についてはここをクリックしてください。


19 時間外・休日及び深夜の割増賃金
法第37条


 時間外、深夜(原則として午後10時~午前5時)に労働させた場合には2割5分以上、法定休日に労働させた場合には3割5分以上の割増賃金を支払わなければなりません。

 ※割増賃金の計算の基礎となる賃金には、「家族・通勤手当」、「別居手当」、「子女教育手当」、「臨時に支払われた賃金」、「住宅手当」等は算入しません。なお、割増賃金等の計算の基礎になる賃金に含まれるかどうかは、名称ではなく内容により判断されます。

(1)時間外労働の割増率
時間外労働の割増率
時間外労働の割増率

(2)法定休日労働の割増率
法定休日労働の割増率
法定休日労働の割増率

 

20 事業場外労働のみなし労働時間制
法第38条の2


<事業場外労働のみなし労働時間制とは>

労働者が事業場外で労働し、労働時間の算定が困難な場合には、所定労働時間労働したものとみなされます。
その業務を行うためには、通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合には、「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」または労使協定で定めた時間労働したものとみなされます。


事業場外労働のみなし労働時間制の対象
どのようにみなすのか

 

21 裁量労働制
法第38条の3、第38条の4


 裁量労働制とは、業務の性質上その遂行の手段や時間の配分などに関して使用者が具体的な指示をせず、実際の労働時間数とは係りなく、労使の合意で定めた労働時間数を働いたものとみなす制度です。

裁量労働制には、次の2種類があります。

1 専門業務型裁量労働制 デザイナー、システムエンジニアなど専門的な19の業務に就く者が対象。
2 企画業務型裁量労働制 事業運営の企画、立案、調査及び分析の業務を行うホワイトカラー労働者が対象。



◇◆専門業務型裁量労働制を導入する際に労使協定で定める事項◆◇

1 対象業務の範囲
2 対象労働者の範囲
3 1日のみなし労働時間数
4 業務の遂行方法、時間配分などについて、従事する労働者に具体的な指示をしないこと
5 労使協定の有効期間(3年以内が望ましい。)
6 対象業務に従事する労働者の労働時間の状況に応じた健康・福祉確保措置
7 苦情処理に関する措置
8 6および7の措置に関する労働者ごとの記録を有効期間中および当該有効期間後3年間保存すること



◇◆企画業務型裁量労働制の要件◆◇

1 導入できる事業場 2の対象業務が存在する事業場
2 対象業務 事業の運営に関する事項(対象事業場の属する企業等に係る事業の運営に影響を及ぼす事項、及び当該事業場に係る事業の運営に影響を及ぼす独自の事業計画や営業計画をいいます。)についての企画、立案、調査及び分析の業務であって、当該業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段および時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務
3 決議要件 委員の5分の4以上の多数による合意
4 労使委員会
6 定期報告事項 対象労働者の労働時間の状況に応じた健康・福祉を確保する措置についてのみ報告
7 決議の有効期間 3年以内とすることが望ましい。

 

22 年次有給休暇
法第39条、第135条
(1) 労働者が6ヶ月間継続勤務し、その6ヶ月間の全労働日の8割以上を出勤した場合には、継続し、または分割した10労働日の有給休暇を与えなければなりません。(アルバイト、パート、嘱託等の場合も同様です。)。
その後は、継続勤務年数1年ごとに、その日数に1労働日(3年6ヶ月以後は2労働日)を加算した有給休暇を総日数が20日に達するまで、与えなければなりません。なお、法定の基準日以前に付与する場合の8割出勤の算定は、短縮された期間は全期間出勤したものとして計算します。
有給休暇は、労働者が指定した時季に与えなければなりません。労働者が時季を指定することのできる期間は、2年間です。
(2) パートタイム労働者など所定労働日数が少なくて次に該当する者には、所定労働日数に応じて比例付与することができます。[1]週所定労働日数が4日以下、または[2]週以外の期間によって所定労働日数が定められている場合は、年間の所定労働日数が216日以下であること(週所定労働時間数が30時間以上の者を除く。)
(3) 労使協定により有給休暇を与える時季に関する定めをしたときは、有給休暇のうち5日を超える部分の日数は、計画的に付与することができます。(法第39条第5項)
(4) 有給休暇の期間については、次のいずれかの賃金を支払う必要があります。[1]平均賃金、[2]所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金、[3]健康保険に定める標準報酬日額(労使協定が必要)に相当する金額
(5) 使用者は、有給休暇を取得した労働者に対して不利益な取り扱いをしてはなりません。


年次有給休暇の付与日数


表1 一般の労働者(週の所定労働日数が5日以上又は週の所定労働時間が30時間以上の労働者)
継続勤務年数 0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 5.5 6.5
以上
付与日数 10 11 12 14 16 18 20

表2 週所定労働時間が30時間未満の労働者
週所定
労働日数
年間所定労働日数

継続勤務年数

0.5
1.5
2.5
3.5
4.5
5.5
6.5
以上
4日
169~216日
10
12
13
15
3日
121~168日
10
11
2日
73~120日
1日
48~72日

表3 法第72条の特例の適用を受ける未成年者(表2に該当するものを除く。)
 職業能力開発促進法第24条第1項の認定を受けて行う職業訓練を受ける労働者で、法第70条に基づいて発する命令の適用を受ける未成年者の年次有給休暇については、法72条の特例により下記のとおりとなっています。
継続勤務年数 0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 5.5以上
付与日数 12 13 14 16 18 20

 

23 産前産後等


●産前産後(法第65条)

  6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産予定(※1)の女性が休業を請求した場合には、その者を就業させてはいけません。また、妊娠中の女性が請求した場合には、他の軽易な作業に転換させなければなりません。
  産後8週間(※2)を経過しない女性を就業させてはいけません。ただし、産後6週間を経た女性が請求した場合には、医師が支障ないと認めた業務に就業させることは差し支えありません。

※1出産当日は産前6週間に含まれます。
※2産後休業は女性従業員から請求がなくても与えなければなりません。


●妊産婦の労働時間・休日労働の制限(法第66条)

  妊産婦(※1)が請求した場合には、時間外・休日労働をさせてはなりません。
  変形労働時間制の適用を受けていても、妊産婦が請求した場合には、1日8時間、1週40時間を超えて労働させることはできません。

※1妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性

●育児時間(法第67条)

  生後満1年に達しない生児を育てる女性から請求があった場合には、休憩時間のほかに、1日2回それぞれ少なくとも30分の生児を育てるための時間を与えなければなりません。


●生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置(法第68条)

  生理日の就業が著しく困難な女性が休暇(半日、時間単位でも足ります)を請求したときは、その者を就業させてはなりません。

 

24 就業規則の作成・変更・届出の義務
法第89条
第90条、92条


 常時10人以上の労働者を使用している事業場では就業規則を作成し、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、そうした労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者の意見書を添えて、所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。
 また、変更の場合も同様にしてください。
※就業規則は労働基準法等の関係法令、または労働協約に反してはいけません。

1.必ず記載しなければならない事項

(1) 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに交替制の場合には就業時転換に関する事項
(2) 賃金の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払いの時期並びに昇給に関する事項
(3) 退職に関する事項


2.定めをする場合は記載しなければならない事項

(1) 退職手当に関する事項
(2) 手当・賞与・最低賃金額について定める場合には、これに関する事項
(3) 食費・作業用品等を負担させる場合には、これに関する事項
(4) 安全・衛生に関する事項について定める場合には、これに関する事項
(5) 職業訓練に関する事項について定める場合には、これに関する事項
(6) 災害補償・業務外の傷病扶助について定める場合には、これに関する事項
(7) 表彰・制裁について定める場合には、これに関する事項
(8) 上記のほか、当該事業場の全労働者に適用される事項について定める場合には、これに関する事項


3.任意に記載してよい事項
 上記2事項のほか就業規則の総則的事項等、使用者が自由に記載する事項

4.就業規則の別規定
 どの事項についても、別に規則を定めることができます。


就業規則の周知

 

25 制裁規定の制限
法第91条


 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えることはできません。また、1賃金支払期に数回の違反行為があっても、その減給の総額は、1賃金支払期に支払われる賃金の10分の1以内でなければなりません。

 

26 法令等の周知義務
法第106条
施行規則第52条の2


 使用者に対し、労働基準法及び同法に基づく命令の要旨、就業規則、法に基づく労使協定及び裁量労働制にかかる委員会の決議内容を労働者に周知する義務が課されています。
 周知方法については、施行規則第52条の2により、次の方法が示されています。

[1] 常時各作業場の見やすい場所に掲示し、または備え付ける方法
[2] 労働者に書面を交付する方法
[3] 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者がその記録の内容を常時確認できる機器を設置する方法

 

27 労使協定等の労働者の過半数代表者の選出
施行規則第6条の2


 労使協定の労働者側の締結当事者は、その事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合(過半数労働組合)がある場合には、その労働組合となります。
 過半数労働組合がない場合に限り、労働者の過半数を代表する者(「過半数代表者」)が締結当事者となります。

1 管理監督者でないこと及び投票などで選出されることが条件
 過半数労働組合がない事業場における「過半数代表者」は、次のア及びイのいずれにも該当する者でなければいけません。

法第41条第2号の監督または管理の地位にある者でないこと
法に規定する労使協定の締結などを行う者を選出することを明確にして実施される投票、挙手などの方法による手続により、選出された者であること

2 過半数代表者の不利益取扱いを禁止
 労働者が過半数代表者であること、過半数代表者になろうとしたこと、過半数代表者として正当な行為をしたことなどを理由として解雇、賃金の減額、降格等労働条件について不利益な取扱いをすることも禁止されています。(施行規則第6条の2)
 過半数代表者としての正当な行為には、法に基づく労使協定の締結の拒否、1年単位の変形労働時間制の労働日ごとの労働時間についての不同意等も含まれます。
 こうした条件は、労働基準法で定めるすべての労使協定や就業規則作成・変更時の意見聴取等において、過半数代表者を選出する場合に適用されます。

過半数代表者の不利益取扱いを禁止