コンサルタントの使い方
外部の経営資源としてのコンサルタントを活用するにも、その有効な活用方法というものがある。活用方法が良ければ効果は得られるが、そうでなければ効果は得られない。もちろん、コンサルタントの知識や実力にも関係してくる問題ではあるが、それは当然のこととして、ここでは、コンサルタントを利用する際に往々にして陥ってしまう錯誤について論じてみたい。
コンサルタントを使う際の錯誤とは、主体性の問題と密接な関わりがある。コンサルタントが、企業の経営改革に関与するとき、コンサルタントはその依頼主である企業の外部環境や内部環境、強みや弱みを鑑みて経営改革の方向性や、経営戦略、実施計画等の作成や支援を行うが、ここで注意しなければならないことは、企業の自主性・主体性を見失わないことである。
経営改革のコンサルティングを依頼する企業の社長、社員は日常の業務の多忙から、さまざまな検討や資料の作成をできるだけコンサルタントに依存しがちになる。コンサルタントは、そうした課題解決のプロでもあり、そのための時間がさける、あるいはそれが仕事であるということから、それを引き受けてしまうのである。ここに落とし穴があるのである。程度にもよるが、このようにして経営改革のための検討や資料作成の過半をコンサルタントに依存してしまうようになると、経営改革の推進という観点では赤信号が灯ることになる。
コンサルタントは、どのようなものであれ、検討し、案を作成することはできても、実行することはできないのである。如何に内容が素晴らしいものではあっても、実行されないものは無価値であってみれば、このような状況はけっして本来の姿ではない。これは、人間の主体性の問題と深く関わっているのである。人間は、自分の言ったこと、自分が作成したもの、自分が行ったことに対して、ある種の拘りを持つ。この拘りが災いすることもあるが、主体性や自発性の観点からは、むしろその方が良いのである。
こんな例が有る。ある企業では、経営改革を進めるにためにコンサルタント会社に依頼し、コンサルタント会社が関与している間は、着実に進んでいるかに見えた。しかし、コンサルタント会社が引き上げた後は、経営改革が止まってしまったのである。高いお金を払ってコンサルタントを使い、膨大な経営改革のための検討資料や調査資料が山積みされ、棚に飾られても一向に経営改革が進まず、それらの資料もほとんど活用されないのである。
こんなことでは、時間とお金の浪費と言われても仕方があるまい。そして、こうしたことは、「コンサルタントに頼った」ために起ることなのである。
コンサルタントの側としても、こうしたことが起こらないように、よくよく注意しなければならないのは当然である。コンサルタントのスタンスとしては、支援と代行の区分けをしっかりと行い、自分が行ったほうが速くできるからといって、この自発性問題によって改革の足を引っ張ることのないようにしなければならない。
また、コンサルタントだけでなく、コンサルティングを依頼する企業の方でも、よく他社の事例や業界におけるハヤリ(流行)を追いかけることがあるが、これなども要注意である。参考にするのは良いのであるが、単なる模倣・追随ではうまくいかない場合が多いからである。特に、説得のための言葉として「他社でもやっているから」と言う言葉が出るときは気を付けなければならない。「参考」が模倣・追随に化け、主体性が失われる瞬間となるからである。
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中西 寛
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