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年金保険料使用は給付に限定・与党合意 日付:2004/03/11
自民、公明両党は10日、与党年金制度改革協議会を開き、国民から集めた年金保険料を
今後は年金の給付だけに使う方針を決めた。2005年度から現在は保険料を充てている職員宿舎
や公用車購入の費用を一般歳出に振り替えることを検討する。保険料で建てた病院など全265施設
は5年以内をめどに売却する。年金制度への不信を和らげ、保険料引き上げへ理解を求めるのが
ねらい。 与党の合意を受け、厚生労働省・社会保険庁は早ければ今月中に施設売却などの
基本方針を作り、順次実施する。国民年金法は、保険料徴収や年金給付に必要な事務費は、
税金で賄うという原則を決めている。だが1998年度からは財政再建を目指した財政構造改革法で、
税金で賄うのは職員の人件費などに限定。従来は税金を充てていた社保庁幹部の交際費や公用車、
職員の健康診断費などに保険料を使うことになった。財革法は98年末に凍結されたが、保険料の
転用はそのまま継続、2003年度までの6年間で5300億円の保険料を事務費に回した。
官舎建設に年金流用、2005年度以降に見直し
谷垣禎一財務相は26日の衆院財務金融委員会での民主党の五十嵐文彦氏への答弁で、社会保険庁の職員宿舎の建設費として公的年金の保険料収入の一部を流用することについて「2005年度以降の事務費のあり方は国の財政状況を踏まえて検討する。特例措置の内容もあわせて検討しなければならない」と述べ、同年度以降に見直す可能性を示唆した。
官舎建設費など社会保険庁の事務経費は、財政構造改革法の特例措置で、1998年度から税収を減らし、厚生年金や国民年金の保険料収入の一部をあてている。特例措置は今年度で期限が切れるが、政府は赤字国債を発行するための公債特例法案に特例措置の1年延長を盛り込んでいる。
社会保険庁が民主党の長妻昭氏に示した資料によると、98年度以降、年金保険料を使った社会保険庁の官舎は48カ所(総工費約80億円)。来年度は6カ所を予定している。
資金、ずさん運用浮き彫り…衆院予算委
衆院予算委員会では12日、年金改革に関する論議が本格化した。民主党が年金資金の運用問題を取り上げ、巨額の損失発生に対する政府の責任を追及したのに対し、政府側も損失を認め、将来の支払いに備える年金資金の「無駄遣い」が浮き彫りとなった。
枝野政調会長は大規模年金保養基地(グリーンピア)について、「損をしたら年金資金で穴埋めされるという。建設に一体いくら使ったのか」とただした。
これに対し、坂口厚生労働相は「施設建設と固定資産税などで全体として3800億円となる。(全額を)取り戻すことは困難と思っている」と述べ、損失が年金資金の負担となる可能性を認めた。
その後に質問に立った池田元久氏は、計1兆5700億円の年金資金を投入して整備された厚生年金病院、健康福祉センター(サンピア)など、全国に265か所ある福祉施設を取り上げた。
「75施設が累積赤字だ。サンピアでは全国25か所のうち18か所が赤字になっていると思うが、どうか」
年金資金の運用を担当する社会保険庁はこの指摘を認め、厚労相も「いかに年金の保険料を払っている方に(利益を)還元させるかが課題だった。年金を取り巻く環境は変わり、現状に合わなくなっている」と答弁した。累積赤字を抱える75施設は廃止・売却の方針で、この日の質疑で、年金資金が野放図に運用されていた実態が改めて国民に印象づけられた格好だ。
池田氏はさらに年金資金運用基金などへの厚労省OB天下り問題に言及し、「巨額の損失を出しながら高額の報酬を得ていることを放っておいていいのか」と指摘した。
政府の年金改革関連法案は、年金保険料に上限を設けて段階的に引き上げ、給付水準は引き下げることが柱となっている。それだけに、グリーンピアなどに象徴される年金資金の運用失敗に関しては、与党内にも「責任を明確にしなければ、現役世代に負担増、年金受給世代にがまんを求める年金改革に、国民の理解は得られない」(自民党厚生労働部会幹部)という声が強い。
ただ、小泉首相はこの日の質疑では、「役所が自分たちの組織を肥大化させよう、天下り先を増やそうとしている。指摘を踏まえて政府も改革に取り組まなければならない」と述べるにとどまり、運用失敗の責任などについて言及はなかった。野党は反発しており、今後の法案審議にも影響を与えそうだ。
◆グリーンピア=年金保険料を納めている人向けの保養施設として、旧年金福祉事業団(現年金資金運用基金)が全国13か所に建設した。その多くは累積赤字を抱えており、政府はすべてを廃止する方針だ。地元自治体などとの譲渡の交渉は、施設の老朽化や自治体の財政難などで難航している。
(2004/2/13/00:50 読売新聞