日本産新鉱物

Tamaite

多摩石

理想化学式 (Ca, K, Ba, Na)3-4 Mn24(Si, Al)40 (O, OH)112・21H2O 分類 フィロ珪酸塩鉱物
結晶系 単斜晶系 原産地 東京都西多摩郡奥多摩町白丸鉱山
論文著者 松原聰・宮脇律郎・千葉とき子・今井裕之 掲載論文 Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, 95, 79-83, (2000).

櫻井欽一、国立科学博物館の研究者(加藤昭・松原聰・宮脇律郎ら)、東京大学の研究者(伊藤貞市・渡辺武男・島崎英彦ら)、堀秀道(鉱物科学研究所)などの在京の研究者により、これまで多くの新鉱物が日本各地から発見されている。しかし、不思議なことに地元の東京都からは数種の日本新産鉱物が発見されてはいたものの、新鉱物は1種も発見されていなかったのである。
東京都最西部、奥多摩町の白丸鉱山は変成層状マンガン鉱床で、これまでにキュムリ石・重土長石・バナルス石・エディングトン沸石・ストロンチアン石・ストロンチウム紅れん石などのBaやSrに富む稀産鉱物が発見されていた。国立科学博物館の松原は1985年にガノフィル石(ganophyllite (K, Na, Ca)6 Mn24 (Si, Al)40 O96 (OH)16・21H2O)のK, Na, Caの入るサイトでCa>K+Naとなる“ガノフィル石のカルシウム置換体”が白丸鉱山にあることに気がついていた。しかし、ごく少量の試料しかなかったためその諸性質を決定できず、新鉱物としての申請もできなかった。
通常、白丸鉱山は多摩川にかかる白丸ダムによって完全に水没しているのであるが、1998年1月、白丸ダムの水位が下がった際に今井裕之が露頭から無色〜単黄褐色の六角薄板状結晶なすCaに卓越するガノフィル石を採集した。微小試料のX線粉末回折データを取得できるガンドルフィーカメラが国立科学博物館に導入され、宮脇によってデータが得られた。
Caに卓越するガノフィル石は、加藤敏郎(1980)によりイギリス・Benallt鉱山産のものが報告されていたが詳しい記載は未公表である。また、Mottanaら(1990)によりイタリアのMolinello鉱山のマンガンと鉄に富む変成チャートからの報告があるが、これは斜方晶系で単斜晶系を示す白丸鉱山のものとは異なる。白丸鉱山のCaに卓越するガノフィル石は地域の名称にちなんで多摩石(tamaite)と命名され、1999年に国際鉱物学連合の新鉱物・鉱物名委員会へ申請され同年、認可された。論文は鉱物学会と岩鉱学会が合同で発行することになったJournal of Mineralogical and Petrological Sciencesに2000年に掲載された。

トップへ戻る