マインド・コントロール研究所ニュース No10より
全体主義的セクト
 去年7月10日、東京の弁護士会館でカルトの問題についてフランス人のマックス・ブーデリック博士は講演会を開きました。マックス・ブーデリック博士は1923年生まれ、フランスのリヨン在住、自然科学と哲学の博士号をもち、フランスとベルギーの大学で生涯教育講座を担当するとともに、文部省と少年・スポーツ省の顧問として活躍中。ブーデリック博士はフランスのローヌ・アルプス地方のCCMM(マインド・コントロール救済センター)の代表として、約12年にわたってカルト問題の相談活動を担当してきました。カルトの問題についてプーデリック博士は四冊の本を書きました。博士は『カルト』や『破壊的カルト』の言葉を使うよりも『全体主義セクト』という言葉を使っています。プーデリック博士は『カルト』とは「同じ教義をもつ人間全体」あるいは「一つの宗派から離れた人間のグループ」のことだと言います。ラテン語でカルトは二つの意味が含まれています。一つは<sepul>『ついて行く』、二つは<secare>『切る』と意味します。このように、カルトについての定義は、教義や教義的意味に従って定められたものであり、元来そこに悪いものを暗示する意味は全くありません。

 すべてのカルトは危険なグループではありませんし、グループが危険かどうか見分けることはなかなか困難です。今はフランス語で『カルト』という言葉の意味は変化してしまい、日常の会話やメディア、世論などにおいて、『カルト』という言葉は悪い意味を持つようになり、ほとんどの場合、『危険なグループ』のみを指すようになりました。

1996年にフランス国会はカルトの問題について一つのレポート提出を受けました。そのレポートには、あるグループが『カルト』かどうか見分けるためには次のような条件をあげています。メンバーに精神的や肉体的破壊を行うとか、家庭を破壊するとか、子供に対して虐待があるなど、いろいろな面で反社会的行為を行っているということです。このレポートは、もしあるグループにはっきりこの条件があれば『カルト』と呼ぶことができると述べています。

フランスのカルトを研究している団体『ADFI』のメンバーであるトゥールスラ氏は『カルト』を見分けるためにこのように考えています。
『カルト』は
a:邪悪なマインド・コントロールを使います。
b:三つの破壊(1・人間の破壊、2・家庭の破壊、3・社会の破壊)をします。
c:三つの詐欺(1・知的詐欺、2・道徳的詐欺、3・金銭的詐欺)をします。
 フランスのレポートとトゥールスラ氏の『カルト』の見分ける条件は事件として問題が起きるというところから、その方法で見分けることが条件です。しかし、その見分ける条件の前提として、なぜそのようになったか、という考え方があまり入っていません。起きてしまった事件から物事を見るよりも、なぜこの事件が起きたのかというところから見ることのほうが問題の本質に迫ることができます。

 そういうわけで、プーデリック博士は『カルト』の言葉を使わないで、『全体主義セクト』という言葉を使います。フランス語で『全体主義』は<totalitaire>といいます。<ttotalitaire>は他者からの反対は絶対認めないし、民主主義の考え方も絶対に認めません。社会全体と人間の日プライバシーまでもコントロールします。『セクト』はフランス語で<sectaire>と言います。<sectaire>は熱狂的なグループです。そのグループの意見は狭くて、厳格です。そして、強烈な異説排除を行います。

 プーデリック博士は事件を起こしても、起こさなくても、そのグループに全体主義的セクトのシステムがあるかどうかを知ることができれば、そのグループの問題を理解して、グループに入らないのではないだろうか。このように分析をすれば、そのグループのイデオロギーとか、宗教性とかにかかわりなく、システムがあるかどうかが、問題になってきます。なぜならば全体主義的なシステムを通して、人々を管理し、その管理を通して人間の自由判断を奪います。そして場合によって、反社会的な行動や事件を起こす危険性があります。

 わたしはプーデリック博士の考え方はとても興味深いと思っています。統一教会やオウム真理教は、はっきりと反社会的行為を行っています。しかし、他の組織はエホバの証人、ボストン・ムーブメント、ヤマギシ会などには、はっきりとした反社会行為は見られません。しかし、その組織は<totalitaire>と<sectaire>であることは間違いないのです。このニュースNo10の中でのアメリカ人の元エホバの証人の証言を読むと、この全体主義的システムについて理解できると思います。