このコーナーは、私の思い込みと、お付き合いさせて戴いてる薩摩鶏飼育者の方々から教えていただいたものを載せております。あくまでも聞いた話なので、熱くならずにお読みください。
1 幼雛から大雛まで
  
@鶏飼育者にとって、1番の楽しみは、良鶏を飼育し続けることであり、自分の系統を確立することである。自分の1番気に入った鶏で、雛を取り、その中にいいものが出れば、この上ない喜びである。いろんな交配を行い、どういう鶏が出るかが、また楽しみなのである。

A雛を取る1番いい時期は、暖かくなり始める春(3月、4月)である。寒い時期になると、食欲不良、日照不足などから体型が、小さくなる。赤笹は、遅くとも4月までには孵化させる。白笹は、5月までなら品評会に間に合う。しかし、保存目的の場合は、時期に関係なくとったほうがいい。

B孵化をさせるには、母鶏を用いたほうがいい。母鶏には、よく卵を抱くチャボや、烏骨鶏、名古屋種などがいいようだ。又、その子供も卵を抱き易い親になるみたいだ。それに対し、孵卵器で孵化をさせると、足の奇形など、体型の奇形がよく見られる。これは、湿度や、温度によるものと思われる。サーモ付自動転卵器の場合、温度37,8℃、湿度55%−60%が、成績いいようだ(孵卵機メーカーごとの説明に注意)。はじめから、湿度が多いと、途中で成長が止まったり、やわらかい雛が生まれることが多い(死篭り)。

C餌は、毎日新しいものを与えるよう注意する。それを怠れば、梅雨の時期など餌にカビが生え、雛が、カビ性肺炎などにかかり死ぬ原因になる。水は、1日2回清水を与える。幼雛の場合、よく汚すのでその都度入れ替えてやる。

D選別は、元気よく動き回っているもの、餌を良く食べる、体型の大きなもの(指の長いものは、大きくなる可能性が高い)、姿勢のよいもの、尾羽が、扇子型に開いているもの(生後2週間を目安)、特に、白笹オスは、羽色の白々したものを残すことである。

E太白、総黒の、オスメスの見分け方は、体の大きさと、鶏冠の色で見る。鶏冠が、赤みを帯びたものが、オスである。(2ヶ月位にならないとわかりません)

F中雛、大雛では、足ができるだけ長く、羽色のメリハリ、銀眼、白爪(総黒を除く)、異色のないもの、胸骨の曲がりのないもの、尾羽の多いもの、尾の広がり、高さがあるものを選ぶ。

G止まり木は、鶏が、鳴き始めるまでは、絶対につくらない。胸骨の変形の元になる。餌は、幼雛、中雛、大雛、成鶏用ときちんと使い分ける。えさの切り替えは、徐々に行う。また、毎日野菜を細かく切ったものも与える。これは、毛色に艶が出て、健康維持にも良い。野菜や、麦等の穀物類は、夕方あげたほうが良いとされる。

H幼雛、中雛の時期は、蚊に刺されたり、熱射病にかるなど、成長不良を起こしたり、あるいは、死んだりするので、特に飼育に注意する。飼育小屋は、体長に合わせ徐々に大きなところに移していく。幼雛のうちは、ある程度運動不足にさせ、餌の消化を遅め、体型の形成を促進させる。この時が、足の長さや、その後の体型の大きさに影響する。(遺伝によるものもある)

I小屋の清掃は怠らず、週1回は掃除をする。年数回は、できればパコマ等の消毒剤を振る。羽の生え変わりの時期は、餌を少なめに与えれば、早く生え変わるという方もいる。そして、羽虫に気をつける。羽虫がつくと、羽がばさばさになったり、途中が開かなかったりするので、羽虫(灰色の点々)が羽の裏についていたら、フマキラーなどの殺虫剤を振ってやる。

J異色の羽等は、手入れの一環として、抜いてやる。オスは、集団で飼育する場合は、メスと分けたほうが、喧嘩が少ない。また、ある程度大きくなるまでメスと引き離したほうが、体型が大きくなるという説と、付けメンといって、交尾し始めるまでは、違う内種のメスでもいいので、一緒にしたほうがいいという説もある。

K尾羽は、雛のうちは、できるだけ高く保って、広がっているものを残す。年々尾は、下がっていく。

L中雛になると、毛毟りの癖がついたりするので、直射日光があたらないようにするなど工夫する。


2 成鶏  

@成鶏になると、更に細かなことに注意する。止まり木は、滑りやすい丸太がいいという説と、平たい樽木がいいという説、竹がいいという説がある。滑りやすい丸太は、鶏の肩の形成に役立つようで、所謂、イカリ肩をつくるためのようだ。平たい樽木は、胸骨を守るためのようだ。竹は、縄を巻いて使うみたいだが、羽虫がつきやすく掃除を怠らないことが必要みたいだ。次は、高さの問題だが、余り高すぎると、着地のときに、足をくじく恐れがあるので、高すぎないものをつくる必要がある。そして、平坦でごつごつしたものは避け、地面に平行につくるようにする。また、止まり木は、ブドウ球菌が付きやすいので、ないほうがいいという説もある。その場合は、地面の土は、石がなく、平らに保つようにする

A床土は、砂やシラスがいいという説と、微生物がすみやすい腐葉土がいいという説とがある。砂は、川砂よりも、海砂がいいという方がいるが、細かなことはわからないが、掃除がしやすく、水分の吸収がいいので、尾羽が汚れにくく、糞の匂いもせず、砂浴びをするのにもいいというメリットがある。しかし、埃などによって病気になったり、ブドウ球菌などの菌が、増えやすいので、長い目で見れば、いけないというデメリットもあるようだ。とにかく、小屋の清掃は、怠らないことだ。腐葉土は、いろんな微生物が、住みやすいため、あらゆる分解が進むので、病気に強い健康な鶏を作ることは出来るようだ。自然に近い環境で育てられたら1番いい。(品評会を目指す方、住宅地で飼育されてる方は、川砂が多いみたいです)  

B餌は、飼料、牡蠣殻、青菜、麦を与えるようにし、栄養の偏りを防ぐようにする。くず米などの米を与えている人がいるようだが、足が曲がるなどの奇形を招くのであまり与えないほうが良い。中には、産卵を誘発させるために、生ませたい日の10日前ぐらいから与える方もいる。 

C薩摩は、全体的に、鶏冠は小さく、ぶれない三枚冠。鶏冠の先が、眼の真上に立つのが良い。顔は小さく、首は65度以上を保ち、眼は銀眼、イカリ肩で肩幅が広く、胸に張りがあり、腰は締まり、背が広く、足が長く、白爪(総黒を除く)、体は大きく、羽色に指定色以外の色がないもの、尾羽は、扇形に広がり、数が多く、長いもので、大幌。中心から左右に反っていたり、中央が割れたりしてなく、20度の角度を保ったものがよい。これらの条件がうまくあわさり、バランスが取れたものが良いといえる。

D内種別に述べると、赤笹は、翼の先、尾羽に白が出ているものや、黒爪は、避ける。胸に赤褐色の差し毛が出るものがあるが、抜いてやる(差し毛はオスメスにも見られるが、近親交配が進んでる兆候という方もいる。)。差し毛のあるメスは、その仔に高い確率で遺伝するので避ける。メスは、羽色の明るい赤褐色がいいとされる(できるだけ薄いほうがいい)。首の羽色が、淡黄色のものがいいと思う。この内種は、飼育羽数が、1番多いが、それだけ優秀なものが多く、洗練されている。

E白笹は、赤笹と同じであるが、胸に白の差し毛が出るので抜いてやる。尾羽にも白が出るものがいる。このようなオスには、羽色の濃い雌をかけると良い。白の羽色の部分は、白々したものが良い(白と黒のメリハリのはっきりしたもの)。メスは、体の羽色が、できるだけ薄いものがいいと思う(品評会や、観賞用)。種メスは、濃いほうがよい。また、尾の広がり、三枚冠の切れ込みが弱いものが多いので、改良が要ると思う。(雄の胸の白斑は、それほど問題になりません)

F総黒は、羽に、赤褐色が出たりするので、抜いてやる(改良に赤笹がかかわっているため)。羽色は、紫混じったものより、緑味が強いものが他の色が出にくく種鶏にはいいとされる。尾羽等の改良を他の内種でする場合は、白笹を掛けたほうが後々よい。鶏冠が大きいものが多いので、小さいものをつくるように心がける。眼色は、金眼、銀眼、藍色が認められているが、大半は、藍色が多く、銀眼が、やはり、薩摩らしい気がする。総黒作出者の大野さんは、総黒は、眼から足の先まで黒でないといけないと言われてましたが、薩摩鶏標準では、金眼を主流にしております。体型も、小さいものが多いので、大きいものを作るようにする。

G太白は、羽に、赤褐色や、黒が出やすいので、抜いてやる(高い確率で異色が出る)。肉髯が大きいものが多いように見受けられる。小屋は、南向きが健康上良いが、この太白は、劣勢羽色のため、太陽の光を浴びると、黄色く焼けてくるので、北向きの小屋で飼育している方もいる。 品評会前には、漂白剤で洗う方もいるようだ。(そこまでするんですね)

H総黒と、太白は、尾羽の広がりが弱く、体の小さいものが多いような気がするので、良い鶏を作り出してもらいたい。

I黄笹は、昔はいたようだが、現在は見ることが出来ず、五色に近いものが、わずかに見受けられる(白笹と赤笹との交雑種)。黄笹は、赤笹の近親繁殖を続けていくと出来るという説があるが、これは、単に血液が濃くなることで起きる突然変異の一つであり、本来の黄笹は、希釈遺伝子igとDiの作用により出現する。現在、交雑種として、認められていないが(一部保存会)、総黒、太白も、他鶏種を導入して作られたという部分では、是非とも五色、黄笹も認めてもらいたい。五色、黄笹の薩摩は、羽数も少なく、すばらしい鶏だと思う。このような薩摩は、是非保存するべきだと思う。他系統の少ないこの内種が、いつまで続くかわからないが、他の内種を使うことで克服していけると思う。

J昔は、浅黄、金笹、紅笹など様々な羽色のものがいたようであるが、現在は、赤笹、白笹、太白、総黒の4種が、認められているため(一部保存会)、それ以外のものは、淘汰されているようだ。惜しいことである。

3 良鶏の作出 

@これだけは、誰にもわからない問題で、鶏作りの面白さの原点である。言える事は、良鶏は、よい系統からしか作出出来ないということだ。しかし、良鶏に二代目無しといわれるぐらい本当に難しい。オス、メス共にすばらしい鶏であっても、その雛に良いものが出なかったり、オスがよくて、メスはまあまあのものとの間に、良いのが出たりすることもあったりと、実際のところ、難しいようだ。

A皆さん言われるのは、良い系統の中で必ず雛をとるということだ。それでも、10羽に1羽良い雛が出れば良しとしなければならない。品評会に出展される方は、100羽から300羽の雛を作り、淘汰(欲しい方に分譲する)を繰り返し、いいものを残していかれる方が多い。淘汰の仕方も、自分の作りたい鶏の理想を堅く守り妥協しないことである。100羽の雛を作ってもいい鶏がいなければ、来年また別の交配をする。妥協して、そこそこの鶏を残しても、その鶏から、いいものが出ることはない。とにかく、いい鶏を作るために、オスを変えたり、メスを変えたり、試行錯誤を繰り返すことだ。お互いの欠点を補い合うような交配を行い、そのような鶏を探し見つけてくることだと思う。

Bオスを入れ替えるときは、15日以上たってから生んだ卵が、その雄との交配の卵である可能性が高い。それ以内の卵は、前のオスとの交配の卵の可能性があると考えたほうが良い。

C本当に、自分の気に入った種鶏で雛を作ることが大切だと思う。特にメスは、簡単に説明すると、尾の広がり、尾が高くて長いもの、尾の数の多いもの、肩幅の広いもの、体の大きいもの、鶏冠が小さくまっすぐなもの、足の長いもの、顔の小さいものを選ぶ。オスは、異色がなく、姿勢が良く、尾に力があり、体が大きく、鶏冠の小さく、全体のバランスの取れたものを選ぶ。(交配の仕方である程度の体型は、克服できる)

D血液が濃くなり過ぎないように、交配していくことだ。(むやみやたらに、別系統を掛けるのも問題)

E赤笹の場合、羽色の明るいオスに、羽色の明るいメスを交配した場合、その雛の翼や、尾羽に白が出やすいようだ。(実際赤笹の雌は、羽色の明るいものがいいみたいだ)

F血液が、濃くなると、様々な弊害が起きる。まず、体の小さいものが多く出る。気性が荒く、虚弱体質、奇形、眼や羽に、異色が出るなど様々だ。しかし、他の系統を次々交配させるより、親戚程度の、同系統を交配させていくほうが、好結果が得られるようだ。親子、兄弟などの交配は、なるべく避けたほうがいいと思う(F2まで)。

Gまた、オス、メス、どちらも若鶏を使うと、その雛がオス、メス、どちらかに偏ったり、体の小さいものが出来る傾向があるようなので(個体の遺伝性にもよる)、オスが若いときは、メスは古いものというように交配させたほうがいいかもしれない(メスは、2年以上のものが卵も大きくいいと思う)。親の、その雛に対する遺伝の割合は、オスが3割、メスが7割とも言われている(本来は、半々の遺伝)。とにかく、各内種のメスは、よい鶏を持っとくべきだと思う。(卵を産まなくなるまで。)

H卵の形で、先がとがっているとオス、先が丸いとメスと言う方がいるが、それは違う。

I様々な交配を時間掛けて研究し、誰もが認める自分の系統を作りたいものだ。品評会に出展される方は、まず、羽の欠如、異色がないように、抜き整え、メスが、オスの尾羽等を、踏んだり、つついたりしないように、別々に1羽飼育にする。品評会が近くなると、羽など、体を綺麗に洗ってやり、ケージに慣れさせるようにする。毎日の観察が重要で、いつもと何か違うときは、その原因を突き止め、速やかに処置をする。愛情を持って飼育することが、大切である。(決して鶏を物として扱ってはいけません。生き物です)

以上の話は、薩摩鶏飼育者の多くの方々に教えていただいたもので、あくまでも各方々の飼育法です。ご了承ください。
飼育法聞いた話