統合失調症を克服するために

 @〜(24)は私の勧める本の紹介です。 

丸数字をクリックすると文頭に行きます。 

@

 心の医者のフィールドワーク  中沢正夫著:  情報センター出版局出版   1200円プラス税:1982年初版

A

  続 ・不思議なレストラン―君はひとりぼちじゃない 心の居場所15年 (単行)  松浦 幸子 (著):教育史料出版会

 ¥ 1,680 (税込): 2002年初版 

B

 明るい反精神医学  塚本千秋著:日本評論社

 1700円+税:1999年

C

 「ACT-Kの挑戦」  高木俊介著:批評社

 1500円+税:144P:2008年初版

D

 よくわかる最新医学・統合失調症  春日武彦著:主婦の友社発行:

 1400円+税:200p:2007年発行

E

 ぼくは統合失調症  河村実(かわむらじつ)著: 雲母書房

 1700円+税: 261P: 2006年

F

 NHK「生活ほっとモーニング」

 統合失調症を生きる

 有村律子他著:NHK出版

 1600円+税:2005年 

G

 患者のカルテに見た自分  中沢正夫著:  情報センター出版局出版   1200円プラス税:1986年初版

 H

 ルポ・精神病棟  大熊一夫著: 朝日新聞社

  640円:  1973年

I

 ブラックジャックによろしく:精神科編    佐藤秀峰著: 講談社:まんが

 定価:533円+税: 2002〜2006年

J

 開かれている病棟・おりおりの記   石川信義著:成和書店:

 1880円(税別):1990年初版

K

 閉鎖病棟帚木 蓬生著  新潮文庫:1500円(税込み):1994年

L

 統合失調症の薬物療法

 コンセンサス

 伊豫雅臣編著:じほうK.K.

 2400円+税:2006年

M

 わが家の母はビョーキです  中村ユキ著:サンマーク出版

 1200円+税

N

 精神科の薬がわかる本  姫井昭男著: 医学書院発行

 2000円:2008年第一版

 

 O

  なんとかなるよ統合失調症  著森実恵:解放出版社

 2006年:1400円

P

 悩む力ー べてるの家の人びと  斉藤道雄著:みすず書房

 1800円+税:2002年

Q

抗精神病薬の「身体副作用」がわかるーThe Third Disease   長嶺敬彦著:医学書院

 2400+税:2006年発行

R

 広島ECTネットワーク研究会  電気ショック療法のこと

S

  ECTマニュアル-科学的精神医学をめざして    本橋伸著:医学書院

 3150円:2000年

(21)

 リスペリドンを使いこなす

 −症例を中心に−

 上田均・酒井明夫著:星和書店 

 

 2800円+税:2004

(22)

  クエチアピンを使いこなす

 石郷岡(いしごうおか)純編

 星和書店20092800円+税

(23)

 オランザピン急性期の報告

−ひとりひとりの治療ゴールへ−

 上島国利編集:星和書店

 2004年:2800円+税

(24)

 星と太陽  星野優太郎著:周東写真美術印刷発行  2010年発行:800円(税込み)
(25)  治りませんように

 -べてるの家のいま

斉雄藤道著:みすず書房

2010年:2000+

リンク@

 特定非営利活動法人 全国精神保健

福祉会連合会(みんなねっと

 家族を家族会の連合です。

 機関紙「みんなねっと」が充実してます。

 私も購読しています。

リンクA

 全国精神障害者団体連合会(ぜんせいれん)  第10回の総会が埼玉県で行われました。 

リンクB

  大阪精神障害者連絡会

  (ぼちぼちクラブ・大精連)

 12月例会:「なくそう!医療観察法」
〜破綻があらわとなった医療観察法の現在〜が

2008年12月20日(土)に行われました。

リンク

C

 

  大阪精神医療人権センター  人権センター設立23周年記念

 パネルディスカッションが2008年

  11月8日(土)に行われました。

リンクD

 全国「精神病」者集団
 (病者集団)
 原則:差別と排外を許さない 

 強制医療・入院に反対する

  

 

@  心の医者のフィールドワーク 中沢正夫著

Nakaza1

1982年初版の本ですが、人気なので、2007年に新装再販されました。

題名「心の医者のフィールドワーク」のごとく、長野県佐久地方に、

保健婦と共に、患者訪問を1964年から始めて、そのときの感動的な

ルポです。

 患者の本当のことを知るには、病院や、診療所で椅子に座っていたのではいけない

のです。患者さんの家、家族、環境をすることは必須なのです。

 20年以上前に書かれたのに、本質的なことは、今でも全く同じで、感動的で、かつ大変

役にたちました。文章は名文です。もう2度読みました。

 

 A 続 不思議なレストラン―君はひとりぼっちじゃない

Fusigi 
私にとって、げんきのでる本でした。
 
著者は精神障害者の社会復帰活動の、日本のパイオニアー

と言っていいと思います。

 最初は、不思議なレストランは地域で孤立している精神障害者の集う場として、

アパートの小さな部屋での食事会から出発し、喫茶店を経営し、さらに

レストランを経営し、夕刻からは仲間との夕食の場クッキングスターを

作り、働き・集う場として発展しつつあります。

地域社会に溶け込んでいる姿が素晴らしいです。

 

松浦 幸子 (著)
価格: ¥ 1,680 (税込)
2002年初版
教育史料出版会

 

 

 B 「明るい反精神医学」 (塚本千秋著:日本評論社;1700円+税:1999年)

Hanseisi ほんとに明るい展望の本です。

 楽しみながら一気に読みました。

 今の精神医学に何でもたてつくというのとは違います。

 少し別の視点から今の精神医学を見てみる、幾つかの

 試みです。

 転地療法のことが面白かったので、紹介します。

結核の治療のための転地療法は有名ですが、精神の病の治療としての転地療法を

勧めている本は最近あまり見かけません。

 この本によれば精神の病の治療としての転地療法として勧められる場所は、

(以下私が勝手に要約します。)

@ あまりさびしくない所。(しかし観光地はだめ)

A 間借りが一番いいが、無ければ旅館にする。

B 和風の旅館がいいが、無ければ西洋風の質素なホテルを選ぶ。

C 高層のホテルは、自殺予防のため、避ける。

D 夫婦で零細に営む木造の旅館がいい。

 (夫婦が第一次産業:農林、漁業に兼業しているのがいい。)

E 古すぎると、壁のシミに特別な意味を見出す患者がいるので、良くない。

F 最初は落陽の見える西向きの部屋がよく、あと朝日の見える南の部屋に変わるといい。

G 海岸の近くは、自殺念慮のない患者ならいい。

H その町に参拝者の少ない神社・仏閣があることが重要。

(その神主や僧侶が暇をもてあましているようなのがいい)

 

 

 

 

C 「ACT-Kの挑戦」:高木俊介著

   

高木俊介著:批評社

1500円+税:144ページ:2008年初版

 

 「ACT-Kの挑戦」という本が日本でのACTのレポートとしてでました。

ACTは精神科医療の最前線です。

 ACTとはAssertive Community Treatmentのことで、包括的地域生活支援と

訳されています。

 精神科医療の最前線として、ACTーJという試みが、厚労省の支援で、仙台や大阪で

行われたことが学会誌に載っていたので、注目していました。

 それが京都で、民間機関で、実践されているというのですから、驚きました。

 

 ACTは最初アメリカのマディソン市のメンドータ州立病院で行われ、既にアメリカでは

35の州で導入され、世界に急速に拡がっているそうです。

この本から、ACT-Kの特徴を簡単に紹介します。

@ 重い精神障害を抱えた人を対象とし、地域生活を続けるために、医療と福祉の

サービスを包括的に提供します。

A 2004年に、精神科訪問型診療所「たかぎクリニック」と訪問看護ステーション「ねこのて」が

出来る。(24時間体制が整ったのは2006年)

B 「在宅支援診療所」という制度ができ、24時間の連絡体制・訪問体制を整え、

診療報酬が大幅に増額された。

B 精神保健福祉士の訪問に対して、「精神科訪問看護・指導料」が認められる

ようにになった。(2008年)

C 訪問診療も「在宅・通院精神療法」として算定されるようになった。医師は月に2回

訪問診療を行う。

D NPO法人:「京都メンタルケア・アクション 」(AKTについての研究・啓発活動と

学生ボランティの育成が目的」が協力する。

E常勤スタッフは13人:精神保健福祉士5人:看護師4人:薬剤師1人:OT1人:

事務員1人:医師1人

F 全体の利用者は120人。約90人が重い精神障害を抱えた人。30人が精神症状を

持つ認知症をもつお年寄り。(2008年4月時点)

G 薬剤師は訪問薬剤管理指導(指導料は算定される)を行う。

H ほとんどのスタッフが海外研修をしている。

I 海外からも講師に来てもらっている。

 このような体制で、医師も、看護婦等のスタッフも全国平均的な給与を得ても、充分

経営がなりたつそうです!

 保険医療費総額は、病院で治療するより、はるかに安くつくそうです!

 

 

D よくわかる最新医学・統合失調症

主婦の友社発行:春日武彦著:

1400円+税:200p:2007年発行

    

 

 精神科の医師がなんで、患者さん向けの本を読むかといえば、

意外と、医学用語を患者さんのために、わかりやすく説明できないものです。

解っているつもりでもまとめる事は難しいです。

いわゆる教科書的な本に載っていない、大切なことも多いです。

少しいい文章だと思われたことを以下に少し紹介します。

@ 精神分裂病(Schizophrenia)はスイスの精神科医、オイゲン・ブロイラーが1908年に作った新語で、ギリシャ語で分裂を意味するSchizoと精神を意味するphreniaを組み合わせたものです。

A ドイツの精神科医、クルト・シュナイダーは、自我の境界がもろくなったり障害されたりすると、この病気が起こると考えました。そして、この自我の境界によって現れる症状を「一級症状」と名づけました。

B 一卵生双生児の場合、一人が統合失調症になっても、もう一人が発生する確立は約60%で、100%ではないのです。

C 日本の精神化病院の病床数は・・・さらに増えて36万床になっています。その結果、日本の全病床数の22%を精神化病床で占めているのです。

D宇都宮病院: 1984年に、栃木県・宇都宮病院の入院患者によって告発された事件。・・・これを契機に、1987年、精神衛生法が改正された。

E SST(生活技能訓練):Social Skill Trainingの略。UCLAのりバーマン教授によって開発された認知行動療法。

 

 

E ぼくは統合失調症 河村実(かわむらじつ)著

  

 統合失調症の患者さん自身が実名を出して書いた本格的な本です。

もともと小説家志望(もう本格的な?)のかたなので、これが3冊目で、

病気の体験談だけでなく、文学的にもすぐれたエッセイ集ともなっています。

 第2部は、病気になったらどうしたらいいか。社会復帰のためにどうしたらいいか、

患者のほんねから、対処方法が親切にかかれています。

一部引用して紹介に替えます。

  福岡での体験:

 (中略)そこでは海が腐り、腐臭がガスとなって立ち昇り、

この浜辺の家並みを包み込んでいました。世界は終末を迎え、この世に生きているのは

私一人となってしまったと妄想を抱き、ぽろぽろぽろと涙を流しながら彷徨するしかすべがなく、

このとき見た家並みは雨戸を閉ざし、風化した板張りがガスにさらされているのをただ

ぼんやりと眺めていたのでした。人々は死んだのです。この町は死人の町なのです。荒涼と

して吹く風に廃墟となった町並みを眺め、一人生き残っている自分の皮膚がただれ、腐り、

においを放っているのに気がつきました。

 最初の体験 

 (中略)宿直室で休息を取っていると、スピーカーから中年の男の声で下手な歌が流れてきました。

何だろうと耳を傾けると消えるのです。変だなあと思いますが、気にしなくなるとまた

聞こえてきます。(中略)

 そのうちに、自分は超能力者になったと確信するようになりました。自分の直感が鋭くなり、

既視感が多くなり、予知能力が得られたと思ったからです。(中略)

 私は予知能力を試したくなり、競馬で当てようと試みました。そして、朝、目が覚めたときに

不思議な体験をしたのです。目をつむっていると、額のあたりに、色の異なる二つの長方形が、

左から右に移動するのです。私はすぐに悟りました。この色は馬券の1着と2着を表わしている

と思ったのです。

 

F NHK「生活ほっとモーニング」 統合失調症を生きる 

  

 第1章では、全国精神障害者団体連合会(ぜんせいれん)事務局長の有村律子

(ありむらりつこ)さんがアルコール依存症の夫と2人の小学生がある頃発病したと、

大変な苦労の体験談を述べておられます。

 酒井洋さんは、埼玉県精神障害者団体連合会(ポプリ)に入り、今は事務局長を

しておられます。被毒妄想の体験などを語っておられます。

 酒井香代さんは幻聴や幻覚に左右される体験を述べておられます。酒井香代さんは

友人のお兄さん酒井洋さんと結婚され、(ポプリ)の活動を支えておられます。

 第2章では、全国精神障害者家族会連合会(今は解散している)の常任理事の

三橋良子(みつはしよしこ)さんの、お兄さんとの共の長年の闘病体験を、述べておられます。

三橋良子さんは非常にお兄さん思いの妹で、心温まる文章です。

 第3章は専門家による、統合失調症の解説です。

 第4章は、大阪精神医療人権センター事務局長の山本美雪(やまもとみゆき)さんの

つらい体験談と人権センターでの活動の紹介です。山本美雪さんを含む大阪精神

保健福祉審議会は2000年に「精神科入院中の患者の権利宣言10項目」を大阪府に

具申するまでに至っています。

 第5章は、有名な「クッキングハウス」代用の松浦幸子(まつうらさちこ)さんの話です。

 第6章は、国立精神・神経センターの伊藤順一郎(いとうじゅんいちろう)先生が、

現在の精神医療の問題点を整理し、退院後の受け入れ態勢や、住居の整備が必要で、

ACTなどの体制の進展が望まれると述べておられます。

 

G 患者のカルテに見た自分 中沢正夫著

  1986年に出版されたものが、2007年に新装再販されたものです。

 第1章 「不可解だから、心」に統合失調症の3症例が報告されています。

 第一症例は、急性に発生して、中学生の少年が家出してしまい、

SFのような別世界に入ってしまったような例です。

 第二症例は、昔の音楽、ビートルの世界から抜け出せない例です。

 第三症例は母親と子ども2人の共生精神病の例です。

 それぞれ、似たような症例を私も見ていますので、リアルに報告されているので、

すごく感心されました。

  

 

 H ルポ・精神病棟   大熊一夫著

 一時大変有名になった本です。

 著者がアルコール中毒(依存症)患者を装って、精神病院に入院した

体験のルポとその頃の精神科の社会事件を取り上げたものです。

 まず、朝日新聞連載で大反響を起こし、その後も本になり、ずっと

話題になり続けたものです。

 今でも、考えさせられることが多い内容です。

  さすが、ロボトミーや麻酔なしの頻回のEST(電気ショック療法)等は無くなっていますが、

現在でも、諸外国と比べてけた外れに多い約27万床の精神科病床があり、

その3〜4割が閉鎖病棟と考えられますので、本質的な状況は変わっていないと

言っていいと思います。

 

I ブラックジャックによろしく 精神科編 佐藤秀峰著

Black9_2 

2002年から2006年までに1巻から、13巻まで出版されました。

9巻から13巻までが精神科編です。 たかが漫画だから、

内容もアバウトで、普通の本に比べれば、特に精神的なものは

あまり表現できないだろうと思って読み始めました。 まったく、

予想以外で、内容も実に正確で、絵の力でしょうか、非常に心の

機微まで表現されていて、3日で一気に読みました。もちろん、絶対お勧めの本です。 

2度読んだので、簡単に紹介します。詳しくすると読む楽しみを奪いますので・・・

第1巻は第一外科編:研修医斉藤医師の体験記です。肝硬変末期患者の手術を行う

愚に疑問をいだきます。

第2巻は循環器内科編:心臓のバイパス手術は大学より

民間病院のほうが技術が高いので、大学の方針に反して、難しい手術の担当患者を

民間の医師に頼みます。

第3巻はベビーER編1:不妊治療の大変さ。障害児の

未熟児の親の心の複雑さに直面します。(ダウン症候群は平均すると出生1000例に

1例生じる。)

第4巻はベビーER編2子ども(障害児)の手術は親が同意しないと手術できない。

親に同意がしてもらえないと救命的な手術が出来ない。すなわち、見殺しとなる。

斉藤医師は親を説得にあたります。

第5巻は癌医療編1:生存率の低い癌(すい臓癌)の

手術を行った。その術後、化学療法も行った。その妥当性はあるか悩みます?

欧米で使われている抗がん剤の多くが日本では保健で使えない現実に直面します。

(日本には腫瘍内科医が極端に少ない。)

第6巻は癌医療編2:未承認薬ジェムサール

(抗すい臓がん薬)を使った。すると、他の医療費も一切自己負担となった。

ひと月に何百万円もかかった。金が続かない・・・

第7巻は癌医療編3:末期がん(第4期)に抗がん剤を使っても数ヶ月しか延命

できなかった。延命効果を狙い、さらに未承認薬を治験として使った。

第8巻は癌医療編4:癌を告知された患者が精一杯癌と戦い、そして、幼い息子と娘と

丁寧な別れの作業をします。末期がん患者を丁寧に看取った担当医2人は、

緩和ケアー科の新設を作りたいと教授に申し込みます。

第9巻は精神科編1:担当した患者Kさんは、精神化の状況をマスコミに知らせたいと、

指導医に了解を得て潜入した新聞記者。大学を卒業して発病した患者0さんは、

斉藤医師と散歩中に近所の人が自分のうわさをしていると思い追いかけて怖がらせます。

第10巻は精神科編2:患者0さんはピーターパンが迎えに来ると窓の外をみている

若い子Hさんと恋に陥ります。そんな時、OOO小学校で児童8人の殺傷事件が起こります

(2001年)。K新聞記者は、犯人の名前を出すこと、精神病であるかのような報道することに

反対しますが、新聞社幹部に無視されます。「T犯人は何度も精神病院に入退院していた」と

繰り返しマスコミは発表します。

第11巻は精神科編3:K記者はOOO小学校事件に関し、

心神喪失者の問題、措置入院の問題、詐病の問題、など伝えようと努力します。

入院中のO君はさびしい境遇で育ったHさんを恋し、救おうとします。

第12巻は精神科編4:付属池田小学校事件は世間の精神障害者への差別を助長

させていきます。そのような時期、退院したO君は母や、世間に追い詰められて行きます。

Hさんの病状も悪くなります。O君は自立し、Hさんを自分のアパートに迎えられるようにと

頑張ります。Hさんを迎えるピーターパンになろうとして?!

第13巻は精神科編5:K記者の記事が新聞に連載されます。主人公斉藤先生の

担当する患者O君は大学病院屋上から飛び降り、自殺を試みます。いや、Hさんを迎えに

ピーターパンになったつもりで、空に飛びます。HさんはO君の回復を待ちます。

双方の母親も2人の関係を容認するようになります。医師や、Hさんの期待に

応えるかのごとく、O君は意識を回復します。

 

J 開かれている病棟・おりおりの記 石川信義著

  

 カバーの宣伝文を以下に写して紹介文とします。

 「幾十万かの読者に感動を与えつづけてきた書『開かれている病棟』。

本書は、その著者である石川氏の珠玉の随筆集である。

新聞や週刊誌各誌で紹介された全解放病棟三枚橋病院を設立してから

今日に至る約20年。患者さんと過ごし、仲間のスタッフを共に治療に専念してきた20年。

そのおりおりに感じたこと、講演したこと、など、本書は人間石川氏を

丸ごと読者に伝える感動の書である。」

  石川信義さんが全解放病棟三枚橋病院(保護室は6床)を作ったのは1968年です。

 気楽に読め、大変面白い本なのですが、もう絶版です。

 今、この本は中古品が3000円もします。(待てば、安い中古品が出るかも知れません)

 

K 閉鎖病棟:帚木 蓬生著

  

  少し出版はふるいですけど、3人の精神病患者の友情あふれる物語です。

 主人公昭八は知恵遅れで、難聴です。農業の手伝いをしていましたが、

のけものにされてたことが切っ掛けで放火事件を起こします。

 由紀は中学2年生です。両親にも内緒で、妊娠中絶をして不登校です。

 秀丸は統合失調症で、家族を殺して、死刑囚となりますが、死刑が失敗して、

放免されます。行くところが無く、病院に雑務係としてやとわれます。

 この3人が織り成す、病院を舞台とした長い人生物語です。

患者の心理の描写が見事です。

 一押しの小説です。病棟の様子もよく解ります。

  しかし、最後のほうで、復讐をするという展開になるのですが、私はどんな理由があれ、

どんなに悪人でも、復讐することには同意できません。

死刑も反対です。そして、私はアムネスティーの会員でもあります。

  

 

L 統合失調症の薬物療法コンセンサス 伊豫雅臣編著  

   

 現在の精神科医の統合失調症の標準的薬物療法と言っていいと思います。

 「統合失調症の薬物療法コンセンサス」(株式会社 じほう:2006年)を

表現があれば、ご教示ください。

「調査は千葉県内の総合病院精神科12施設、精神科病院12施設および精神科

クリニック12施設に勤務する精神科医55名に依頼し48名より回答を得た。」と

巻頭にあります。  

1)初回の精神病エピソードの患者には、中心となる症状が陽性でも、陰性症状

でも、陽性症状と陰性症状がともにある場合でも、使うのはリスパダール錠か

ジプレキサ錠である。(中心となる症状が陰性症状の場合、ジプレキサ錠が

第一選択である。)

2)複数回の精神病エピソードの患者にも、中心となる症状が陽性でも、

陰性症状でも、陽性症状と陰性症状がともある場合でも、使うのはリスパダール

錠かジプレキサ錠である。(中心となる症状が陰性症状の場合、ジプレキサ錠が

第一選択である。)

3)急性な沈静が必要な場合は、まずリスパダール内用液を使い、次の選択

として抗精神病薬静脈内注射を使う。

4)新規非定型抗精神病薬の内服液(リスパダール内用液)は急性期の注射の

代替として、また不穏・不安時の頓服・指示薬として使う。

5)抗精神病薬の用量は、初回の精神病エピソードの患者には、リスパダール錠は

急性期で7mg/dayで維持量は4mg/dayである。ジプレキサ錠は急性期で17mg/day

維持量は12mg/dayである。

6)急性期の最高最終用量はリスパダール錠も、ジプレキサ錠も、セロクエル錠も

添付文書の最高量近く(各12mg/day20mg/day750mg/day)である。セレネースは

24 mg/dayで、ロドピンは330 mg/day添付文書の最高量450 mg/day)である。

7)急性期の用量調節の際重視するのは、年齢、薬剤相互作用、心疾患、

肝機能障害、腎機能障害などである。

8)高齢者(65歳以上)の患者さんには、リスパダール、ジプレキサ、セロクエルを

用い、その他の薬剤(定型抗精神病薬など)は用いない。用量はリスパダールは

mg/day、ジプレキサは10mg/dayである。

9)BPSDまたは精神病を伴う認知症障患には、まずリスパダールを使い、

つぎの選択としてジプレキサ、セレネースを使う。用量はさらに少なく

リスパダールは2mg/day、ジプレキサは6mg/dayである。

10)抗精神科薬への反応の効果判定までの期間は、初回の精神病エピソードの患者で、

無反応な場合24週間で、部分的な反応の場合は3〜7週間である。

11)反応が不十分の場合はリスパダール、ジプレキサ、セレネース、セロクエルとも

添付文書の最高量近くまで用量を増やす。  

12)別の抗精神科薬に切り替えるときは、クロスタイトレーション(重ねる形で

最初の薬を漸次減らし、別の薬を漸次増やす)で行う。

13)反応が部分的な場合は、新規非定型抗精神病薬の内服液を追加するか、

別の新規非定型抗精神病薬を追加する。

14)コンプライアンスが良好にもかかわらす再発した場合、現在の薬を増量

するか、べつの薬に替える。

15)コンプライアンスの無い患者で再発した場合、薬の剤形を替えるか、デポ

注射剤に替えるか、剤形の違いかつ別の薬に替える。

16)安定している患者では、3〜6ヶ月待ってから減量する。

17)攻撃性/暴力が併発した場合、リスパダール内容液を使う。

18)不快/うつが併発した場合、ジプレキサ錠を使う。

19)認知問題が併発した場合、ジプレキサ錠を使う。

20)攻撃性/暴力に対する補助的治療として、テグレトールかデパケンを使う。

21)不快/うつに対する補助的治療としてSSRI・SNRIかベンゾジアゼピン

系薬(ワイパックス等)を使う。

22)定期的のモニターすべき合併症は、糖尿、心血管系の障がい、肥満、

乳汁分泌、高血圧、物質乱用の順である。

23)血中プロラクチン値が高値(男性15ng/mL以上、女性20ng/mL)以上を

示している場合、他の薬に替える。

24)ジプレキサやセロクエルを使っている場合でも、それ以外の薬を使って

いる場合でも、臨床的に有意な肥満(30≦BMI)の場合、まずリスパダールを

使い、次の選択としてルーランを使う。

25)ノンコンプライアントな患者には、まず心理社会的介入を行う。次の選択と

して、デポ製注射剤を使う。  

M わが家の母はビョーキです」 中村ユキ著

   

  サンマーク出版:1200円+税

 

以下前半の大まかな筋と感想。

 著者、中村ユキさんが4歳のとき、お母さんが悪口などの幻聴におびえるように

 

なり発病です。

 

 お父さんはギャンブル依存症で全く非協力的です。

 

 住んでいた夫の実家から、母は姑に実家に帰らされ、小さい子どもの著者をつれ

 

裸足でえんえんと歩くなど、奇異な行動をし、地元の精神病院に1ヶ月入院します。

 

 母は退院してすぐ薬を大量に飲み自殺未遂をし再度入院し、3ヶ月後退院します。

 

 退院後、薬をのまずにいると、「ころす、死ね、自殺しろ」などの幻聴が1年続き、

 

母は自分から精神科に通うようになる。

 

 著者が9歳のとき、母はパートの仕事をしはじめ、薬を飲むと頭がボーッとして

 

働けないと、服薬をやめたので、症状が悪化する。包丁をもって、著者を追い回すなど

 

する。パチンコとお酒の依存症にもなる。こんなとき、父親はギャンブルばかし。

 

 著者が16歳、母が40歳のとき、父が大借金をし、母は離婚を決意。しかし、母は

 

薬を飲まず、自殺未遂や奇異な行動を繰り返し、パチンコ癖が再燃し、カードーローン

 

にも手をつける。

 

 著者は高卒後デパートに就職する。しかし、母は「殺してやる、ハハハ、死ね、死ね」

 

などの独語。こんな環境に著者はあきらめムード。

 

 著者が漫画家になると、デパートを辞めてから、母の症状が最悪となり、犬も

 

著者も殺すといって暴れだす。タバコを飲んで、自殺企図も行う。母の担当医と

 

相談すると、なんと母は、担当医とは楽しく世間話だけして、担当医は症状を

 

知らず、ヒステリー(神経症)の薬を出していた。担当医は驚き、そして、母は

 

すぐ入院となった。

 

 3ヶ月の入院のあと、著者が21才のとき、母も著者も無職となる。そんな時、

 

母の姉が一緒に暮らして、母に仕事を手伝って欲しいとの申し出でがあった。

 

著者は漫画のアシスタントの仕事に精を出す。

 

 しばらくすると、母の病状は悪化し、鉄の棒を振り回し、誰からか狙われ怖い

 

から警察に行きたいというので、警察に連れて行くと、ソファーを投げたりして

 

暴れだし、措置入院(緊急時、2人の指定医の診断で、知事の権限での強制入院)

 

となる。8ヶ月措置入院する。その後は1年7が月保護入院(家族の要請での入院)

 

をする。

 

 15キロ太って退院し、保健所のディケアーに通い始める。

 

 

 (後半では、著者は介護福祉師のタキさんと結婚し、明るく頼もしい支えを得ます。)

 

 

著者の母の31年にも及ぶ闘病生活です。

 

 お母さんと、著者と、やがては著者のご主人を含めての

 

大変な苦労の生活歴です。私にとってストーリの大半が、感動的でした。

 

 とりもなおさず、この本はこの30年間の精神医学の進歩の紹介でもあります。

 

 よく、ここまで、隠さず、リアルに描かれたと、感心しました。

 

 患者さん、家族、医療専門家にも大変役にたつ本だと思います。

 

 

 

N 精神科の薬がわかる本:姫井昭男著

   

 

 医学書院発行:2000円:2008年第一版

この本をまず読むべきでした。 

 精神科の薬の本を何冊も読んでも、なかなか理解できませんでした。

何度読んでも理解できないから、覚えられない。という、悪循環でした。

 はじめて、理解でき、ほとんど納得いく精神科の薬に出会ったので、

この一ヶ月この本を4回読み直していたので、ブログが書けませんでした。

 医師でない人、患者さんや家族のためにも読んでもらおうと平易な文章に

なっています。

1.抗うつ薬 2.睡眠薬 3.抗精神病薬 4.抗てんかん薬

5.幼年期に使う薬 6.その他の精神科の薬

 以上の6章からなっています。各章の終わりに、よくあるQ&Aも親切にあります。

シナプシスの模式図もシンプルに解りやすいものです。

 一番感心したのは抗精神病薬のアルゴリズムです。第一選択として、

リスパダールとジプレキサとエビリファイが並び、第二選択として、セロクエルと

ルーランがならび、なるほどと思える選択支のコメントがあります。

 もちろん、いの一番にお勧めの本です。医師にも、医師以外のひとにも。

 

O なんとかなるよ統合失調症:森実恵著

 

(がんばりすぎない闘病記)

Morimie1

 解放出版社:2006年:1400円

  やっと、しっかりした、患者さん本人による自伝を見つけました。

 森実恵さんは糸賀一雄記念賞を2007年に受けておられます。

 大学では英文学を専攻し、

 実存主義の本に傾倒しておられました。

 大学の教員と結婚し、女の子2人に恵まれます。

 義父の死去の際ののストレスなどで発病し、

退院したときは、離婚させられて、下の子と苦しい生活を

始めます。しかし、めげずにがんばり文筆活動に励みます。

 後は、本を読んでください。

 精神病をわずらっている方には元気のでる本だと思います。

 

 P 悩む力ー べてるの家の人びと:斉藤道雄著

    Beteru1 

 みすず書房:1800円+税:2002年

  約27年前、浦河赤十字病院のソーシャルワーカ向谷地(むかいやち)生良さんが

古い教会を借り、精神障害者と共に、生活し始めました。

 この共同住宅は11人のメンバーが住めるように作り直されています。

 最初からの住人、佐々木實さんや早坂潔さんをはじめ、住んでる住人のこころの

広さとタフさに感心しました。

 多くの人に読んでもらいたいので、紹介文を書こうとしたら、裏表紙に良い紹介文が

載っていましたので、その全文を文を以下にタイプしました。

 北海道、浦河―――襟裳岬に近い海辺の町に共同住居「べてるの家」がる。病気や

いきづらさを抱え呻吟の日々を送っていた人びとがここで出会い、集いはじめて

二十年余り、メンバーはみずから会社をつくって、日高昆布の加工販売をはじめと

する多彩でユニークな活動を展開している。そのモットーは「安心してさぼれる」

会社だ。管理を排し、おたがいの弱さを認めあって暮らす毎日のなかから、

彼らはじぶんたちの生き方を見つけ、不思議な安らぎの「場」を生み出してきた。

 べてるのいのちは話し合いである。ぶつかりあい、みんなで悩み、苦労を重ね

ながら「ことば」を取りもどした人びとは、「そのままでいい」という彼らの

メッセージを届けに、きょうも町にでかけている。そんなべてるの力にふれるとき、

人は自分自身への問いかけに揺さぶられ、やがて深く納得するのである。

それぞれの人生を生きていくための、回復のキーワード。

 注:べてるとは神の家を意味するそうです。地名があるそうです。

 

Q 抗精神病薬の「身体副作用」がわかるーThe Third Disease 長嶺敬彦著

 

医学書院:2400+税:2006年発行

 

 「目から鱗」的な本でした。

 

 平易な文章ですので、専門家でなくても文章の9割方は

 

理解できると思います。

 

 この本から特に印象的な記述を以下に少し紹介します。

 

=====================

 

 第二に、統合失調症を患うことで、社会・家族との間で出生じる軋轢は

 

偏見(スティグマ)につながります。・・・第三に、患者さんは抗精神病薬によって

 

身体に現れる『副作用』と戦わなければなりません。・・・これらをThird Disease

 

名付けました。

 

 カナダのKapurと言う研究者は、大脳の線条体において65から72%のドーパミン

 

受容体が塞がれたときに、副作用を起こさず、しかも抗精神病作用が得られる

 

ということを実験により示しました。

 

 アリピプラゾールはドーパミン活性を常に30%程度に安定化させるので、

 

ドーパミン系安定化作用(Dopamin system stabilizer)を持つといわれています。

 

 QT延長とは心電図でQTc440msec以上をいいます。・・・QTc500msec以上の

 

人も数%はいますが、さすがにその場合は抗精神病薬を減量するか、変更を

 

お願いすることになります。・・・心房細動になることがあるからです。

 

薬物相互作用で特に問題となるのは、三環系抗うつ薬、抗ヒスタミン薬、

 

マクロライド系抗生物質、抗真菌薬です。これらの薬と治療上併用するときは、

 

心電図をとるのが好ましいのです。

 

その発生する場所から、精神科で見られる肺動脈血栓塞栓症に対して

 

『隔離室症候群』というあだ名をつけてみました。

 

PETを用いたデータでは、線条体でのドーパミン遮断が78%を超えると錐体外路

 

症状が出現すると言われています。これはおおよそ、クロルプロマジン換算量で

 

400から600mgです。

 BMIは22が標準で、25以上が肥満。

 名前に「ピン」のつく薬剤群はヒスタミンH1受容体への親和性が強く、

体重増加を起こしやすい。ピン系はオランザピン、クロザピン、クエチアピン。

 PR(またはPQ)時間の延長は突然死の危険性がある。

A判定: PR時間 > 0.28秒(中学生以上)

二次検査が必要

B判定:  PR時間 > 0.22秒 (中学生以上)

他に以上があれば参考値とする。

以上をPR延長または1度房室ブロックとして判定

 糖尿病と判定されるのは、静脈血血糖値が空腹時で

126mg/dL以上または(糖負荷試験)2時間値200mg/dL以上である。

そのいずれでもないとき、境界型と判定する。

 悪性症候群の発症率は、抗精神病薬で加療中の患者さんの

0.1から0.2%。悪性症候群による死亡率はおよそ4%。

 横紋筋融解症の唯一の症状としての赤褐色尿で気づくことがあります。

もしミオグロビン値が持続的に異常な高値であれば、持続的血液ろ過を

行わなければ救命できません。(Continuous hemofiltrationCHF

 非定型抗精神病薬による横紋筋融解症は、悪性症候群と異なり、

薬物の投与初期に多いという特徴があります。

 血清プロラクチン濃度が25ng/mL以上を高プロラクチン血症といいます。

血中のプロラクチン値を継続的に測定していけば、脳内での

ドーパミンD2遮断を測る指標になりえます。著しく上昇いた場合は、

何も副作用が出ていなかったとしても、抗精神病薬を変更すべきです。

 ピペリデンが、その抗コリン作用により、初期のアルツハイマーに

認められる記憶障害と全く同じ症状を起こることがわかった。

抗パ薬の6ヶ月を越える長期投与は避けるべきです。

 DIHS(drug induced hypersensitivity syndrome)

ヒトヘルペスウィルス6型(HHV-6)を再活性させ、全身症状を示す。

HHV-6は小児の突発性発疹の原因ウィルス。

DIHSの原因として一番多いのは抗けいれん薬。

 顆粒球減少症とは、好中球が1500/μL以下、無顆粒球症とは

500/μL以下をいう。

 主観的副作用に関しては、リスペリドンが最もリスクが少ない。

 リスペリドンと並んでエキスパート・コンセンサル・ガイドライン

USA)に第一選択薬として挙げられているアリプラゾールが

2006年よりわが国でも使用できる。

R 広島ECTネットワーク研究会

広島ECTネットワーク研究会が2010.1.16、広島大学

行われました。

以下に要点を私なりにまとめましたので、参考にしてください。

(完全なサマリーではありません)

 

1        広島地区で現在ECT(electric convulsion therapy)

 が行われているのは、1.広島大学 2.広島県立病院 

3.広島市民病院 4.瀬野川病院 5.広島第一病院 

6.呉医療センター 7.吉田総合病院

2)        主に使われているのはパルス波のmodified ECT(mECT)( 無痙攣)

3)        有痙攣ECT(全国的には約5割)も行われている。

4)        2〜3回、クール6回〜12回、20〜65秒行われる。

5)        ECT施行時には、バルブロ酸など、抗痙攣剤は切る。

6)        Maintenance ECT(3週間に1回)を行っているのは4施設ある。

維持ECT中に、ときに躁転することもある。

7)        深部静脈血栓症の疑いのある患者(拘束されている例など)は、

DタイマーやPT−INRの測定をすべき。深部静脈血栓症があっても、

循環器科と相談して、ワーファリンなどを用いて、ECTは行える。

8)        ECT施行時に不整脈が起こりやすい症例では、キシロカインを

使用してECTを行うといい。

9)        閾値が高い症例では、サイン波を使用したり、電圧を上げるといい。

10)        ECT施行時のEEGで、有効性を判定できる。痙攣波の振幅と規則性が

充分なものは有効である。発作後のEEGも有効性の判断とされる。

(山口大学では判定基準を作っている)

11)       対象は統合失調症とうつ病が大半をしめる。

12)1施設(瀬野川病院)では外来でも ECTを施行している。

13)他院からの紹介でmECTを施行している施設もある。

 

 

ECTとは(Wikipediaより)

ECT適応疾患:うつ病躁うつ病統合失調症などの精神疾患(まれに

パーキンソン病などにも)の治療に用いられる。

 

うつ病:重症で自殺の危険が高く緊急を要する場合や、薬物療法を充分行っても

症状が改善しない場合、薬物療法の副作用が強い場合など。 

躁うつ病:うつ状態で

上記したような問題がある場合や、躁状態で興奮が強く緊急を要する場合など。

 統合失調症:難治性の場合や、抑うつを伴い自殺の危険が強い場合、緊張型の昏迷状態など。 

 

 

種類:電気けいれん療法には大きく分けて、四肢や体幹の筋にけいれんを実際に

起こすもの(有けいれんECT)と、筋弛緩剤を用いて筋のけいれんを起こさせないもの

(修正型ECT,無けいれんECT)に分類され、用いる電流も「サイン波」型と

パルス波」型に分類できる。

 

無けいれん電気けいれん療法(修正型電気けいれん療法):

 電気けいれん療法は、脳内でてんかん発作の電気活動を起こすことによって効果を

得るのが本質である。それに伴って起こる全身のけいれんは、患者の状態に

よっては血圧を上昇させるなどの循環状態への影響、骨折の危険を伴うことがある。

そのため、循環器に疾患のある患者や、高齢その他の理由で骨折する虞がある患者

には筋弛緩剤で筋を弛緩させて、麻酔科医が人工呼吸等を含めた呼吸管理、

循環動態の観察を行いながら頭部に通電する「無けいれん電気けいれん療法」が

行われることもある。

  無けいれん電気けいれん療法は、修正型電気けいれん療法、またm-ECT

modified electroconvulsive therapyの略)とも呼ばれる。
ただし、精神科だけの単科の病院では、麻酔科医の確保が不可能に近いので、

現在のところ実施が困難である。大学病院など、各診療科医がいてすぐに緊急時の

対処が可能な場合、手術に準じて手術室もしくは専用の処置室で行われる事がある。

上記のように薬剤や人員が必要になるため通常の電気けいれん療法よりもコストが

高くなる欠点がある。 「サイン波」と「パルス波」電流:以前より、日本においては

「サイン波」(送電線を流れている電流を変圧しただけのもの)による通電が行われていたが、

これは海外で用いられていた「パルス波」の電流に比べて認知障害などの副作用が大きい

ことが知られている。そのため、2002年にパルス波型の通電装置「サイマトロン」が

日本でも認可された。

 

副作用:術前の全身状態の評価を適切に行い、電気けいれん療法を行った場合、

安全で有効な治療法である。薬物療法による副作用での死亡率よりも少ないという

報告もある。米国精神医学会タスクフォースレポートによれば、絶対的な医学的禁忌と

いったものも存在しない。しかし、以下のような副作用が起こることがある。

 

1) 心血管系の障害:筋はけいれんしなくても、通電直後数秒間に迷走神経を介した

副交感神経系の興奮が生じ、徐脈や血圧の低下を生じることがある。また、

カテコールアミン放出を伴う交感神経系の興奮が惹起され、頻脈や血圧上昇、不整脈

などが起こることもある。 

2) 一過性の健忘:処置直前・直後の記憶が飛ぶことがあるが、一過性である。但し、

その状況を応用して強い自殺企図を緊急回避させ、その後の治療につなげるケースも多い。 

3) 認知障害:通電直後に生じ、見当識障害、前向性健忘(以前の記憶はあるが、ECT後の

出来事などが覚えられなくなる)や逆行性健忘(新しいことは覚えられるが、以前の記憶、

特にECT施行直前の記憶がなくなっている)が見られることがある。老人に頻度が高い。

多くは時間とともに回復する。失見当識・前向性健忘は比較的短時間に回復し、逆行性

健忘は回復が緩徐である。また、そのまま認知機能の低下が遷延するという例も少数

だが報告されている。 

4) 躁転:時に多幸的・脱抑制・易刺激性を伴う。双極性障害患者において特に躁転する

頻度が高い。 

5) 頭痛:45%程度の患者が自覚するとされている。拍動を伴う前頭部痛を示す事が多い。

電極配置や刺激強度などとは関連しない。 

 

 

なぜ効くのか:動物実験で脳神経細胞の成長を促すBDNF脳由来神経栄養因子;

 Brain-derived neurotrophic factorとも)を増加させたという結果が報告されているが、

まだよく分かっていない。

 

 

 

S ECTマニュアルー科学的精神医学をめざして 本橋伸著

3150円:2000年

 

写真やチャートが多く使用され大変読みやすい本です。

第1章 ECTの歴史と再評価:ECTが全国的に最近急に再評価されています。

第2章 ECTの臨床:適応はうつ病と統合失調症がおもです。

第3章 ECTの基礎:なぜパルス波がいいか。

第4章 ECTの実際:100ボルトで5秒が標準です。

第5章 ECTの倫理問題と今後の課題:説明書:同意書の見本があります。

第6章 ECTの新たな展望:経頭蓋磁気刺激(TMS:transcranial magnetic stimulation)

 

(21) リスペリドンを使いこなす:上田均・酒井明夫著

   Risper2  

 リスペリドンを使いこなすー症例を中心に

 

上田均・酒井明夫著

 

星和書店 

 

2800円+税:2004

 

 サブタイトルの示すように症例が多いので大変参考になりました。

 

印象的な記載を少し紹介します。

 

@        1996年にリスペリドン(RIS)は日本で発売された。

 

A        睡眠障害の改善が症状改善の目安となる。

 

B       リスペリドン内用液は注射と同様に有効である。

 

C 3〜4mgでは抗コリン剤なしでいける。なるべく抗コリン剤は使わない。

 

抗コリン剤は早めに減量、中止する。

 

D        肥満や、糖尿病の傾向のある症例にはRISとPERが第一選択である。

 

E        錐体外路症候群の出やすい症例ではOLZやQTPが第一選択である。

 

F        維持療法は一日1錠眠前が望ましい。

 

G        便秘、イレウス、口渇は抗コリン作用がないので生じにくい。

 

H        年寄りの症状精神病では、0.5gから開始して、最大2mgまでとし、

 

維持量は0.5gが望ましい。

 

I        新規薬のなかで、RISが最も薬物相互作用が少ない。

 

J        急性期のRISの最大投与量は5mg。(承認最大用量は12mg)

 

K 高プロラクチン血症が高頻度で起こる。

 

 

(22)  クエチアピンを使いこなす:石郷岡(いしごうおか)純編

 

   

 

星和書店

2009

2800円+税

 

日本では投与量の基準が少なすぎて、過小評価されているようです。

意外と、よく効く特徴的ないい薬のようです。この本を読んで、

印象に残った記事を少し紹介します。

◎1 世界的にはリスペリドン1mgとクエチアピン(以後QTP)

100mgが等価であるとされている。(日本では50mgとされてきた。)

◎2 抗不安・抗うつ作用を有する。

◎3 睡眠障害を改善する。

◎4 敵意や攻撃性の改善に有効である。

◎5 急性期の幻覚妄想が軽減したあとに生じる感情障害や認知機能障害

にも有効である。

◎6 エキスパートガイドライン(2004年)ではEPSおよび遅発性

ヂスキネジアの既往歴のある患者への第一選択はQTPである。

◎7 用量は500600mg/dが提唱されている。

◎8 自殺に向いているような患者さんに安定化の期待ができる。

◎9 抗コリン作用がないので、認知症やせん妄を伴う症例に適する。

10 夕食後や眠前に服用することが望ましい。

 

 

(23)  オランザピン急性期の報告−ひとりひとりの治療ゴールへ−:

上島国利編集

    

   星和書店:2004年:2800円+税 

 注目に値する文章を少し以下に箇条書きしました。

◎1 精神運動性興奮が著しく鎮静が必要な場合は、鎮静を目的として

ベンゾジアゼピン系薬剤(ユーパンが第一選択)を併用する。

◎2 半減期が28.5時間と長く、11回の投与が可能。

◎3 糖尿病の合併または既往のある患者さんへの投与は禁忌。

◎4 初診時精神運動性興奮が著しい場合、ジアゼパムの静注など施行すれば、

インフォームドコンセントを得られるまで、落ち着くことも少なくない。

◎5 ベンゾジアゼピンは急性期の標的症状にしぼり、長期の使用は避ける。

◎6 バルブロ酸は長期効果は期待できないので、急性期後は漸減中止が望ましい。

◎7 CBZ(テグレトール)やLi(リーマス)を使う前に、

VPAやベンゾジアゼピン(ランドセン)をまず使うべき。

 

(24) 星と太陽 星野優太郎著

Hosito4   

周東写真美術印刷発行:2010年発行:800円(税込み)

 私の知り合いの精神障害をもつ人本人の小説です。

 裏表紙のコメントは以下です。

「青春は戦場だった。外人部隊での妄想戦闘記録:

死すよりも辛い生き地獄を体験して、

生きていく理由を見つけた。死ななくて良いのだ。

生きていれば、誰かの役に立てる。

生きているだけで良いのだ。

日本の緊急事態への対処を一人の精神障害者が

考えてきた。祖国の未来を願っていた。

永遠の便り外伝。」

 メイルで注文を受け付けます。(送料250円)

sunameri@lake.ocn.ne.jp

(25) 治りませんように-べてるの家のいま:斉藤道雄著

 

 

  Beteru6  

 

みすず書房

2010

2000+

 

北海道浦河に精神障害者の共同住宅と作業所の30年の報告です。

「悩む力−べてるの家の人びと」(講談社ノンフィクション賞)のつづきです。

紹介するのは難しいし、とにかく読んで欲しい本なので、

キーワードを並べますので、想像を逞しくしてください。

 死神さん、幻聴さん、「病気は宝」、「勝手に治すな、その病気」、

向谷地生良、

浦河赤十字病院、日高昆布、川村敏明先生、「カフェぶらぶら」、

共同住宅兼集会スペース「セミナーハウス」、「お客さん」、「弱さの情報公開」、

「自己病名」、「誤作動」、降りていく医療、「さとられ」の妄想、

共同住宅「日だまり」、

「爆発の研究」、「ピア・サポート」、

「当事者研究」、幻聴妄想大会、「ベリーオーディナリーピープル」、

「三度の飯よりミーティング」、「弱さを絆に」、「苦労のプロ」、SST

「ニュウーべてる」事務所、「圧迫」、「死にたいお客さん」、「悪魔幻聴」、

「回復することの不安」、「病気への依存」、「人間アレルギー」、

「病気あって幸せ。治りませんように」、降りていく生き方、苦労の哲学、

 

 

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