抗躁うつ病薬

 

   

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   躁鬱病の予防薬のこと   2003.2 遠山照彦

A

   リーマス    (炭酸リチウム)

B

 テグレトール レキシン   (カルバマゼピン)

C

 デパケンR   (パルプロ酸)

 (テギレトールとデパケンRは抗てんかん薬のページを見てください。)

双極性障害(躁うつ病)はどんな病気か

 双極性障害は、従来、躁うつ病と呼ばれていた病気に相当します。

双極とは「2つの極」という意味で、双極性障害は躁病の極とうつ病の極の両方を

もつ気分障害という意味です。

 うつ病相のみの単極性うつ病の発生率が3〜5%であるのに対して、双極性障害は

約0・6〜0・9%と少なく、発病年齢は、双極性が20代にピークがあるのに対して、

単極性の場合は年齢層が幅広く分布しています。また、単極性は男女比が1対2と女性に

多いのに対して、双極性では男女比は1対1となっています。

 躁病相が確認されれば、双極性障害の診断はさほど困難ではありません。しかし、

うつ病相のみの場合は、その2〜3割が経過を追うと双極性に転じるので注意が必要です。

とくに20歳以前、あるいは20代で発病するうつ病の場合は、慎重に経過をみていく

必要があります。

 双極性障害は http://health.goo.ne.jp/health/img/medical/other/28B2.gif型と http://health.goo.ne.jp/health/img/medical/other/28B3.gif型に分けられます。その違いは、躁病相が中等症以上である

http://health.goo.ne.jp/health/img/medical/other/28B2.gif型)か、軽躁であるか( http://health.goo.ne.jp/health/img/medical/other/28B3.gif型)にあります。うつ病相は両者に違いはありません。

原因は何か

 双極性障害の原因はいまだ解明されていませんが、うつ病と同様、疾患脆弱性

(ぜいじゃくせい)(病気になりやすい性質)をもつ人に身体的あるいは心理的負荷がかかり、

脳の機能のバランスがとれなくなると発病するとされています。

 疾患脆弱性を規定する因子は複雑ですが、そのひとつに遺伝があり、双生児での

一致率(一方が発病した場合、他方も発病する率)は8割ともいわれています。

しかし、他の2割は遺伝以外の要因であり、遺伝と環境要因の両方で規定されると

考えられています。

症状の現れ方

 双極性障害の症状は、躁病相とうつ病相で対照的です。それぞれの病相の代表的な

症状を表8に示したので参照してください。

 これをみると、ほとんどの症状は躁病相とうつ病相で正反対であることがわかります。

時に躁病相とうつ病相の症状が混じり合って同時に現れることがあり、これを混合状態

呼びます。

 双極性障害は未治療の場合、躁病相、うつ病相合わせて生涯に10回以上の病相を

繰り返しますが、繰り返すにつれて病相の持続期間は長くなる一方、病相と病相の間隔は

短くなります。なかには1年に4回以上病相を繰り返すケースもあり、これをラピッドサイクラー

と呼びます。

治療の方法

 双極性障害は、患者さんの結婚、職業、生活にしばしば深刻な影響を招く原因となります。

離婚率も高く、健康な対照者の2〜3倍とされています。また、自殺率も高くなっています。

 双極性障害の治療は単極性うつ病と同様、薬物療法、心理療法、社会的サポートの

3本柱で行われますが、薬物療法は単極性うつ病と基本的に異なります。

 双極性障害では、気分安定薬(日本では炭酸リチウム、バルプロ酸、カルバマゼピン

3種類が使用できる)を中心に用いるのが原則で、激しい躁状態には鎮静効果のある

抗精神病薬を、また程度の重いうつ状態には抗うつ薬を用いますが、これらはあくまでも

付加的なものです。

 また、双極性障害の6割は気分安定薬の長期使用により、新たな病相を予防することが

可能なので、予防に重点を置いた治療計画が必要です。

 

(執筆者:樋口輝彦)  

  @ 躁鬱病の予防薬のこと

気分安定化薬 mood stabilizer (気分調整薬)について

最近、「気分安定化薬」と呼ばれる分類が定着しました。これは、「安定剤」tranquilizerとは、

根本的に違う薬です。一言で言うと、「躁うつ病の予防薬」と言っていいでしょう。

躁うつ病や、分裂感情障害といった病気では、躁状態、うつ状態の再発が起こりやすく、

そのためその度ごとに仕事を中断しないといけなくなってしまいます。

「気分安定化薬」を飲み続けると、躁・うつ の病相期が減少し、短期間化し、ついには

なくなるといった好ましい効果があります。

では気分安定化薬とは、具体的にはどんなものでしょうか。 

   A リーマス (炭酸リチウム)

気分安定化薬として、もっともdataも多く、効果がある証拠の多い薬です。

1日 400mg800mg 服用します。二回に分けて飲むのが普通です。

また、抗躁効果もあるので、躁状態の治療薬としても使いますが、その時には最大

1200mg/日飲みます。

副作用として、リチウム中毒があるので、定期的に血中濃度を測定しつつ、服用します。

予防投薬には、0.4-0.8mE/L が必要で、躁病の治療には、0.8-1.0mE/Lが適当です。

また、長期服用(10年以上)では、甲状腺機能低下症や腎障害がまれに発生することがあり

ます。

製品例:リーマス錠100~200

区分:神経系用剤(含む別用途)/抗躁薬/躁病・躁状態治療剤

 

 

概説

気分の浮き沈みをおさえるお薬です。そう病や躁うつ病の治療に用います。

作用

【働き-1
そう状態がひどくなると、落ち着きがなくなり、妙にはしゃいだり、怒りっぽくなったり、行動がエスカレートしてしまいます。リーマスは、「気分安定薬」とも呼ばれ、気分の波をおさえ、そう状態になるのを防ぎます。効いてくるまでに12週間かかりますが、有効率は高く、7080%の人に効果があります。

【働き-2
気分安定薬は、そう病以外の精神症状にも有用です。たとえば、重いうつ症状をともなう「月経前不快気分障害」、一般的な抗うつ薬が効かない「うつ病」などに応用されることがあります。

注意


【飲み合わせ・食べ合わせ】

  • 一部の利尿薬や降圧薬、鎮痛薬、解熱薬、安定剤などと併用すると、中毒や副作用がでやすくなります。服用中の薬は必ず医師に報告しておいてください。
  • お茶に含まれるカフェインは、この薬の効果を弱めるかもしれません。日本茶、コーヒー、紅茶、コーラはほどほどにしましょう。  


【使用にあたり】

  • 決められた用量を必ず守ってください。この薬は、量が少ないと効きませんし、逆に多すぎると中毒を起こします。そのため、血液中の濃度を測定して、その人に合った量を決めなければなりません。ふつう、少量より開始し、血中濃度を測定しながら急速に増量します。症状がよくなったら、徐々に減量し維持量を続けるようにします。
  • よく効いてくるのに、1〜2週間かかることがあります。
  • 中毒症状(副作用の項参照)がみられたら、すぐに医師に連絡してください。

【食生活】

  • 体の水分が減ると中毒を起こしやすくなります。ふだんから十分に水分をとるようにしてください。
  • 激しい嘔吐や下痢、発汗は、脱水を起こし中毒症状の引き金になります。夏の高温、激しい運動、高温の場所での作業、入浴、発熱時なども要注意です。さらに、減塩や減量(ダイエット)も中毒の要因となります。規則正しい食生活を守ることが大切です。
  • 眠気やめまいを起こしたり、注意力が低下することがあります。車の運転など危険な作業は避けてください。

効能

躁病、および躁うつ病の躁状態。

用法

【用法】
炭酸リチウムとして、成人では通常1日400600mgより開始し、1日2〜3回に分割経口服用する。以後3日ないし1週間毎に、1日通常1200mgまでの治療量に漸増する。改善がみられたならば症状を観察しながら、維持量1日通常200800mgの1〜3回分割経口服用に漸減する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

【注意】
過量投与による中毒を起こすことがあるので、投与初期又は用量を増量したときには1週1ないし2回、維持量の投与中には1月1回程度、早朝服薬前の血清リチウム濃度を測定しながら使用すること。

基準範囲:0.601.20 mEq/L

·         血清リチウム濃度が1.5mEq/Lを越えたときは臨床症状の観察を十分に行い、必要に応じて減量又は休薬等の処置を行うこと。

血清リチウム濃度が2.0mEq/Lを越えたときは過量投与による中毒を起こすことがあるので、減量又は休薬すること。

副作用

気をつけなければならないのは、「リチウム中毒」です。初期症状として、手のふるえ、吐き気、めまい、言葉のもつれ、下痢などが現れます。このような症状が現れたら、すぐに医師に連絡してください。ご家族の方も注意しましょう。

中毒でなくても、手が細かく震えることがあります。血中濃度が適正範囲でしたら心配ないと思いますが、気になるときは医師とよく相談してみてください。対症療法的に震え止めの薬(β遮断薬)で対処できるかもしれません。

【重い副作用】
..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください

  • リチウム中毒..手のふるえ、吐き気、めまい、言葉のもつれ、下痢、発熱、発汗、うとうと状態、取り乱す、異常な動作
  • 徐脈..脈が異常に少なくなる(50/分以下)
  • 腎性尿崩症..のどが異常に渇く、水をガブ飲み、尿が異常に多い
  • 痴呆様症状(可逆性)、意識障害..ボーッとする、反応が乏しい、意識がうすれる


【その他】

  • 手の細かいふるえ
  • 口の渇き、吐き気、食欲不振、下痢
  • めまい、立ちくらみ、眠気、脱力・けん怠感
  • 腎機能異常、甲状腺機能異常

 

 

 

 

  B テグレトール (カルバマゼピン)

日本で、その有効性が発見され、世界に広まった薬です。もともとはてんかんの薬でした

が、気分安定化作用があることがわかりました。抗躁作用もありますので、躁状態の治療に

も用いられます。

1日 200 or 300mg ぐらいから始めて最大1200mg まで増量していきます。必ずしも血中濃

度と効果が比例するわけではないですが、一般に 7-8μg/L 程度の濃度が適切とされてい

ます。

副作用としては、1/20000の確率で白血球減少症がおこり、ばい菌に対抗できなくなること

が、一番問題です。3ヶ月に一回は血液検査が必要です。

 

 C デパケンR (パルプロ酸)

 この薬ももともとはてんかんの治療薬です。特に欧米で以前から気分安定化薬として使わ

れてきました。

興奮性や攻撃性を緩和する作用があります。

1200 or 300mgから始めて、最大1200mgまで投与します。

血中濃度は、70-80μg/lLがよいとされています。

まれに、肝障害を起こさないで、血中のアンモニアだけが上がる(高アンモニア血症)が起こ

ることがありますので、やはり定期的採血検査を必要とします。

さて、どの薬がその人に一番効果があるのかは、今の医学技術水準では、飲んでみるまで判りません。

リーマスのみでOKあれば、デパケンRのみが効く人もあれば、リーマス+テグレトールがいい人もあります。

どの組み合わせがいいのか、当初の23年は試行錯誤です。でもあきらめずに探すことが大事です。

 なお全ての気分安定化薬には催奇形性があり、女性は妊娠中とくに、初期の3ヶ月は飲めません。

   

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