1996年に初版され、初の開高健正賞を受けた名著です。
今頃まで、この名著を読んでいなかった不勉強振りを後悔します。
最初の章は、「出家とその弟子」の作家の倉田百三が重症の神経症をわずらい、
森田療法で快復していく過程を詳しく述べています。
第4章の聖マリナンナ大学教授岩井寛の、森田療法(というより森田哲学)に
支えられた、癌との闘病記録は、壮絶で、心打たれるものでした。
以下、アマゾンのブックレビューより一部を引用しました。
「この本は、森田療法の入門編としても読めるし、よく知っている人にとっても
森田正馬、岩井寛、二人の人物をさらによく知るためにも非常によい。
この本の内容は、不安感、恐怖感という、人間が決して逃れることのできない苦しみに、
森田正馬と岩井寛の二人の精神科医が、彼ら自身若い時苦しみながらも、どう取り組ん
できたのかについての記録である。
特に圧巻なのは、森田療法の第一人者、岩井寛の、ガンとの闘病をつづった箇所。
末期ガンに冒されていることを告げられた岩井。
死の恐怖を強く感じつつも、死と直面した今こそ、自分が長年取り組んできた森田療法の
真価を問われると考え、残りの日々の生活を目的本位の行動で充実させていこうとする。
生きていく限り絶対に避けることができない、不安感や恐怖感。
森田理論では、これらはあくまでも自然な感情の動きであり、理屈であれこれ考えて
取り除くことはそもそもできないとする。むしろ、それはよりよく生きたい、意味の
ある人生を送りたいとする強い欲求の裏返しであるとし、積極的に肯定する。
私たちは、いたずらにとらわれの状態に陥らないように、それらの感情を取り
除こうとする無駄な努力を止め、感情は感情でそのままで、自らの人生を充実させ
行動をとりあえず具体的に起こし、それに意識を向けるよう努力すること。
そうすれば感情は自然と流動し苦しみも流れる。
神経症に悩む人々だけに限らない。
広く一般の人たちにとっても、どう生きるかについて学べる本である。」