ビリオン神父を追う



2001年と2002年記載の話(1−19)はこのページの下から開かれます
03/01 第20話 親友 2 03/02 第21話 年表 1.(1843−1868)
03/03 第22話 年表 2. (1868−1889) 03・04 第23話 年表 3. (1889-1895)
初代主任司祭エメ・ビリオン神父(1895−1924)




大阪毎日新聞「大隈重信とビリオン神父」(大正十五年五月二十九日)
来朝当時を語る師 「役人の目をぬすんで近寄った若者こそ・・・後の大隈重信侯であった」

日本渡来六十年。 それこそ文字どおり、南船北馬して神の道を切り拓いて進んだカトリック教徒神父・ビリオン司祭は、いま奈良市の一隅、 阿字万字町の天主公会堂に、静かに老後を養っている。 回顧する六十年!師の燃ゆるが如き殉教的精神は、二十万余の人々を神の前に拝跪せ しむるに至った。 二十六日午前九時から、大阪川口天主教会で行なわれた師の日本渡来六十年祝賀式に臨んだビリオン司祭の喜びは、又、熱 烈な神への感謝の祈りに代えられるのであった。・・・師は、今聞くも尊い六十年の神の奉仕について慈眼をしばたたきながら語る。

「私はクラセの日本の歴史や、聖フランシスコ・ザベリオ師の書簡記等で日本に関する研究を始め、大学卒業と共にザベリヨ聖師の足跡を辿る 決心を致しました。 しかし、老いたる孤独の父と生別することは苦痛でした。それでも父は私の意を察してか、かえって日本渡航を勧めまし た。・・・・私は、神の愛の使命を全うするために、如何なる苦難にも堪へ忍び、その目的を遂げるために、一命を神様に捧げる覚悟で ひと りぼっちの父や親族知己と永久の別れを告げ合いました。」
   慶応二年五月二十六日年来の宿望を遂げて、長崎の阜頭に足を踏み入れたとき、師の胸はただ喜びにりした。しかし、「折角来たの に禁教時代で、日本人と交際することが出来ないのには、一番困った。」ある日、師のもとに四、五人の役人が来た。そのうちの若い小使いが、 役人の目を盗んで師に近寄り、「西洋の文物を知りい、研究したいから書物を譲ってくれ」と頻りに内々で頼んだ。 師は、その時、「おお、頼もしき若者よ!きっとお身達若者によって驚くべき新日本は築かれるであろう」と喜んで数冊を与えた。・・・ この若者こそ、やがて世界的に名を知らしめした大隈重信侯であった。



  歴史的な事実として世界中が驚き称賛した出来事が1865年3月17日にありました。
当時、長崎のフランス寺と言われた大浦天主堂(現在、国宝)で、プチシ゛ャン神父(後の司教)の前に、浦上村の農民,10数名が「私たちは 皆、貴方と同じ心です」とキリスト教の信仰を持っている事を告げたのです。
豊臣・徳川の迫害下で潜伏し、司祭もいない、教会堂もない、無いないづくしで、約300年間もの厳しい弾圧の中、不屈の信仰をもって堪え忍 んできた隠れキリシタン(カトリック教徒)の子孫たちでした。
宣教師を送っていた国々では、日本の教会は全滅させられたと思われていました。
その日本人キリスト教徒たちが自ら名乗り出て来たことに、世界中は「日本の信徒再発見」の報に、”奇跡”だと驚き、その信仰を称賛しました。

そんな中、ビリオン神父がフランスから長崎に上陸しました。
しかし、まもなく、明治元年、文明開花を求めて始まった明治新政府は、過 去の政権と同じく非文明的な激しい宗教弾圧を、力もない浦上村の貧しい農民;キリスト信者に加え始めた。数珠つなぎに引き立てられ、津和野 や広島な各地の弾圧先に追い立てられる彼らをビリオン神父は天主堂の窓から祈りながら見送りました。
その光景を目に焼きついたかのように、その後のビリオン神父は彼ら殉教者の足跡をたどりながら、各地を調査し、時と場所を見つけ、その信仰 と殉教をたたえる記念碑を建ててゆきました。
萩や津和野でもその目的を持っていました。


2001年記載された話
01/04 第1話  Villion神父との出会い 01/05 第2話  HAGHI or HAGI
01/06 第3話  タデオ・ヨシタケと妻ルシア 01/07 第4話  Villion神父の四頭の馬
01/09 第5話  かくれキリシタンの墓石「Shibuki」 01/10 第6話  伝道師の協力を得て
01/11 第7話  神父様のお名前は? 01/12 第8話  地福教会ものがたり

2002年記載された話
02/01 第 9話 天に輝く小さな星。その1 02/02 第10話 天に輝く小さな星。その2
02/03 第11話 小石の力 02/04 第12話 萩の宣教の始まり
02/05 第13話 後ろ姿 02/06 第14話 山口洗礼台帳より6枚の”写し”。
02/07 第15話 人があるく道、車がはしる道路 02/08 第16話 忙しかった
02/09 第17話 老神父の痛む心・喜ぶ心 02/10 第18話 親友 1
02/12 第19話 クリスマス・ケーキ、 召し上がっていただけるかしら