Prologue

ワールドカップが始まってから、ヤフーの掲示板を覗いてみたら、出雲でのキャンプレポートの書き込みを発見!

選手たちの飾らない姿を綴った書き込みに対して、楽しい〜とお礼の書き込みが続々と寄せられていました。

そこで、まとめてホームページに掲載することを思い立ち、筆者のmaye_t さんにコンタクトをとったところ、

快く承諾してくださいました。あの、闘志みなぎる選手にこんなエピソードが!?選手達はピッチの外でも

とても魅力的。これを読めば、ますますアイルランド代表選手たちのファンになること請け合いです。


maye_t さんの出雲キャンプ地レポート

正直言って、サッカーの事は全くわかりません。たまたま、地元でキャンプをするというので、

ボランティア(のようなもの)に応募しました。何かお手伝いできればと思って。

宿泊先のホテルで1日4時間程待機しているので、比較的彼らの素の状態を見る事ができました。

ファンの人たちからしてみれば、とても羨ましいのでしょうね。

5/25

サンフレッチェとの交流試合直後、宿泊先のホテルでMcAteer
を見かけましたが、脚に巻かれたサポーター(?)がとても

痛々しかったです。ただ歩く分には、支障はなさそうでしたが。

Kilbaneもけがをしているらしく、マッカーシー監督の悩みは

尽きないようです。
聞くところによると、アイルランドの選手たちは、この田舎町で

のんびりと過ごしているとか。市民とも積極的に交流を図っている

ようだし。 本番に向けて、心身共にリラックスした時間を過ごしてくれればと思います。

5/26

出雲では、選手達、かなりゆとりのある時間を過ごしているようで、公共のジムやプールへ行ったり、近所の店

へ買い物に出かけたりしているそうです。

Shay Given、Alan Kelly、Steve Stautonの3人は、コンビニと

ドーナツショップへ行って、1時間くらい戻ってきませんでした。

もちろん、警護なしで。

今日、初めて選手達(Matt HollandとShay Given)に話しかけ

てみましたが、意外と気さくな感じです。Matt Hollandと少し話し

ましたが「ここでの滞在を楽しんでいるよ」とのことでした。

ホテル内の警備は厳しいのですが、フーリガンや過激なファンの

姿もなく、皆、安心して過ごしているように思います。

もし、ロイ・キーンが来ていたら、どんな雰囲気になっていたのでしょうか。

FAIのオフィシャルサイトによると、Healyをキーンの代わりにチームに加えるという望みは絶たれたそうです。

昨日のBBCのニュースでは、McAteerをはじめとする数人の選手は、Royがチームから離脱して欲しくない、

との事でしたが、最終的には、やはり彼は戻ってこないのでしょうか。監督の最終決定の記事をまだチェック

していないのでわかりませんが。監督の記者会見の数時間前に、数人の選手達(誰だったか、覚えていま

せん)が会見を開いていた筈です。でも、監督がプレスセンターへ出かける少し前、Alan Kelly、

Staunton、Finnan、Quinn他、数名の選手達がホテルのロビーでなにやら神妙な面持ちで話し込んでいま

した。きっと、Royについて話していたのだと思います。

McAteerといえば、昨日、少しだけおしゃべりしたのですが、「膝がまだ痛いから、これからリハビリをす

る」と言っていました。今日は、公開練習に参加していたようなので(夕方のローカルニュースで彼の姿

を見かけました)、少しずつ回復しているのではないでしょうか。ちなみに、彼も結構話しやすい人です。

Duffは、靴を買ってはしゃいでいました。RobbieKeaneが近くの靴屋さんでスポーツシューズを買ってきて、

皆に見せていたら、自分も欲しくなったのでしょう。Duffは、まるでいたずらっ子のようでした。

Finnanは、「病院、どうだった?(今日、県立の病院へ皆で慰問に行ったので)」と聞いたら、「きれいな

所だね。だけど、患者さん達がかわいそうだったよ。」との事でした。噂によると、患者さん達よりも

看護婦さん達の方が喜んでいたそうです。

Dunneとは話していませんが、すごく体が大きくて、存在感のある人ですが、笑顔がとてもチャーミング

だと思います。

McCarthy監督は、いつも怖そうな表情だったのですが、夫人と一緒にいる時に、「(奥さんが)きれいな

方ですね。」という私の言葉で急に笑顔になり、快くサインをしてくれました。きっと、家庭では、優しい

旦那様なのでしょうね。

選手の一人が、髪を切りたい(女性の美容師を、との要望でした)と昨日言っていたようですが、今日見た

ところでは、Quinnの髪の毛が短くなっていたような…。

ホテルのロビーにいるだけで、いろいろな物が見えてきます。いい事も、悪い事も含めて、今回の経験は、

一生の思い出になる事でしょう。接する機会はあまりなくても彼らの顔を見るのが日課のようになってしまって、

キャンプが終わってしまうのがとても寂しいです。ホテルにいる時だけは、彼らは有名なサッカー選手ではなく、

ごく普通の男の子達、という感じがします。警護もなしで、平気で買い物や散歩に出かけたりするんですよ。

そういうところが、とても魅力的ですね。

5/29

 さて、出雲でのキャンプもあと1日を残すところとなりました。1週間、長かったようでとても短かったような気が

します。ここでのトレーニングの成果を初戦で十分発揮してほしいものです。

今日は、午前中、6人はジムへ、10人は出雲大社へ出かけたようです。
午後は、急遽計画された子ども達との交流会(サッカー教室)、

そして、後の公開練習がありました。

子ども達にとっては、いい経験になったと思います。

Breenは、「楽しかったよ」と、言っていました。
彼は、最後までバスに乗らないで、

嫌な顔も見せずにサインを書いてあげていました。
バスが出る前に、サポーター達が応援歌(?)を歌っているのが聞こえて

きました。

選手について少しだけお話します。Dunneのニックネームがどうして

"HoneyMonster"かというと、単に体が大きいから、なのだそうです。

「変な名前だろ?」と、本人、言っていましたけどね。

彼は、Robbie Keaneと仲がいいらしく、よく一緒にいる姿を見かけました。

2人共、面白い人達で、連絡用のホワイトボードにMorrison宛のジョークを

書いていました。

5/30

とうとう、出雲でのキャンプが終わってしまいました…。数人の選手としか話す機会はありませんでしたが、

長い人生のほんの一瞬に過ぎないこの1週間が、私にとって忘れがたい物となりました。

壮行会には、約3000もの人々が集まったそうです。

歓迎会の人数をはるかに上回っていて、これは選手達が

市民及びサポーターと交流を深めた証だと思います。

終了後、FAI役員の老紳士(名前を知らないのです)と

話していた際、悲しくて涙が止まらなくなってしまいました。

いろいろとありましたが、少しでも彼らと関わることができてよかったと思います。

本当に、彼らはgreatguysです。一緒に働いていた日本人のスタッフもいい人ばかりでした。

ロイがこのキャンプに参加しなかった事はとても残念ですが、彼がチームにいてもいなくても、私は

アイルランドを応援するつもりです。

私はサッカーの事は全くわかりません。でも、このキャンプをきっかけに興味を持つようになりました。

いつかアイルランドへも行ってみたいな。

選手達のお気に入りの場所は、ホテルから歩いて数分の所にあるミスタードーナツだったようです。

毎日、誰かが行っていたとか…。それから、選手のほとんどが、ある靴屋さんでスポーツシューズを

買っていました。本人達に確かめたわけではないので、理由は不明です。

皆さん、ぜひ出雲へいらしてください。アイルランドチームが過ごしたこの田舎町で、彼らの足跡を

辿ってみてください。(別に観光案内をしているわけではありません。)滞在先となったホテル、

近くのコンビニ、ドーナツショップ、公開練習をした出雲ドームやサンフレッチェ広島との試合に利用

された浜山公園、等々。

5/31   
今朝11時頃、彼らはJASのチャーター機で新潟へと旅立って行きました。今頃は、ホテルで明日の試合へ

向けて疲れを癒している事でしょう。ついに初戦開始まで、24時間を切りました。

空港では、多くのサポーター、スタッフ、プレスが彼らを見送りました。市長及び小学生の男の子による

別れの言葉を背に、選手達は機内へと消えていきました。長期にわたり準備を進めてきた市のスタッフも、

やっと肩の荷が下りたことと思います。滞在先だったホテルも、ドームも、今は以前の静けさを取り戻し、

過ぎ去った1週間がまるで夢の中の出来事のように思えて仕方がありません。

出雲がアイルランドチームのキャンプ地として立候補したのは、アイルランド出身の小泉八雲が深く

関わっているからです。マッカーシー監督が視察に訪れた時、町の雰囲気、施設の充実性、そして人々の

温かさを気に入った、と聞きました。彼らにとっては、ロイの事で本当に大変な時期だったとは思いますが、

それでも満足のいく滞在となったのではないでしょうか。(そう思いたいですね。)

どうやら、ロイが戻ってくる可能性はゼロに近いようですね。Healyが彼の代わりになる、というのも無理。

マッカーシー監督は、22人で戦いに挑むようです。

私の目から見た選手達の姿をもっとたくさん皆さんにお伝えできれば、と思いますが、それはまた次の機会に。

6/4

今日、チーム付の通訳さんの一人と会いました。彼女は仕事熱心で、常に選手達やFAI役員の方々の事を

考えていた人です。だから、他の人達とは違い、皆から信頼されていました。彼女の話によると、選手達は

出雲での滞在を心から楽しみ、人々の歓迎ぶりに感謝していたそうです。彼らは、有名なサッカー選手として

ではなく、一般の旅行者と同じように、地元の人々と接していたのではないでしょうか。そんな彼らの意外な

一面を垣間見るようなエピソードを、お話します。「(イギリスの)○○スーパーは、△△が安い」「いや、

××スーパーの方が安い」とか、「どこそこのドーナツの中身は、何が入っている」等、庶民的な会話をしていた

らしいです。サッカーをしている時のあの真剣そのものの表情からは、想像できないような、素朴さを感じます。

彼らは、どんなに周囲からちやほやされても、高慢な所など全く見られません。アイルランド出身という事で、

虐げられてきた部分もあるからこそ、誰に対しても優しくできるのでは、とある人は言いました。

彼らの事を知れば知る程、いとおしくなります。

明日は、いよいよドイツ戦ですね。きっと、今の彼らなら大丈夫だと思います。私は、テレビの前で応援します。

6/6
ドイツ戦での、Robbie Keaneのゴールは素晴らしかったですね。ロビー・キーンといえば、出雲でホテルの

シャンデリアを壊してしまったそうです。ボールを蹴ってたんでしょうか。

壊れたシャンデリアの欠片に、「I'm sorry.Robbie Keane」と

丁寧に書いて、謝罪したそうです。おちゃめというか、

憎めないというか。今なら、もしかしたら、その傷痕が見られるかも。

※現在はロビーのサイを入れて修復されたシャンデリアが見られます。
ちなみに、彼らの泊まったホテルは、シングル1泊6000円だそうです。意外とエコノミカルだったんですね。

ホテルでは、いろんな事をやってくれてたようで...。

Clinton Morrisonは、掃除のおばちゃん達のアイドルだったそうです。というのも、彼はシーツを被って廊下で

おどけていたとか。Ian Harteは、ロビーに置いてある水槽の所へ来ては、「どうして毒を持っている魚と、

そうでない魚を一緒にしてあるんだろう。(毎日、魚が死んでいたので)」と不思議がっていました。彼は、

きっと優しい人なのでしょうね。他の選手達は、気にも留めていなかったのですが。彼は、時々水槽※の外から

伊勢海老(?)を威嚇して遊んでいました。Damien Duffは、ジャムを山盛りにのせたトーストにかじりつき

ながらロビーを歩き回っていました。お尻をボリボリ掻きながら歩いている姿も…。

さすがにNiall Quinnを始めとした中堅所(?)の選手達は、状況が状況だったせいか近寄りがたい雰囲気

でしたが、他の選手達は和やかな感じでしたよ。まるで、10代の男の子達が合宿をしているような…。

彼らが去った後、ホテルのレセプションにはサイン入りのサッカーボールが飾られているとローカルニュースで

言っていました。もしかしたら、「歓迎 アイルランドチーム」のポスターが今でも貼ってあるのでは?

※ 日本海に住む魚を選手達に見て欲しいという趣旨から設置されたものだそうです。

6/9
David Connollyは、Gary Breenの事を”キリン”と呼んでいるそうです。背が高いからだと思いますが。

2人は、とても仲がいいらしいです。テレビで試合を見ても、未だに彼らが有名選手だとは信じられません。

ホテルでの印象があまりにも強すぎて。

6月29、30日にSC鳥取が出雲ロイヤルホテルに宿泊し、ドームと長浜中央公園(少年サッカー教室が

行われていた所)で練習をするそうです。マッカーシー監督やアイルランドの選手達に芝の状態がいいと

好評だったとか。

ドームといえば、Gary KellyとJason McAteerが屋根に向かってボールを蹴り上げていました。市役所の

スタッフは、「壊れなければいいが...」と内心ひやひやしていたそうです。

McAteerについて、一つ面白いエピソードを聞きました。彼が病院で受診した時の事です。

医師「アレルギーはありますか?」

McAteer「別にありません。彼女以外は。」

その後、医師や付き添いの人達がどういう反応をしたのかは不明ですが...。

アイルランドの選手達は、言葉で言い表せないくらいユニークな人ばかりです。

Epilogue

出雲市で事前キャンプを行ったアイルランド代表チームは、ワールドカップ1次リーグの3戦と決勝トーナメントの

1回戦のすべての試合で、私たちに感動を与え続けてくれました。

PK戦では力尽きてスペインに敗れはしたものの、アイルランドの選手や監督たちが肩を組み一列に並んでいた

姿は、アイルランドのスピリットそのもの・・・。思い出しても涙が出そうになります。

事前キャンプでのフレンドリーな姿の裏側には、あんなに熱い闘志が隠されていたんですね。

ワールドカップでアイルランドというチームを知ったことは大きな幸せでした。

ありがとうアイルランド!

P.S
maye_tさんとは、最後のスペイン戦のとき、出雲市体育館でお会いすることができました。

文章から受ける印象通りのとても清楚な感じのお嬢さんです(*^_^*)

ご意見・ご感想はこちらへ  PHOTO by Mariさん F'sHouse