’98.1.20
            授業実践レポート NO.11

 新しい道徳の授業を創る 
 
                      
1.主題名  「素直に反省」1−(2)思慮・反省
2.資料名   まどガラスと魚(どうとく「きみがいちばんひかるとき」3年光村図書)
3.ねらい  過ちは反省し、誠実に行動しようとする心情を育てる。
 
4.指導にあたって
 
@資料は、フィクションであり、主人公である千一郎が過ちを犯してから、あやまるという行動に至るまでの心の揺れを描いている。
  全文を読んで、主人公の心の葛藤に焦点をあてた主発問を投げかけても、頭で考え口で勝手に言い合うような建前論議になりやすい。
  そこで、不要な部分は資料の一部を削ったり、文章を変えたりして提示する。
A教師が範読しながら授業を進めていくといったスタイルをとる。
  したがって、本時では、子供に資料は見せない。
Bただ範読を「聞く」だけではなく、随所に「書く」活動を取り入れて、思考を促し、ストップモーション的な展開を試みる。
C資料は、小出しに提示する。その有効性を以下に述べる。

○ 興味・意欲をかきたて、次への展開を期待させる。
○ ポイント、ポイントで焦点化して意見交換ができ、評価できる。
○ 資料把握が容易になり、的確になる。
  (読み返す・振り返る・確かめるといった無駄を省く。)
 
D対象学年は、3年生である。
 
5.準備
 ・道徳ノート等筆記用具
 ・マグネット式小黒板
 ・ネームカード
 ・掲示用資料(ガラスをわったのはだれだ)
 
6.授業の流れ
 
 日付と題名「まどガラスと魚」を板書した後、

指示1
「まどガラス」と「魚」、どんな関係があるんだろうね。どんなお話なんでしょうね。「千一郎」(板書)という男の子が出てくるよ。
  先生読むからね。どんなお話かメモしながら聞いてくださいね。
 
と言って範読する。

「・・・思う間もなく、ガチャンときました。」
 
                             まで。
「大変なことになっちゃったねぇ。」と言って次の様に板書。

     まどガラスわってにげた
 
 

発問1
さて、みなさん。千一郎が窓ガラスを割って逃げたこと・・・・、許せますか?(間)許せるという人は○、許せないという人は×をノートに書きなさい。わけも簡単に書きなさい。
 
 机間巡視して、それなりの理由を書いている子供には、肩もみするなどして指名予告しておく。
 全員が○×を書いたのを見計らって、○×の人数を挙手で確認して、板書。

○ゆるせる・・・5人、×ゆるせない・・・25人
 
 

指示2
先生に肩をもまれた人立ちなさい。自分の考えをお話してください。
 
 

・そこの家の人が困っているのにげるのはいけないから許せない。
・あやまらずにそのまま逃げたから許せない。
・まちがえてやってしまったんだから許してもいい。
・わざとやったわけじゃないから許せる。
・正直に謝れば許してもいい。
 
 
 「なるほどねぇ。みんなは、このままじゃ許せないと感じる人が多いんだね。」
と言って、「もちろん、このお話には続きがあるよ。」と続けて読む。

「・・・・・・。紙いっぱいに、すみで黒々と、

(紙を黒板に貼りながら)
ガラスをわったのはだれだ  と書いてありました。

千一郎は、いてもたってもいられず、あわててかけ出しました。」
 
                             まで。

発問2
さあ、みなさん。千一郎君、この紙見たとき、心の中はどうだったでしょうね。(間)
千一郎のこの時の顔の表情を、ノートに簡単に書いてごらん。
 
 机間巡視すると、大方「寂しく悲しそうな顔」を描いている。
 
※ 子供は「絵をかきなさい」と指示すると、小さく描く傾向がある。
  こういう作業は時に、「大きくかいていいんだよ。」とノートをぜいたくに使わせることが大事である。
 
 一人早く書き終えた子を選んで小黒板に絵を描かせる。
 全員書いたのを見計らってから、その絵を黒板に貼り、描いてくれた子に尋ねる。

発問3
どうして、このような表情なのですか。教えてくれる?
 
 

・まどガラスみたいにぽかんと心に穴があいたように、何かわるいことしたなあというように感じたから、こういうように悲しそうな顔してると思う。
「みなさんはどうですか?」
・その日にしっかりあやまっておかなかったから、目もしょぼんとしている。
・悪いことしたのに、笑っていられるわけがない。
 
 全ての意見を温かく受け入れる。
「なるほどねぇ。」「次を読みます。」

「つぎの日の夕方です。千一郎は、・・・・・。『まあ、・・・・どこかのねこが、お魚をさらっていったわ。』」
 
 「やっと魚が出てきたね。」といって続ける。

「おさらには、・・・・・・。・・・・・と、おかあさんは、おとうさんに話しました。
  ふと、この時、千一郎の頭に、あのまどガラスのことがうかんできました。すると、急にドキドキしてきました。
  千一郎は、くちびるをキュッとかみしめて、だまってうつむいてしまいました。」
 
 5秒くらい間をとってから

指示3
静かに目を閉じなさい。
 

発問4
千一郎君、この後どうなるのかなぁ。
あやまりにいけたかなぁ。それとも、このままで終わっちゃうのかなぁ。
 
 
・「あやまりに行った。」と子供たち。少し沈黙の後、

指示4
静かに目を開けましょう。
この後、千一郎は、謝りにいくことができるのでしょうか。すぐ、謝りに行くことができると思う人は○、すぐ謝りに行くことはできないと思う人は×をノートに書いて、そのわけも書きましょう。時間は5分です。
 
5分後、

指示5
やめ!自分考えに近いところにネームカードを貼りなさい。(緑色)
 

できる・・・24人、できない・・・6人
 
 

指示6
どうして、そう思ったのか、発表し合いましょう。(  )さんからどうぞ。心を裸にして言い合ってごらん。
 
 

・本当は、すぐ行きたかっただろうけど悩んでいけなかったと思う。
・お母さんたちに恥ずかしい思いをさせたくないから言わない。
・謝らずにいたらもっと恥をかくんじゃありませんか。
・その時、(  )さんだったら行きますか。
 
 ※ 「できない派」のエネルギーが弱くなってきたので、教師が揺さぶりをかける。

意見
みんなは、そう言うけど、本当にできるものかなぁ。先生なら行かないよ。怒られるのはいやだもの。怒られるのを分かっているのに行く必要ないじゃない?
 
 

・そのうちの人は正直に謝りにくるのを待っているんじゃないんですか
・そのままでいるなんて、ずるいです。
・だって、紙の書き方をみると怒っている。恐くていけない。
 
 

発問5
みなさんはどうですか。自分のしたことをごまかしたり、嘘をついて言わなかったり、いつでも正直にできていますか?
 
 千一郎の顔を描いた黒板を裏返して、そこに、            
 「いつも反省し、正直に行動できていますか?」と板書して問う。
できれば、教師側でこのような“すりかえ”は避けて、指示6のとこ
ろで自由な話し合いの中で、自分を語らせたいところである。
 
「1分間考えてごらん。」と言って沈黙の間の1分後、

指示7
ネームカード移ささなきゃいけないな、と思う人は遠慮なく移しなさい。(黄色側にして)
 
 

 ○・・・・14人、×・・・・8人、欄外・・・8人
 
となった。

質問
どうして移したの。そういうことあったの?よかったら教えてくれない?
 

・悪いことしてすぐ謝ったら気が楽になった。
・小さいときお母さんにうそついて、怒られるのが嫌で言えなかった。
・すぐできる時とできない時があって、よく分からない。
 
 全ての発言を大げさに誉めた。

説明
うそを隠したり、悪いことをして、もしそれが、人にばれなかったとしても、自分の脳味噌は、ごまかせないんだよね。いや〜な気持ちになるよね。
実は、このお話には続きがあるんです。あとで、本に書いてあるので読んでみなさい。では、今日の授業の感想を書きなさい。
授業を終わります。
 
 
7.おわりに
・中心場面で価値の類型化を図ったが、がっぷり分かれた考え方に入るのは難しい。
類型化に的確かどうか考える必要あり。
 一人で自問自答するところは、一人一人じっくり考えさせ、その子なりの考えを尊重するべきである。
・「とにかく何でも話してみる」「何でも言ってもいい」「生活を重 ねて話す」ということを絶えず普段から実践していれば、
主体的な
価値の自覚のところでは、ギャップがなくなると思われる。
・本資料には、挿し絵が載っている。
拡大し色を付けて絵を黒板に掲
示すれば、一層視覚的に訴えることができ、効果的だろう。
 
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