散髪

40バーツ(約120円)

04年3月15日


 

 二日酔いの昨日とは一転して、さわやかな目覚め。シャワーを浴びた後、早朝から散歩に出る。宿のあるカオサンロード一帯は、日本で言えば原宿の表参道のような世界。外国人バックパッカーがたむろし、彼ら目当ての店屋が軒を連ねている。最後に来た16年前とも、すっかり様相が変わっており、驚くとともに多少幻滅する。が、その界隈を一歩外れると、大都会に変身したとはいえ、路地裏には昔ながらの迷路空間が広がっており、ホッとする。
 
 散歩途中で、散髪屋を発見。値段表は40バーツ。カオサンロード近辺が100バーツだから、これが地元価格なのだろう。迷わずドアを押す。散髪は、先ほどまでは予定になかった。が、昨日午後、散歩を終えて宿に帰る途中、警官の職質・所持品検査を受け、少しばかり思う所があったのだ。

 半年に一回くらいしか切らない私の髪は、相当に長い。しかもボサボサである。少なくとも20年くらい前までは、貧乏旅行者のアタマといえば、そんなモンだった。しかし、周囲を見回してみても、バックパッカー自体がこざっぱりした身なりになっている。その中にあって、私の姿は少なからず目立つらしい。その後も、歩いているとどうも警官の視線が絡んでくるような気がしてならない。こんなことで連中の世話になるのもアホらしい。という訳で思い切って髪を短くする事にした。
 
 散髪屋は、しきりにヒゲも剃らないか、と聞いて来る。体毛の薄いタイ人は、あまりヒゲが生えない。そのため、ヒゲ面はとても嫌われるのだそうだ。以後も警官がうるさいようなら、その時、落とす事にする。散髪屋のオヤジは、典型的なタイ人の風貌。いかにも職人といった空気を漂わせていて、アタマの仕上がりも見事だった。傷みの激しい店内を見れば、ここで長年、実直に仕事を続けて来た事が察せられる。どこの国や街であれ、こういった人物に巡り合うと嬉しくなる。