サンダル

××バーツ

04年4月5日


 

 これも、買い替え代××バーツを出費しなくて済んだ、というケース。

 炎天下、遠出しての帰り道、サンダルが壊れてしまった。どうも歩きにくい、と思って手に取って見たら、ゴム底の張り合わせ部分が上下に剥がれ、辛うじて踵の個所だけがくっついている状態だ。バンコク到着2日目に大枚100バーツをはたいて買った品なのに、まさに、首の皮一枚、といった感じ。この分では宿まで持ちそうにない。といって、見回したところ、近所に靴屋さんもなさそうだ。こうなれば応急修理して、とにかく宿に帰りつくしかない。ゴム系接着剤があれば簡単に修理できるが、今回はそういう装備を持たずに来ている。さてどうしたものか。今、手持ちの材料で使えそうなものは針金くらいだ。ビューティフルなやり方ではないので気は進まないけれど、仕方ない。

 ウエストバッグから一番太い番線を取り出し、切り口を斜めにペンチで切断して、さらにコの字に折り曲げる。この足の長いホチキス玉で剥がれた2枚を綴じてしまおう、という目論見だ。突き出た足を、裏側でしっかり折り返す。仕上がりは見た目こそパッとしないが、履いてみると意外に調子が良い。これで何とか宿まで歩けそうだ。明後日からは、ラオスとの国境近くの田舎町、ナーンに移動する。明日のうちに、もっと丈夫なサンダルを探すことにしよう。

 ‥と考えていたが、応急修理のままでもまったく問題はなく、そのまま5日ばかりのナーン滞在を済ませてチェンマイに戻る。戻った途端、もう片方のサンダルに同じトラブルが起きた。不思議なことに、こっちは踵から剥がれ始めている。いずれにせよ、欠陥商品だったのだろう。こちらも前回と同様の処置を、前後2個所に施す。

 市場裏の路上でこの作業に熱中していたら、地元っ子の怪訝な視線に出会った。私も、「何してるか、見りゃ判るだろ」という目付きで応える。翌日、散歩中に、打ち捨てられた赤い女物のサンダルを発見。見れば、片方の鼻緒が切れている。ダメになったのを、そのまま捨て去ったのに違いない。24年前、初めてこの町を訪れた時、壊れたものでもダマしダマし使う、人々のリサイクル精神に私はいたく感動したものだった。それも、遠い遠い昔の物語になったのだ。