尾礼部・白口元揃天然昆布2等検

3000円

05年11年01日


 実家の最寄りターミナル駅裏手にある、馴染みの店を訪ねる。いつもと同じヤツを貰おうと思って売り台を眺めるが、それらしきものが見当たらない。キョロキョロ探していると、店のガラス戸が開いてオカミさんが現れ、声を掛けてきた。えーと、いつもの。‥ン? これ? でも、値段が‥。えーっ、2000円から3000円になったの? 1.5倍じゃないか!! 品質は年々落ちる一方で、それはあんまりじゃないの?
 多分、私の顔に不満の色が浮かんだのだろう。「この夏の猛暑で、今年は不作。それでなくとも、地球温暖化で北海道の昆布はどんどん収穫が減り、逆に価格は上がっている」というような説明を、聞きもしないのにクドクドと並べ始めた。
 そのボヤキを半分聞き流しながら、私は迷った。この数日後に信州に行く予定をしているが、かの地の知り合いに「美味しい昆布を届けます」と約束しながら、もう何年も果たせぬままになっている。その頃から急激に昆布の品質が落ち、せっかくだから回復するのを待って、と構えていたのだけれど、どうも悪くなるばかりだ。こうなれば、今あるもので手を打つしかないか。そう考えて、不本意ながら3000円で購入する。

 しかし、この昆布は、これまでの中でも最低のシロモノだった。信州から戻ったのち、一部サンプリングしておいたものでダシを引いてみたが、どんなに頑張ってもダメ。10年前なら、あの店の4等検クラスでも、これよかマシだった気がする。実質3倍の値上げではないか。土産に手渡したことが悔やまれたけれど、もう遅い。
 それにしても、店のオカミが主張するように、本当に道産の昆布全体がアウトなのだろうか。これはどうやら、他の店も当たってみる必要がありそうだ。数は減ったとは云え、我が街には、まだまだ古くから続く昆布屋が何軒もある。素食を旨とする私のようなビンボー人にとって、味のキメ手となる昆布の良し悪しは、ささやかな幸福感をキープする上でも重大事なのだ。