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内地から持参の長靴は、凍てつく大地相手に全く歯が立たなかった。これでは毎回の外出がツラい。やむなく、街に出た時、寒冷地用のヤツを緊急購入する。高い買い物になったが、さすがはカナダ製。全く冷気を通さない。上半身のフード付き長裾ダウンコートは、貰い物ながら期待以上に暖かく、両者を組み合わせれば防寒対策は完璧だ。
ただし、重装備は諸刃の剣だった。コートのフードを立てると、マトリョーシカ人形になってしまい、首だけ回しても目の前は真っ暗で後方が見えない。振り向くには、背骨を軸に、ヨチヨチとペンギンよろしく全身を回転させる必要がある。
大雪の直後、除雪された車道の雪は歩道上に山脈を築く。なので、ヒトも車道の端っこを歩いている。マンモスを撃ちに行くような格好で、背後から迫る車に怯えつつ、一歩一歩足元を確かめながらの前進。もちろん、除雪山脈が立ちはだかり、前方だって見晴らしは悪い。左右の確認も必要だ。すると後方がオロソカになり、抜き足差し足で寄ってきたマンモスに「ペチャッ」と踏まれ‥。
そんな妄想を楽しんでいると、前方に女子高生たちが現れた。その足取りも軽やかなスカートの短いこと! そして、ああ、なんて薄着!! この氷河時代に適応した、新たな人類の登場か。旧人類のワタシは立ち止まり、黙って彼女らに道を譲るばかりであった。