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ここ、王子町の酒屋は一風変わっている。扱っているのは、若主人が各地の蔵元を訪ね、自ら選び抜いた越後と近江の計3つの造り酒屋の酒だけ。その一軒、『緑川』の酒粕が美味い。
この店を発見したのは、全くの偶然だ。いい酒粕を粕汁用に探していた時、上町線の車窓から「地酒入荷」の張り紙を店先に見つけ、立ち寄った。
先日も緑川の粕を買いに来たところ、「気に入って下さったお客さんが、まとめ買いされたもんで‥‥」ということで空振り。それにしても、1パック2kg入りを何袋持ってったかは知らないけれど、そう簡単に使いきれるものじゃない。時間が経てば味も落ちる。恐らくは買い占めなどではなく、美味しいものを発見したヨロコビで、浪速的サービス精神を発揮して知り合いに配って廻ったのではないか。そう考えると別に腹も立たない。が、やっぱり落胆ぶりは顔に出たと見え、次の入荷までの繋ぎに、と若主人がビニールの小袋に入った『朝日酒造』の酒粕を分けてくれた。これも滅法うまい。調べてみると、朝日酒造は『久保田』の蔵元。ウマい訳だ。結局、粕汁にする前に、みんな焼いて食べてしまった。
馴染みの客でもないのに、今回もまたまた朝日の粕を戴いてしまう。あまりに申し訳ないので、ちょうど切れかけていたミリンを1本貰う。この『福来純三年本ミリン』も、一度使い始めると、もう手放せない。私にとっては永らく幻の名品だったが、白扇酒造のある川辺町出身の友人から貰って以降、やみつきになった。「下手な地元名物より、この方が土産に喜ばれる」と彼が云うように、そこら辺の品とは全く違う。
その昔、チャンゼロの宴会で酒が切れた折、GYA氏が冷蔵庫のミリンを引っ張り出して飲み始め、一同あっけに取られたことがある。しかし、「もともと、みりんは調味用の酒ではなく、レッキとしたアルコール飲料だった。甘味がつよいので婦女子が寝酒にしたり、また、焼酎にまぜて柳蔭、あるいは本直しの名で飲まれた。白扇酒造の地元では、みりんを飲む習慣が最近までのこっていた」(平澤正夫著・平凡社刊『いま何を食べるか−ほんもの食品15選』)という。ちゃんとしたミリンであれば、酒として飲めるのだ。
酒屋から阿倍野に出て、知り合いのアジア民芸品店へ立ち寄る。あの地震以降、しばらく天王寺で営業。それも本日で店を閉め、来月から晴れて神戸に戻るのだ。お別れに、インド製のテーブルクロス(1500円)を購入。
帰り道、アベノセンタービル前の植え込みでプリペイドカードを拾う。残り540円。ラッキー!と喜んだのも束の間、南海バスカードなので残念ながら出番はなさそう。実は往路で落ちているのに気付いたのだけれど、人通りの多い歩道でもあり、まさかまだあるとは思わなかった。