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コインシャワーはトラブルの多い空間だ。この日も、投入した硬貨が途中で詰まってしまった。いくら叩いて抗議しても、ウンともスンとも反応しない。ならば、攻め方を変えるしかない。アーミーナイフを取り出し、そのヤスリブレードをコイン投入口から差し入れて中を探る。異物に突き当たったので、ゆっくり力を加えてゆくと、手応えが消えてカチャリと音がした。それと同時に湯が出始めた。やれやれ、危うく100円ネコババされるところだった。
いつだったかも、朝の混み合う時間帯に、4つのボックスのうちの2つが『使用禁止』になっていた。しかし、他のボックスが空くのを待ってはいられない。止むなくその一つに入り、使用不能のワケを探る。
懐中電灯も動員して調べてみると、料金箱のコイン返却口の奥の方に100円玉が引っ掛かっているのが見える。原因はこれだ。レザーマン(折り畳みペンチ)とスイスアーミーナイフの連携プレイで、1、2分かけて、慎重に硬貨を引っ張り出す。念のために手持ちの100円玉に替えて投入してみると、無事にお湯が出た。
コインシャワーを利用するなら、アーミーナイフは標準装備だ。機嫌よくシャワーを浴びていると、どこかのボックスから、またもバンバンと料金箱を叩く音が聞こえてくる。この小さなボックスは、備えあれば憂いなし、を学ぶ空間でもある。