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支出がマイナス、つまり「得した」ということだ。都内の沖縄呑み屋を畳み、当地に永住している元マスターにTELを入れようとするが、なぜか公衆電話が繋がらない。おまけにコインも戻ってこない。アタマにきて、返却ボタンをガチャガチャ押していたら、突然ジャラジャラと景気のよい音とともに、投入以上の枚数が戻ってきた。理由は分からないけれど、取りあえずはしめしめだ。連絡の方は、その後の3、4台目の公衆電話でようやく果たせた。
前日に、「夕食でも」という約束をしながら、体の不調で電話さえ入れられなかった失礼を詫びる。通話後、試しに返却ボタンをしつっこく攻めてみる。期待していなかったが、またもや多額の払い戻し。さっきのと合わせると、計14バーツだ。この国の機械類には、何か正体不明のタイムラグが宿っているらしい。
ゲストハウスの私の部屋の蛍光灯は、スイッチを入れてずいぶん経ってから点灯する。とくにトイレのそれは甚だしく、30分前後は待たされる。その間、グローランプが四苦八苦しているそぶりもなく、唐突にパッとつくのでこっちが驚いてしまう。まだこちらの公衆電話の通話料に暗かった頃、バンコクのカオサンロードからタイ料理の先生に連絡を入れるのに、相手がケータイだからと20バーツも投入した。ところが、電話機の表示を見ると4、5バーツ程度で済んだはずなのに、釣り銭が戻らない。少なからず悔しい思いをした。そのコインが、タイムラグを乗り越え、ここチェンマイで私に追いついた、ということなのかも知れない。