家 の 暖 房

 ボクんちの暖房はコタツと火鉢のふたつだけ
 
 ■ 掘りコタツ

 
 火鉢を床下に組み込んだような
 掘りコタツ
 朝になると炭が燃えつきていて

 カマドで火種を作り火床に置くのが日課
 
 一酸化炭素中毒になるから定期的に窓を開け
 空気の入れ替えをしなくっちゃならない
 あんまり寒くって顔までもぐりこんでたら
 < 死ぬぞ! > ってト-チャンに叱られた

 
 冬は、食事も内職も遊びも宿題も団欒も
 みなこの心細いコタツが中心
 
 
 ■ 火 鉢
 
 雪遊びで手足がシビレるほど冷えた時は
 火鉢に張り付く
 弟は濡れたお尻と手をいっしょに暖めようと
 変なカッコウをしている
 ボクは前をベッタリくっつけた
 暖かくなり血が回ってくるとズーンと
 変な感じで指先が痛くなってくるんだ
 
 火鉢はいつからか炭から練炭になって火力が強くなり
 五徳の上にはヤカンや鍋が
 いっつも乗っかってるようになった

 今より、この頃はズーッと寒く、雪も多い
 家ん中も冷蔵庫
 かろうじて炭火のまわりだけが
 ぼんやり暖かかった

冬 の 寝 床

冬は絵のように
コタツを中心に家族 5人は寝ていた
あんまり寒いと
湯たんぽや タドン・アンカも抱える

もっと小さい頃はトーチャンが
自分の太ももにボクの足をはさんで
暖めてくれたりもした


布団に入って弟と
バカな話やイタズラでキャッキャッ

やるのが寝るまでの楽しみ・・・
いつまでも騒いでいて
よくトーチャンに叱られたもんだ

寒い窓際にはいつもモチやミカンが
置いてあり、洗濯物は凍っている
( 冷蔵庫なんていらないネ )

棚の上のラジオは
テレビがくるまでの文明の利器
カネボウ提供 デイビー・クロケットや
笛吹き童子、少年探偵団、一丁目一番地、
広沢虎造浪曲道場・・・・
色んなものを聞いていた

起 床 ラ ッ パ

おっきろよ、おっきろよー
みなおっきろー
おきないとソーチョーさんに
しっかられーるー♪ 

唄いながらトーチャンは

真冬の朝でも窓を一気にあける

< その唄なんけ? >
< 軍隊の起床ラッパが
   そんな風に聞こえるんだ !>

狭い家だから布団を押し入れに
しまわないと朝ごはんを食べれない

眠い目をこすり、ふるえながら
服を着て、布団を始末
コタツの炭の火はすっかり消えていて
寒い、寒いって言ってると

< 満州の寒さはこんなもんじゃねエ!>

ここは満州じゃあ無い! と
腹ん中でブツブツ

昭和の子供たち・やよい町15番地