出窓の横に ゼンマイ式の柱時計がぶら下がってて 定期的にネジを巻くのは ボクの仕事になっていた 右が運行用で、左は音のネジ ある日、ボクはうっかり 左のネジを巻いてしまう ボンボン鳴るのがうるさいから 巻くなって言われていたのに・・・ それからはゼンマイがゆるむまで 昼でも夜中でもボンボン鳴り続け そのたびトーチャンに文句を言われる 独りっきりで部屋にいる時 柱時計が鳴ると、ちょっと怖くって ボクもまいってしまった
弟は、夜中に眠ったまま 歩きまわる事が、たびたびあった 玄関のカギを開け近所を一回りして、 寝床へ戻るだけならいいけど 玄関前のちり箱か 台所の炭箱のどちらかに 必ずオシッコをする 朝、言われても、本人は記憶に無い 弟は、よくオネショをして叱られていたが それが神経にさわって 夢遊病になったんじゃないか、って カーチャンとトーチャンは、心配してた
墓参りにいった時、トーチャンに 人が死んだら、どーなるがけ? って聞いたら 無だ、なんにも無くなる! って答えた トーチャンらしく カッコつけたんだろうけど 子供相手なんだから せめて天国とか浄土とかに、って 言ってくれればよかったのに・・・ 有るのはいくらでも想像できるけど なんにも無い、というのは想像できない 吸い込まれるようで、怖くって 考えると眠れなかった 今でも < 無 > ってのは どういうものなのか、わからない
昭和の子供たち・やよい町15番地